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2004年1月号

参加者:笹原・酒井・小野・林田・杉尾 書記:加賀

阿修羅のごとく

監督:森田芳光
脚本:筒井ともみ
原作:向田邦子
主演:大竹しのぶ 黒木瞳 深津絵里 深田恭子

酒 井 いま話題の女優さんばかりを集めて、非常に期待したんですけど、ちょっと期待の方が大きくて今一迫ってくるものが無くって、拍子抜けしたみたいな感じがしました。ドラマの設定がこじんまりしてるところが、どうなんでしょうかね、たしかに個々の演技も上手いし、あれなんですけど、今一迫ってくるところが無くって、どうだったのかなという感じです。ちょっとまた難しいので、また後ほど言います。

杉 尾 だいたい、監督を間違ってました。あのホームページ消してほしいいくらい。森田芳光と滝田洋二郎?…ホームページの掲示板に恥ずかしいことを書いてしまった。森田さんが作ってると思った「ぼくらはみんな生きている」と「木村家の人々」と「演歌の花道」、全部、滝田さんでしょ、それと一緒と思ってた。酒井さんと一緒で、薄っぺらな感じがしたんですよね、人間ドラマがドロドロしてるはずなのに、描き方がけっこう薄っぺらで。女優さん同士のぶつかり合いとかは面白かったんだけど。 飛行機がぐるぐる廻るのが最後に止まるのが印象的でした。

林 田 わたしは、テレビで最初に見て、何年も前ですけど。八千草薫が長女をしてたんですね、その時は、今度はお母さん役で。それで原作も読んで、原作に忠実には作ってあるなあとは思ったんですけど、やっぱり原作どおりではあったんですけど。 ただ映画館まで行くほどじゃなくって、ビデオでもよかったのかなって言うくらいに感じました。 テレビドラマと比べてもテレビドラマの方が迫力があったかなあと思います。音楽にしても。演技は凄く、女優さんというのは本当に凄いなと、大竹しのぶが男の人と絡むシーンとかも本当に上手いなあって思いました。誰にでもできることじゃないな。そういうことで感心はしましたけど、映画そのもの、それと向田邦子の原作は好きでしたけど、映画そのもで、ああっということは無かった。

小 野 またもや先月に続いて、2カ月連続となりの県からお邪魔しました。阿修羅のごとくですけど、皆さんから口のことをいってらっしゃるけど、まあ薄っぺらいところがあるんですけど、僕はけっこう楽しめたです。最近の“家族ゲーム”と“ハル”が好きなんですけど、あとは“の・ようなもの”とかいろいろありますけど、“それから”とか、それから雰囲気はいいんですけど、ピンとこなくって、今度はけっこう楽しめた方でした。最初の四姉妹とおんなしで、遊園地で四つの飛行機を見上げてるシーンで始まって、途中でたびたび、インサートされてて、けっこう整ってますし。向田邦子は鹿児島に縁のある人なんですけど、恥ずかしながら浅学仔細にして、ちょっと作品を読んでませんで。テレビドラマとか原作とかよくわからないんですけど、けっこう楽しめたほうです。最近の“刑法39条”とか“黒い家”とか辟易するような作品がつづいたもんですから、それに比べると、楽しめました。でも…、でも、の後はまたのちほど。

林 田 次女の夫がお父さんをかばうシーンがあったんですが。一生懸命働いて家も建てて、ちょっとくらい色艶を求めて何が悪いって、それそう思われます? 許せんと思うか、男の人ならそう思うかなとか。私もそう思うんだけど。腹はたつね。 女にだって言える、子供を育てて大きくして、今ちょっと色っぽい話があっても、それはそれでいいんじゃないのって、言えるのかも知れない。

酒 井 1970年くらいのイメージですか、もうちょっと前でしたっけ、それにしちゃ、ちょっとちぐはぐなところがあったような気がするんですけどね。

林 田 携帯とか無かったよね。

酒 井 髪を茶色に染めてなかったけ。

林 田 やっぱりあの人がちょっと大袈裟すぎた、中村獅童。あれはテレビでは宇崎竜童だったの、あの人が良かったのよ。ほんとに上手いなぁと思って。ちょっと今度のは大袈裟すぎたかなと。

小 野 ただ中村獅童は“ピンポン”と比べると、またいろんな役ができるんだなという感じ。

杉 尾 仲代達矢はどうですか?

酒 井 難しいですね、存在感があったからあれでいいんでしょうね。

林 田 子供たちが尊敬してたわけでしょう。

酒 井 だからそのイメージにぴったりですよね。

林 田 八千草薫が次女の役だったのね、長女が加藤治子で三女がいしだあゆみだった。初めて観にいった人にはすごい迫力だったと思う。

杉 尾 黒木瞳も良かった。

小 野 森田芳光作品といえば、亡くなられた淀川さんが“失楽園”をくっついたまま亡くなるなんて、その後に残された人、ホテルマンとか、皆に迷惑をかけて亡くなるような、あんなのはマナー違反だ、「あんなのは見たことない」と言って亡くなりましたけど、そういうところが今度もちょっと、こういうシーンがあったでしょう、仲代達矢が縁側で爪を切ってるんですよ、爪を切ってて、それを後で八千草薫が新聞を持ってくるんですよ、その新聞には見ては困るような内輪の事情が書かれたような匿名の記事が載っていて、

林 田 見せようと思って、自分ということは分からないわけでしょう。だからだからお父さんにあれを見せようと思ったんじゃないの。どこの誰が書いたのか分からないから、自分のしてることと同じことが書いてあるから、お父さんにあれを見せようと思ったんじゃない、わざとあれを出したんじゃない。

小 野 そこに黒木瞳が新聞を見られたら困るっていう感じで、誰が書いたかわからないっていうんですけど。爪をきるのに、新聞を広げて切りませんか?それをそのまま出して、爪を切った後はくずかごに入れた後、ちゃぶ台におきゃっとですよ、今日の新聞を。

杉 尾 ちゃぶ台に置きましたっけ。

小 野 ちゃぶ台い置きましたよ今日の新聞を、そんなことをしたら僕なんか、亡くなった祖母とか、年取った母から朝昼晩、ごはんを抜かれますね。

林 田 あれは今日の新聞をわざと。

小 野 それでもちゃぶ台に置きますか?

林 田 だれもお母さんが書いたと思わないでしょう、娘のうちの誰かが書いたと思ってるんでしょ。

杉 尾 そういうんじゃなくって、爪が一回さわったものをテーブルに置くっていうのがいかんて言うんでしょう。

小 野 そうなんです。淀長さんの言ったのも、もっとも。  結局、八千草薫をはじめ、、みんな火宅の家の人々みたいな感じがあるんですけどね。

杉 尾 一番下の人はちがうでしょ。

小 野 はい、一番下だけ。

笹 原 わたしはテレビのほうは見てないんで何とも言えないんですけど。原作も読んでないんですけど。やっぱり森田芳光はよくまとめたなって感じはしましたよ。女優さん、黒木瞳とかね上手いなと思ってね、感心しました。全体的には好きな映画です、内容的には。


g@me.

監督 井坂聡
脚本 尾崎将也
原作:東野圭吾
主演:藤木直人 仲間由紀恵 宇崎竜童 石橋凌

笹 原 これもいろいろと賛否なんですけども、私は大好きな映画で、私にすれば藤木直人君と仲間由紀恵ちゃんは、美男美女のグループだと思うんで、映画って美男美女でストーリーが面白くってというのが基本かなっていう感じで、久々にそういう映画を観たなって感じでした。特に仲間さんは最近、二枚目半とか三枚目が多いんだけど、これは全然違って、普通の女の子の役って感じで、それをちゃんと演じてたんで演技のできる人なやなと思いました。

酒 井 私はあの映画を観て、一番最初に思ったのはあんなマンションに住んでみたいなっていうことでした。いったいどういうことをすればあんな所に、いったい月なんぼぐらい払わなきゃならないかなと思いながら見てました。みごとに最初のあれに騙されまして、ああと思いまして感心しました。それでちょっと身構えて、だいたいその次の展開からどういう風になるかって、非常にストーリーがおもしろくって、最後までぐいぐいと引っぱってみて、生き返るんじゃなおいかなと思います。ですから、そのストーリの面白さだけで十分に僕は楽しめた作品じゃなかったかなと思います。そんなに長くもないし、人間のかかえているバックグラウンドとかねちねちしたところとかあんまりなくって、サラサラサラと流れて、中途半端に終わらずに良かったんじゃないかなと。もうちょっと入れたら、もうちょっと違ったようになっちゃったんですけど、こういうふうな出来のほうが良かったんじゃあないかなと思いました。

加 賀 最近の日本映画にしては、話が面白いし暗くもないし、おしゃれだしユーモアもあったし良かった。最初の主人公が倒れてる場面から入るのもニクイし、話が進んで主人公が起き上がるところとかね、あそこで本当に死んでしまっても、それなりに面白い話だと思うけど。その後の二転三転もくどくならずにぎりぎりがまんできる、展開でよかった。ところで主人公の藤木直人は唐沢寿明に似てません?

小 野 僕は“サード”の永島敏行に似てると…

林 田 怖い

杉 尾 私もとても楽しめました。最後まで騙されて“樹里”っていう人が違う人だっていうところもわかりませんでした。1人死んでるっていうのもびっくりだったし、騙しあいもたのしかった最後にハッピーエンドでよかったなと思いました。

林 田 今日新聞にコメントを書いてたんですけど、わたしのと変えてあるのよね、新聞にいいよにね私は、すごく綺麗な顔で、汗ひとつかかずに悪巧みをすると書いたんだけど、“汗ひとつかかずに”っていうのは、はぶかれていたのよ、新聞でね。なぜ私が汗ひとつって言うのかというと、やっぱり悪い、一応あの人が悪い人じゃないけど、悪いことをするにあたって、やっぱり携帯とパソコンというのは、自分で苦労をしたり労働をしなくっても、悪いことができるんだなというのは、ちらっと思うんですよね、いまここにいるっていっても、昔だったら、どこそこのホテルって言えば、ホテルに電話して帰るから、いるってわかるけど、今なら、どこそこにいるって言っても、それは携帯ならわからないわけでしょう。そういうのも携帯の悪いところであり、こういう時代のすばらしいとこでもあるのかなっていうのは考えました。それと二転三転は、他の人と一緒で単純に私も騙されて、でも私が一番よかったと思ったのは藤木直人が本当はあの女の子を好きだったというのを分かったところで、涙がでたのよ、ほんとによかったぁ、やっぱりこれだったら今のなんでも出来る時代だけど、人を好きだっていうのは昔の恋愛小説とここのところは変わってないって思ったのが、一番嬉しかった。全部おもしろかった。

小 野 この「g@me.」って、なにせ監督さんが「ミスター・ルーキー」っていう虎党にしては肥後随喜の涙を流すものですね、個人的には去年の番外張出しベストワンっていうような作品をお撮りになった監督さんの作品ですから、ちょっとあまり、苦言は呈したくないんですけど、この映画はまず藤木直人と仲間由紀恵の美女コンビが、この2人が学芸会的演技が、もうなんていうですかね、あまりにも2人の演技が下手で、まずこれでのれなくて、後もさっきどんでん返しがひつこくないという意見をおっしゃったですけど、ちょっと僕はあのどんでん返しがダメで、ああそうですか という感じでですよ、昔ちょっと見た“名探偵登場”なんかはどんでん返しにつぐどんでんがえしで、でも見終わったあと爽快感があったですけど、“名探偵登場”よかったなと思いました。

杉 尾 飽きずに最後まで見れた。

酒 井 まあ演技のことに関しては、先ほどの映画とまったく逆ですよね、比べ物になんないくらい。

加 賀 僕は仲間由紀恵は“トリック”のほうが好きです。

小 野 あえて追加すると今年のワーストワンに、“木更津キャッツアイ”といい勝負の。

杉 尾 じゃ、あれは迷宮入りになるの。あの金髪の人が犯人?

加 賀 犯人にさせられるけど、証拠不十分で無理でしょう。

酒 井 それはやっぱりミカドビールの副社長がもみ消すんですよ、各方面にお金を払って。

小 野 石橋凌はぬけめの無いやつで、なんとかウイークポイントを探がすみたいなとこがあるんですけど、どんな状態になっても弱みをみせない。

笹 原 今年は「AIKI」もあったしね。

杉 尾 殺したから、家出をしたの? そしたらたまたまあの人がいたの?

酒 井 最初に殺人があって。

杉 尾 彼女が家を出た時、彼がいたのは偶然でしょう? その後にトリックを…。

笹 原 それは携帯でお父さんが指示した。それと藤木直人は“なおと”じゃなくって“なおひと”とよむんですね。


マトリックス レボリューションズ

監督:アンディ&ラリィ・ウォシャウスキー兄弟
脚本:〃
主演:キアヌ・リーブス ローレンス・フィッシュバーン

加 賀 三本観ましたが、最初が一番よくって、だんだんつまんなくなりましたね、最初の機械に支配された世界とマトリックスの世界の対比がすごく新鮮でよかったんですけど、あの着想の志がなくなってきて、今回は単なるアクション映画に成り下がってて、つまんないなと思った。楽しめなくは無いけどやっぱりつまんない。

酒 井 最初からマトリックスはあまり好きじゃなかったんですよ、斬新な撮り方だけで、二作目で特撮の方に重きをおいて内容というと、何でも有りになって、ここまで何でもありだったら三作え目、どうなるんだと、どうゆう風に収束するんだと思ったら、なんか知らん間に終わってたり、なんかそんな感じで、最後なんかベンチで座ってて朝焼けを見てた。なるほど、こういう終わり方しかなかったのかと思いました。  なにもストーリとか考えずボヤッと見てて、いっぱいのうじゃうじゃの機械と闘ってるとこなんか、ぱっと見てる分にはそれなりに、大きい映像で見てる分には迫力もあるしね、非常に楽しめたと思うんですけど、じゃ、何が残ったかというと、なんかいまいちですね、一瞬深い様な思わせぶりをして実は何も無いという、作ってる本人がどういう風に収拾しようかと悩みながらこういう決着にに結びつけたというところで、作ってるほうも混乱してるから、見てるほうもよけい混乱してわからなくなったと、そういうふうな、よくわからない作品になっちゃったんじゃないかなと思います。

笹 原 私も1にはあまり思いいれはないんですけど、ちょっと変わった映画がでたなというのは思ったけど、2があまりにひどかったんで、3は全然期待してなくて、その分おもしろかったです。あまり頭をつかわなくっていいような映画だったんで、ただ3は完全に戦争映画っていうかねスターウォーズなんかと一緒ですよね、闘いの映画。私はそういうのが大嫌いで、作品的には嫌いですけど、2よりは面白かったかなという感じです。

杉 尾 ぜんぜん面白くなかったです、ぼーっと見てる分には良いっておっしゃったけど、ぼーっと見てても苦痛、いつまで続くんだろうって感じ、内容的にも話が全然わかんないし、2より分かると言ったけど、台詞を聞いてても。

笹 原 わかるっていうか、戦争映画は考えなくていいわ。

杉 尾 でもやっぱり、入ってこないっていうか。とにかく面白くなかった。何言っていいかわからんくらい。ものすごく無駄な時間をすごしました。キアヌ・リーブスの魅力も全然、途中顔をやられちゃったし、ちっとも面白くなかった。

林 田 わたしは1がほんとに分からなかった。理解力がなくって、分からないでしょうとうちの子供たちにもバカにされて、分かろうと努力して2を観て、2は意味は分からないなりにおもしろかったんですよね、高速道路を走るところがね、でも考えてみたら3になって2で出てきた双子はどうなったのかなと思っても、双子はでてこないし、変なやくざみたいな2人と女も無くなってたし、2と3が続いてるという意味もなんか分からない、最後に謎が解けるかと思ったけど、双子の謎とかも何もわからないままで、わたしはすごい画面、東京のマックス映画って言うんですか、ものすごく迫力があったので、戦闘シーンは、ほんとに面白いというかあっけにとられてというか、ほんとに大画面だったんですよ、宮崎で観たのと全然違うだろうと思うんですけど、志賀さんがいつも言ってる大画面というのは、このことかと、大画面で見ると悪いものも良く見えるのかって、志賀さんの言ってる大画面がすごく頭にうかんで、でもすごく面白かった。ただ人間があそこで顔をだして闘うのかとおもったんですけど、面白いというかいい映画じゃなくって、ただばたばた、本当にいとまで続くのかなとは思った。後にもっと何かがあるのかなと思ったら、それもなかったから、とりあえず私もよく分からないまま終わった映画でした。

小 野 こんどは皆さんと意見があいそうだなぁ。なんちゅったんて“g@me”は四面楚歌だったから、僕もマトリックスの三作目はもう一つでした、だいたいウォシャウスキー兄弟の作品は”バウンド“は結構好きだったですけど、マトリクスシリーズは一作目もそんなに好きな方じゃなくって、SFは好きなんですけど、ちょっとCGが過剰というか、でもたしかに、相手の撃った弾丸が、体をそらすとスローモーションで体をそれてすり抜けていくシーンとか、ちょっと面白かったし2作目もハイウェイのチェイスのシーンとか、あとスミスとの対決のシーンとか、なんかモダンバレーを観てる様な優雅さでですね、たとえにだすにはおかしいですけど、マイケル・パウエルとプレス・バウガーの”赤い靴“とか、”ホフマン物語“の舞踊シーンをちょっと感じるくらいの新鮮さがあったんですけど、今度の三作目はほんとにマトリックス世界がつまらないというか、、ほとんどリアルな世界のロボットみたいな軍団との闘いの話ですね、ほとんど。最後のスミスとの闘いはちょっとしかないでしょう、ぞこらへんも不満でしたし、最後のオーーラスのありかたなんかもばかばかしくてですね、なんとか牛頭蛇尾にこのシリーズ終わったのかなという感じ。でも、まぁちょっとエポックメーキングといえるシリーズであったんだろうといえます。

酒 井 結局、映画はストーリですよ、お話がきちんとしてないといくらお金かけて特撮とかしてもつまんないんですよ。

笹 原 一応三作恒例の順番を。

加 賀 123。

酒 井 1、2と3は同等ですね。

笹 原 132。

杉 尾 123ですね。

林 田 213。

小 野 213。


今月の一本

酒 井 「名もなきアフリカの地で」

笹 原 「名もなきアフリカの地で」

杉 尾 「モンク」 ビデオ

林 田 「名もなきアフリカの地で」

小 野 「ファインディング・ニモ」

加 賀 「ブルート」 コミック

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