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1999年10月号(150号)

出席者:臼井 鬼束 笹原 加賀 杉尾(書記)

雨続きの今年の夏・・・焼け付くような太陽を見ることもなく、寝苦しい熱帯夜を迎えることもなく、過ぎていこうとしております。なんだか、やり残してることがあるみたいな気分ですね。短い夏に名残を惜しみながら・・今月のリポートいってみましょう。

アイズ・ワイド・シャット

監 督:スタンリー・キューブリック
出 演:トム・クルーズ ニコール・キッドマン

鬼束 どこが良いのか、わからない。面白くなかったです。愛を扱ったというのは、解らなくないんですけど、まあ、あれが遺作になったら、かわいそうかなと思うんだけど。黒澤監督も(遺作が)そんな感じだったし、仕様がないかなと・・・。

笹原 私は、非常に解りやすくってキューブリックらしい映画だと思いました。何の違和感もなかったし、とくに疑問もなかったです。はい。(書記:えっ、もう終わり?なんか、とっても楽な書記になりそう。)

臼井 随分と面白かったんですが、俺の面白がり方が人によるとひねくれていると言われるんですけど、少なくとも、あの映画を見た後にみんなあまり喋りたがらへんやろなっと言うことですね。例えば、前作の「フル・メタル・ジャケット」であれば戦争について語るとか、ベトナムについて語らせるとか、そういった形で、ちょっと知恵を持っている人は喋りたくなると思うんですが、でも、これは多分だれも喋りたがらないだろうというのが、興味深かったです。キューブリックの作品の中で好きな一本です。「フル〜」は全然面白くなかったし、「シャイニング」も疑問やし、「時計仕掛けのオレンジ」とか「2001年宇宙の旅」とか、コレが世界のキューブリックかって面白いんです。でも、この間、見直したら、これで何が面白いのかなって気もして・・。そんなんから考えると「アイズ・〜」は、キューブリックという名前から自由になっている感じがして、そういう意味でも面白かったなと僕は思います。確かに、巨匠の遺作としては相応しくないような気がしますが、それを言い出したら、小津監督は「さんまの味」、溝口監督は「赤線地帯」が遺作だし・・きりがない。僕としては「アイズ・〜」が素晴らしい映画であったというのは喜ぶべき事ではないかと思います。

鬼束 ・・・それについて、意見有ります。僕は小津の「さんまの味」は傑作やと思います。絶対っ!!

臼井 俺は「さんま〜」を傑作ではないとは言ってるんではなくて・・・。

鬼束 だって、つまらんって言ったやん。

臼井 「さんま〜」のようなのが遺作に相応しくないと・・・。

鬼束 遺作に相応しいっと思うほどの傑作!と僕は思うっ!

笹原 まぁ、人それぞれだから、でもそんなに言い切ることはないんじゃないかな、二人とも・・・・(笑)(どうも、言葉のニュワンスの違いで行き違いがあったみたいです。)死をわかっていて撮ったというのが本来の‘遺作’と言うもんだけどなかなかそんなの無いもんね。

臼井 ま、あの映画だけでは、まだやり残したってことは、いっぱい有るような気がしますけど・・・・あれみて映画作りが下手ということは解りましたね。物語を語れないなという思いはすごくありました。

笹原 あの映画ほど予告編があんな感じで、しかも、へんなシーンばかり・・主人公の二人に絡みはなく、普通なのに・・ただ一カ所だけよね、18禁になるのは・・そんな意味では予告編の作り方がうまいよね。やっぱ、皆期待して見たくなるモンね。

杉尾 夫婦間の嫉妬心がテーマなの?

臼井 お殿方は欲情したからって、下半身に走るとひどい目にあいますよっていう説教の映画ですよ。(笑)

笹原 (笑)そういう見方も珍しいと思う。

杉尾 「危険な情事」みたいなもんね?

笹原 なぁんが、全然、なんにもないとよ。何にもないっちゃ。(書記:何にもなかったのが、いかにも残念に聞こえまするが・・やっぱし??)(この後、ストーリーの説明が入りますので、省略。)

杉尾 う〜ん、では実際には何も起きてないけれども、トム・クルーズの中の心理的なものの描写になるわけね。トムだけでなく、普通の殿方もそのような感情は常に持っているかもしれないという事ですね。なんか、女性向けの映画のようですね。

笹原 うん、ま、そうやね。期待して行った殿方たちは、期待はずれという感じになるよ。

臼井 俺はあの映画を薦めたいと思うのは、中学、高校生の男子ですね。(笑)買おうとした情婦がエイズと分かったとき、やらんで良かったということになるわけですが基本的にあの映画の‘えっ’と思ったところはそこなんですよ。トムはその場面だけは繊細な演技をしていましたね。そやから、面白く無くはなかったけど、誰かて考えそうな話でしょ!(このストーリー)そんな物語をあえてキューブリックがやっているという・・・・。

笹原 それとね、映像が凄いんですよ。何かあるかなって、見せるところはね。演出の凄さだと思うけど・・・。

臼井 僕は、映像は奇をてらっているだけやと思いますけどね。「2001年〜」でも、「シャイニング」でもやっているわけやし、今までやってたことの自分の反復やし・・・。

笹原 あの監督は、毎回描く時は違うし、同じものを期待するのはおかしいと思うけど。

臼井 イヤイヤ、同じようなものを期待させないようなのがキューブリックの世界なんでしょ。そやから、取り終わった後に、さすがキューブリックと言わさなあかんプレッシャーがあるわけなんですよ。

笹原 それは別に無いんじゃなかと思うけどね。「フル・メタル・ジャケット」は、もう一度見たいとは思わないけど「アイズ・ワイド・〜」は、なんかいろんな意味でもう一度見てみたい気がするね。

臼井 今回、そういう力はあると思いますよね。あと、シーンが空転しているというのが面白かったですね。いわゆる、あのマスクの使い方(小道具)が下手でしょ。トムの視点に置いておけば、マスクが嫁さんの横に置いてあるというシーンを先に見せたんが、あそこってすごいキューブリックって諦めてるなって・・。驚きがないんですよね。(書記 すみません。見てないので状況をうまく纏められません。)

笹原 そうね、本人は驚くけど、見ているこっちとしては知っているからね。

臼井 そう、そう。それと見つかるか、見つからんかというサスペンスの問題にするのかと思ったら全然そうもしてないっしょ。すごい、へたじゃない、もうちょっとねぇ〜。資質が違うんかしれんけど、キューブリックは物語を一つでは語りきらんのかなと思った映画ですね。ただ、それがだめって言ってるんじゃなしに、ひねくれた言い方をすれば、それが、なんか清々しいんですよ。

笹原 ラストの台詞がやっぱ〆たかったわけでしょ。

臼井 そうですよ。でもあんな台詞、途中から分かるじゃないですか。最後、ふたりでこう言って終わるやろうなって。今まで、キューブリックは絶対わかるようなことはしなかった人でしょ。「フル・メタル〜」でいえば、ラスト、撃っているのは誰やって・・・なるわけじゃないですか。それにちょっと仕掛けがしてあるワケですけどね。それなのに、今回やったんですよ、ラストのニコールの台詞はありありと想像できる・・・・。

笹原 ま、それが今回のテーマということですね。分かる?最後のせりふ・・・。

加賀 気になるなぁ・・・。

杉尾 気になる、気になる。

 この後、パーティーのシーンが好き・・・とか、メフィストの囁きとか妖しい雰囲気が想像をかき立てる映画だとか話はなかなか盛り上がりました。


ホーホケキョ となりの山田くん
 

監 督:高畑 勲

臼井 退屈ではなかったんですが、作品を云々ということは語りたくないです。あれで6億ねらうという徳間のそのズレ方という方がちょっと問題にしたいですね。作品的には、ようがんばってると思います。高畑勲というのは、あくまでも演出家やと思うんですけど、これって何を読んでも書いてあるんですけど‘適当’というのは主題なんですが、物語の主題を出す時に、どれだけ監督自身が適当にやっていないかが露骨にうかがえてて、実に見ていて息苦しいというか、楽しくない。後は、徳間の戦略ミスというのを是非問題にしたいなと思っています。

笹原 最初の15分間は凄いと私は思いました。結婚式のスピーチにのせてその人生を描いていく15分間が素晴らしくって、びっくりしました。後はどうしてもエピソードの羅列になってしまうんで、やむを得ないなぁという気はしました。ま、がんばってるなぁと私も思いましたが・・・。

鬼束 まず、最後の方が話としては面白くなくなってるんですよね。あの辺が思い切ってやめて、短くまとめるかしたほうがよかったのかなぁと思いました。加賀さんに言われて気が付いたんですけど、妹が迷子になるエピソードがなんかどこにもってきても長すぎるし、あれは失敗やったんじゃないかなぁと思いました。あと‘適当’とか‘ま、仕方がないと思うしかないんじゃないですか’というのは、あれは、去年、日本で今まで1万人台だった自殺者が2万人台になったというんですけど、そういう人たちにかける言葉としてあるんですよね。そういう意味であの映画は凄い映画だと思います。ただ、終盤が面白くないんで、その点が少し残念ではあるんですけど・・・・そういう映画でした。

加賀 なんで、「山田くん」を映画に選んだんやろね。

臼井 ものの本によると、○とか◇とか△というものが動くというアニメーションの元々の楽しさ、原点に戻りたいというのがプロデューサー、監督にあったみたいですよ。そうしたら、朝日新聞を見たら、○とか△とか◇とかろくでもない漫画が毎日載ってるって・・・・それで、これでいこうと、決めたみたいです。そん時は、「いけるっ!」と思ったみたいですよ。

加賀 四コマ漫画を長編にするっていうのは、難しいじゃないですか。四コマだから面白いけど・・・。

臼井 「がんばれ!タブチくん」1〜9回まででてくる1回のエピソードを10分でまとめているんですね、これみたく、どこから入っても大丈夫ですよっていうふうにすればよかったんですよ。24億かかったというお金は設備投資とかで入れた機械の金まで入っている。直接経費というのはそんなにかかってないという・・実は一番適当なんは、あの制作費というのが、ちらほらと飛び込んできましたね。

加賀 素人にはそんなにお金をかけたように見えないのが、哀しいよね。(笑)

臼井 ある意味じゃ、それってすごいんじゃないですか。(笑)

加賀 僕ぁ、よくわかんないけど、技術的になんかすごいとこがあるんですか?

杉尾 なんか、コンピュータで作ってあるから、輪郭の線が少しでも離れたりすると、色を指定したときに、その色が全体までこぼれて同じ色になっていまう・・・そこら辺を自然にするのが、なかなか大変だったようなことをテレビでやってたよ。

臼井 手書きより、コンピューターにすると簡単になるかと思ったけど結局、同じくらい手間がかかったという、笑い話もあるみたいですよ。

加賀 でも、結局、結果だからね。映画か面白いかどうかだもんね。

臼井 そうそう。そのわりには・・・という感じですよね。それと、ポチが活躍せんかったんが残念だった。

加賀 あの漫画はポチの存在感があるもんね。

臼井 そこら辺が、ちょっとこの映画は読み違えているなと思いますよね。

笹原 別に漫画の面白いところを持ってこようとしていないんだから・・。あんなのが映画になるかって、自分でも言っていたよね。あんな平凡な家族でも映画になるんだっていうのが先にも言った15分なんだよね。それだけで、もう、後はよかったような気するよね。

臼井 (笑)でも、それだったら、小津の映画を見てる方がまだいいなって感じですよね。

加賀 僕、眠ってたんだけど、学校のシーンとかあったんですか?(笑)

臼井 ありゃ、ほんまにねてたんですね。(以下、ストーリーの説明なので省略)

加賀 藤原先生はあの後ね、先生をやめて・・・(臼井さんと同時に声をそろえて)推理小説家になるとよ。(笑)

臼井 田渕こうすけ先生の門下なんスよ。これでも、僕、フリークだからね。月光仮面のくだりは、実は、全共闘に敗れた男達の挽歌だって・・・・白状すると、僕この映画、2回見たんですわ。(笑)(書記 ピカデリーとセントラルと・・・臼井さんも気を使ってます。)高畑勲が全共闘で惨敗というのがあって、それで、結局、なにも目指すものに変えることができなかったという時、行き着いたのが‘適当でいい’ということではないでしょうかね。あまり、面白くないですよね。

笹原 今時には、あんまり無いようなホンワカした映画やったよね。ラストにみんなで歌ったりして終わって・・・。

臼井 中村珠緒の死にかけたばあさんを泣かせるところが、饒舌すぎて、僕はやりすぎと思ったけど。

笹原 僕は、あの辺が上手いなぁと思うんだけどなぁ。あと、俳句は、なんかちょっといい加減なところもあって邪魔な感じもしたよね。

臼井 普通のアニメーションとして作られたら・・・こんな公開の仕方じゃなかったらまた違っていたかもね。正月から、流れてて、そのCMで流れていること以外はなんか見られんかったですからね。今回、やっぱり、ジブリというのは宮崎駿だというのがわかったね。もうちょっとこじんまり宣伝すりゃえかったのに。

笹原 うん、それで、今回2本の映画について話して思ったんだけど、「アイズ・ワイド・シャット」はキューブリックの映画でしかも遺作というのを前提にして話して、「山田くん」は、あんだけ宣伝、制作費をかけて人が入らなかったとかいう話題が先行して・・・だけど、僕はそれは映画を語る上であまり関係ないと思うとよね。何かこう、そんなんは付随することであって、もっと映画だけで話したいなっていうのがある。俺はそういうふうに見たから「となりの山田くん」はあんまり人が入らなかったとか、金かけすぎとか関係ないっちゃわ。「アイズ〜」も同じよ。なにもキューブリックとして見なくってもいっちゃわ、一つの映画として見ればね。そんな感じする。

臼井 それは、実に正しいと思います。でも、そこんとこ(監督、話題性)を忘れるのはなかなか難しいですよね。あの2時間40分の映画だけで語れっていうのは難しい。

以下、90年代のいろんな監督の有名度と作品の見方についての話に移り、それから、宮崎駿の本当に語りたいのはどういうことかということについて監督の全作品を揚げながら話が盛り上がりました。(書記:高畑勲はどこかに行っちゃったダヨ。)

以 上 


今 月 の 一 本

鬼束  『あつもの』
緒方拳主演の菊づくりの名人の話です。援助交際の現実なんかおりまぜて楽しめます。是非、見て下さい。

加賀  『用心棒日月抄』藤沢周平著
四作あります。前にNHKのドラマでありました。するすると読めてお薦めです。

笹原  『メッセンジャー』
馬場監督が非常に作りがうまい!起承転結もしっかりしていて、傑作ではないけれどもよかったです。見て下さい。

臼井  『牛タンのシチュウ』臼井省司作 『裏窓』ヒッチコック作
グレース・ケリーのあまりの美しさに、くらくらっときました。


1999年11月号(151号)

参加者:臼井・鬼束・加賀・笹原・杉尾・隅田・酒井M・酒井T・もえちゃん・あきらくん・矢野(書記)
今月は、6月に特別ゲストで迎えましたもえちゃんのお兄ちゃん、あきらくんが初参加となりました。酒井Mさんのアメリカ出張のお土産のおいしいチョコレートも頂きました。ごちそうさま!今月は4本!!さっ、いきますよ〜

マトリックス

笹原:技術的には面白かったけど、近未来SFは好きじゃないので...なぜかというと未来がないから....ナウシカとか...でもこれは一見の価値ありということで、人には勧めています。

鬼束:ねてしまった...。(一同ええぇっ〜〜!信じられない!)ビールを飲んだせいかも...でも2回見たんですけど同じところで寝てしまった...。現実とマトリックスの世界の説明のところで寝た気がする。何回も見るのにはあのリーダーの人が捕まるところがいやでした。アクションの日本間のシーンはきれいでかっこよかった。でも最後のほうの突きのシーンはだめ。フニャフニャしててやっていない人のしかた。(詳しいな〜、と皆の声)

酒井M:実は集中してみれなかったので、よくわからなかった。いつの間にか最後の字幕になっていた。所々面白そうだなと思ってはいました。(実は飛行機の中で英語版をご覧になったようで、たびたびお隣の方が話しかけてきたのでした)

隅田:時間の割には短い気がしたので、結構集中してみていたんだろうなと思った。ただ、いろんなシーンとかは、衛星放送でメイキングを見ているので、みんなテレビで見てしまってました。(笑)映像はいいかなと思うけど、ただ最後が何でもありになっちゃうじゃないですか。あのおわり方は締まりがない気がした。

加賀:続編作るんでしょ。予告編見たんで、それで盛り上がって、みたいなという気はしなかったんですが、いろいろあるでしょうが面白かったですよ。ターミネーターあたりの流れでしょうけれど、マトリックスと現実の世界の設定はよく考えたなと思いました。登場人物の黒づくめとサングラスもかっこいいし、こんなかっこよくて面白い映画だったら文句のつけようがないと思います。

矢野:面白く見ました。カンフーのところでは、ブルース・リーを思い出しました。手招きするところとかそのまんま、中学の時にブルースリーにあこがれて武道の道に入ってしまった過去がありますから....楽しかったです。最後のほうでネオが・にでれなかったほうの展開にしてほしかったです。

杉尾:私は頭悪いので1回見ただけではあまりよく理解できず....最初はネオがかっこいい...あの女性が壁を横に走って行くだけでわくわくした...発想が面白い。今まで全く疑いなく生きてきたところが仮想の世界といわれた時のあのショック。もし自分が言われたらあの裏切った人みたいに記憶を消してもらって元に戻りたいって思うかもしれない。キアヌ・リーブスのカンフーは結構サマになっていたと思うのですが素敵でした。最後は・ボックスからヒューッと上ってきたので、スーパーマンになったのかと思うほどでした。

(この後、結局世界は2つなのか3つなのかで論議があり2つに落ち着きました。)

杉尾:細かいところを見た人と話すのも楽しかった。

鬼束:女の人がかっこよかった。でもねぇ〜。

******** 杉尾さんの質問コーナー ********

問い.ネオが虫を抜き取られて指導者のところへエレベーターに乗って行くでしょ、そこは?

答え.仮想世界

問い.いっぱい赤ちゃんがいてズボッと出てきて、ズズ  ズズズッ〜激しく起こされて気がついたところは仮想も現実も同じだったの?

答え.あのときのネオが現実でどこの世界にいるか解っていなかった(隅田)。そうそう、どこにいるか探していた(加賀)。

問い.そこは仮想?

答え.????

問い.赤と青の薬を飲むところは?

答え.仮想

問い.おめでとうって言って機械から引っぱり出されるのは?

答え.現実。(そこまではっきりさせんでも...)

問い.監視ロボットはなぜ人間の味方をしたのかな?

答え.あれはもう不良品として取り出したんじゃないの...(隅田)
全員:大笑い。もう1回見ないと解らない!!

矢野:予言者はどんな人だろうとわくわくしてみてたら....

加賀:ふつうのおばちゃん!!

杉尾:私が愛した人は救世主だからといってチュッとすると生き返るのはいかんよね〜

加賀:それが映画だから!!

酒井M:集中してみるとそんなに難しい映画なんですか?解釈が違う。

矢野:予言者の告げた生き方とその人がその通りに進むかというのは違うのだと誰かが言ったのは納得して見てました。

杉尾:裏切り者が先に帰ったときは、ドキドキしました。船の中で最初に撃たれた人が生き返ったね〜。ひどく撃たれたのに。

??:撃ち方足らんかった。

と、このあとさまざまに語られました。

・銃撃戦がすごかった
・あんな風に壁を走ってみたい
・キアヌは20キロやせた
・監督は「バウンド」のウォッシャウスキー兄弟
・バウンドに出ていた女性の描き方もかっこよかった
・TVゲームみたいな映画
・見た後スカッとする
・自分が強くなったような気がします
・あの虫何やったと〜
・何で電池やったと〜
ということでよくわからなくても楽しめて、解らなかったら又見てみようと思う映画かな。

最後に臼井さんに喫茶店のお仕事を終えて、一息つくまもなく感想を語ってもらいました

臼井:僕的には面白くなかったですね。アクション映画なんですがアクションに見えないんですよね。結局頭の中の世界じゃないですか。何か広がりを持たないような気がするんで、最後は飛ぼうが何をしようがありやな、っていうのは頭の中で成立することですから、映画っぽく見えなかったですよね。それだったらバウンドのほうが良かったかなって。

(ここで臼井さんが英語版のマトリックスのビデオが存在することと実はそれを見たことを告白する)キアヌ・リーブスにとっては、良かったんじゃないですか。たぶんSF映画にとっては傑作だと思うんですよ。向こうの世界に行った時の現実世界が何が何だか解らない。イカが襲ってくるけど、何処から発生してくるのか、宇宙船は何処から来てんのか、よく分かんないんです。下水道管の中であの宇宙船は何処へ行けばいいのかもわかんないし。何処へ行けばいいのかって言うのがあるからサスペンスになるんだけど、撃退するだけじゃサスペンスにならない。パニックにはなっても。二作、三作目でどんどん悪くなるんじゃないんですか。ジョエル・シルバー製作だから、彼の映画かなって思いました。
 新しいこといろいろやってヒットを当てようという、気合いみたいなもんは見えました。気合い、こころざしは良しとしますが、んー、疑似現実のアクションというのは、結局現実世界以下。疑似現実のほうが映画の中ではウエイト大きんですけど、宇宙船の中でされていることが現実と思うと、どうもさめるんですよね。これが面白いのかもしれないけど。SF映画としてすごいという人はいますよね。ああいう発想はなかなか出ない。でもアクションというのは突き抜けんといかんと思うんですよ。キアヌ・リーブスが3つに分かれて戦おうが何でもあり。その彼をどうやって殺そうかというほうが面白いかも。何でもできるようになってるもんですから...。映画館にとっては良かったんじゃないんですか。


金融腐蝕列島[呪縛]

加賀:わりと最近あった実際の事件をそのまま映画にしたような...そんなに工夫もないし、面白かったけどそれ以上でもそれ以下でもない。も一つ工夫足りないなって。この程度だったら、一昔前ニュースをわかりやすくするためにTVドラマで玄人の俳優使って作ったもの、あのレベル程度かなって思った。昔「さよならおりゅうさん」ってのがあったけど、ロッキード事件の、そっちのほうが面白かった。縦糸と横糸ってあるでしょ、縦だけで横糸がないなって表面的というか、人はいっぱい出てくるんだけど、人間に深みがない。ま、説明が大変だからね、描き切れていないって感じ。

酒井M:最初の20分はテンポが速すぎてかなり集中しないとついていけなかった部分があります。だからもうストーリーをただなぞっていくだけで深みがないというか原作を、ダダァーッと話にしているみたいでした。これだったら小説読んだほうがよかったかなと。映画化だから映画としての特色生かせるような、登場人物を絞って別の視点から描くことができなかったのかな、と思いました。でも見ているときは結構楽しめたし、あんなもんかなという感じです。

鬼束:これは湯布院映画祭の最後で見てきたんですが、困ったんですよ。監督に話しかけるのに、今一だなって言えなくて。少しでも気に入ってたら「良かったですよ」っていくらでも話しかけられるっちゃけど、あ〜、と思いながら、結局話しかけることもなく....。勢いで押し切られたという感じ。細かいところの面白さがあったらな、という気がしました。もたいまさこと本田博太郎のところが笑えました。

もえちゃん:○*!$%#&*?

笹原:全部力で押し切ったというちょっと無理があるよなという感じ。一番のクライマックスは株主総会の所なんですが、あれでおわりなのかなっていう...もっと何かないのって言う感じはあった。あそこは締めてほしかった。警察の人はいかにもという感じで、あのキャラクターは良かった。湯布院映画祭でとりをやるのはだいたいその年のベスト1ぐらいの作品なんだけど、今年はちょっと意外だったな。原田眞人は馬鹿ですね。

もえちゃん:○*!$%#&*?ない〜

矢野:銀行の裏の汚いところがわかりやすく学べるかなって思ってみたんですが、ほとんどその基礎知識のない私にとっては期待はずれでした。最初の10分を最後に見たんですが、最後の字幕にあった特別出演の丹波哲郎は、そこだけに出てたんですね。

笹原:活躍する4人組の位置とかがもうちょっと描かれてれば。

加賀:見た後、何も残らない感じ。

酒井M:見ているときは気にならないんだけど期待したようなものがなかった。「呪縛」の意味は?総会屋と切れないところ

酒井M:銀行の世界がふだんの生活とかけ離れていてリアリティが感じられなかった。

鬼束:総会屋の部分は映画でもっと描けないんですか、って湯布院で聞かれていたんですよ。そしたらそういうのは危なくて、まだ...って言ってました。(皆大笑い)

笹原:主人公が映画の中で脅されていたようになるっちゃないと?

矢野:やくざじゃないんですか?(無知でごめんなさい)

加賀:仕事の内容が違います。総会屋が発行している新聞を定期購読させて新聞の記事に書くことで圧力をかけてくる。重箱の隅をつつくように...

矢野:描けない部分なんですね。

加賀:テレビでは見せない、検察庁が強制捜査をする場面など見せてくれて、あーこういうふうにやるんだな、そういう面白さはありました。個人の手帳が押収されるとか


オースティンパワーズ・デラックス

杉尾:すごくいやっ!!悪友二人といったのですが一人で行ってたらあれほど楽しめなかった。友達がゲラゲラ笑うのがおかしくておばさんやなと思いまいした。若いカップルは、私たちが笑っていた下品な場面では、笑っていませんでした!(笑)

酒井T:宣伝見てゲラゲラ笑ったので面白いかなって思ったら、宣伝で十分におかしかったので、見なくても良かったかなと思いました。マドンナの歌が好きで歌のプロモーションビデオにオースティン....の主役の人と出ていて、それがすごくHっぽくて、お尻を顔につけたりして、そのほうがよっぽど面白かったです。

臼井:一作目ほど面白くなかったなって言うのが結論です。

酒井M:デラックス見て次にビデオで一作目を見たんですが、一作目を見ていないと二作目の面白さが解らない部分がかなりあって、これは見る順番逆だったなって思って、がっくりしました。息子のシーンとか一作目の話を引きずって二作目になっているところがいろいろあるんですよ。でもやっぱり一作目が面白いです。二作目はその勢いで作ってような気がしました。

鬼束:一作目見たんですよでも精神的に良くなかったんで、なんかついていけないなって..マーク・マイヤーズが、5役ぐらいしていたんですよ。デラックス見て無性に一作目が見たくなってビデオやに行くんですが、いつも貸し出し中で、いつかみたいです。

笹原:予想通りの映画でした。もうちょっと英語が解ったり、向こうのこと知ってたら、面白いんだろうなって思いながら見てました。

杉尾:ぱっと見てぱっと終わる映画。何も語ることないっ!(笑)言葉を言わせないようにするところが子どもっぽくておかしかった。

笹原:あそこは面白かったね。

この後、入場者が1週間だけアメリカでスター・ウォーズを抜いた話や、二作目よりも一作目のほうが、どちらかというと必見の価値があるか?との問いに対して、淑女は見てはいけないとのご意見がありました。しかし、見てしまった女性が淑女でないということをいったものではありません。ご覧になった女性の皆さんご安心あれ!


ノッティングヒルの恋人

臼井:なかなかどうして傑作らしい...見たいんですが、みんなから見たら、どうしても反臼井的な映画でしょ、反臼井的な映画にはけっこうやられるんですよ。ジュリア・ロバーツは好きでもない...。みてない...。間違っても感動したとは口にすまいと。

酒井M:(吹き替え版を飛行機の中でご覧になったようです)前評判がローマの休日と同じくらい、という人がいたんですけど、全然そうじゃなくて、まーこんなものかなって。優れた映画じゃないし、僕は映画でよく泣くほうなんですけど、涙も出なかったし、これといってなにもないです。

酒井T:全然面白くなかったです。久しぶりに一人で映画を見に行ったので結構ロマンティックかなって思ったら、そうじゃない。主役のヒュー・グラント好きなんですけど、かっこよくもなくて、ジュリア・ロバーツも能面のような演技で恋をしてるんだか、嬉しいんだか、悲しいんだか。音楽がなかったらわけのわからん映画かな。

あきら君:それは文句じゃないの?(鋭い突っ込み!)

笹原:最高の映画でした。(皆爆笑)ジュリア・ロバーツが人気のある女優役で、彼女がヒュー・グラントの家族と話す時に本音で色々話しするんですね。これが非常にリアリティがあって今までと違う恋愛映画だなと思いましたね。涙は出ませんでしたが良かったかなという感じです。所によると傑作という情報も。私が誉めると臼井さんがけなすというパターンがあるんで....

隅田:感動するのが好きな人からは評判悪い。口コミで広がったようでレディースデイはいっぱいだとか........


今月の1本

鬼束:秘密

笹原:ダリ展

杉尾:秘密

矢野:マトリックス

加賀:シンプルプラン

隅田:チキチキバンバン

臼井:メガフォース

酒井M:エドT.V.(日本未公開)

酒井T:特にありません。まだ見てませんがサイモンバーチがよさそう..。