2005年5月号

出席者:横山 加賀 笹原 鬼塚 酒井 林田 野口 池堂 南 (書記)酒井

今回は、「ローレライ」そして「ロング・エンゲージメント」です。今回は、数年ぶりの鬼塚さんに加え、野口さんの友人(先生?)の南さんがゲストで加わりました。では、合評会レポートをお送りしたいと思います。(ICレコーダーの感度が良すぎて、雑音を高レベルで拾ってしまい、肝心の声が聞き取り難かったかったです)

ローレライ

【データ】2005年 2時間8分 配給:東宝
監督:樋口真嗣 製作:亀山千広 製作総括:島谷能成 関一由 千草宗一郎 大月俊倫 原作:福井晴敏 脚本:鈴木智 撮影:佐光朗 美術:清水剛 水密服デザイン:出渕裕 絵コンテ協力:庵野秀明 音楽:佐藤直紀 VFXスーパーバイザー:佐藤敦紀 VFXプロデューサー:大屋哲男
出演:役所広司 妻夫木聡 柳葉敏郎 香椎由宇 堤真一 石黒賢 佐藤隆太 ピエール瀧 KREVA 小野武彦 橋爪功 國村隼 鶴見辰吾 伊武雅刀 上川隆也

林 田 何も知らずに見に行ったので、潜水艦と聞くとつらくてもっといきずまる作品かなと思ったのですが楽しめました。あまり覚えてないけど、飛行機を打ち落とすところが面白かった。役所広司はいいのですが、彼しかいなのですかね。昨年から役所広司と妻夫木聡ばっかりですよね。映画は面白かったですよ。堤真一の言っているような日本になってしまった。娯楽映画としては良かったです。

野 口 この映画すきです。筋が通っていました。一番良かったのは戦闘シーンです。

池 堂 期待していなかったので楽しめました。原作は読んでないのでよく分からない部分もあったのが、最後のシーンはお金がかかっていると思います。

酒 井 原作を読んでいなかったのですが、この作品にある程度はまりました。これがヒットしているのは日本の観客がこれまでの日本映画のアニメや純愛映画だけでなくこの種の作品も評価しているということなのでいいことであると個人的に思っています。でも、私たちはハリウッドの特撮映画を見慣れているのでこのCGは量感がなく物足りなさを感じます。でも健闘しているのは事実ですけど。ドラマの部分も破綻無く出来ていました。

笹 原 ファンタジーと思ってみたのに、ローレライシステムの説明がなく、少し入り込めませんでした。役所広司とかの演技はうまいし良かったです。ただ、樋口監督にすれば、特撮は少しお粗末と思いました。

横 山 原作が大好きで感動しました。映画は原作が長いのでダイジェストしなければならないのですが、まとめ方が良かったです。監督の演出はオーソドックスでした。役所広司は良かったのですが、それ以外はあまり目立ちませんでした。特撮は日本映画ではいいレベルです。潜水艦映画としても出来は良かったと思います。海外でも十分に通用する出来であると思います。原作では、最後は日南海岸が出てくるのですが、映画ではそれはありませんでした。原作では全員死ぬのですが映画ではよく分からないですね。

加 賀 潜水艦映画です。娯楽を優先しています。実写ではなくてアニメで作っても良かったのではないかと思いました。時代考証を考えるとどうかなと思いますが。でも、いくら何でもラストは楽観的すぎですけど。2時間楽しめてよかったです。

笹 原 結局「ローレライ」システムって何だったんですか。

横 山 水を通して知覚するシステムです。なぜ一回しか働かないかという理由は、船を沈める時の乗組員の悲鳴が聞こえるからです。

笹 原 なんか分かったよう、なわからんような。

酒 井 どうせ作り物ですから、深く考えない!

加 賀 最後、話が現代になってジャーナリストが出てきますが、これは原作にあったのですか

横 山 原作にはありませんでした。最後だけ出てくるのは映画の作り方として少し変ですね。

酒 井 潜水艦の中は良かったのですが、陸上の方はいまいちという感じがしました。クーデターを起こすのですが、どうもそこらへんの描き方は手を抜いているのでないでしょうか。

突き詰めてみるとボロが色々出てきたようですが、概して好評だったようです。

ロング・エンゲージメント

【データ】2004年 フランス 2時間12分 配給:ワーナー
監督:ジャン=ピエール・ジュネ 製作:ビル・ガーバー 脚本:ジャン=ピエール・ジュネ ギョーム・ローラン 撮影:ブリュノ・デルボネル 美術:アリーネ・ボネット 音楽:アンジェロ・バダラメンティ
出演:オドレイ・トトゥ オドレイ・ギャスパー・ウリエル ジャン=ピエール・ベッケル ドミニク・ベテンフェルド クロヴィス・コルニヤック ジャン=ピエール・ダルッサン ジュリー・ドパルデュー ジョディ・フォスター 

野口、南、笹原、横山、加賀、林田、酒井の5人が見ていました。

野 口 10日前に見ました。すごく面白かったです。エンターテイメントというか引きつけられて、わくわくどきどきしながら映画を見ました。これは久しぶりでした。

 南  予備知識なしでみました。これ「アメリ」を取った監督だなと思いました。ハッピーエンドでよかったです。途中で戦争のシーンが痛い映画でしたが、出てくる人はみんないい人で良かったです。次回作が見たいです。主人公のオドレイ・トトゥは、見ようによってすごくきれいに見える時と、すごく変な顔に見えるときがあってそのへんが非常に魅力的な女優さんだと思いました。

加 賀 アメリは見ていません。ミステリーとしてはいいストーリーでした。セットが良くできていました。塹壕とか、倉庫を使った病院とか、洋風の家とか、そういうところをみるだけで雰囲気が伝わってきて良いなと思いました。

笹 原 2回見ました。でも、人間関係がわかりにくかった。でも、部分的にすごくいいところもあって魅了的な作品でした。戦争シーンが多いのですが、ここがこの映画のポイントだと思います。もう少し人物が分かりやすければ良かったのですが。

横 山 まあまあ面白かったです。関係者を訪ね歩いた謎を解いていくというのはミステリーの基本的なプロセスなんですけど、笹原さんが言ったように、登場人物が多くて分かりにくい部分がありますよね。もう少し映画を簡略化した方が良かったのではないかと思います。キャラクターがいかにもこの監督らしいのですが、原作と合っていないような気がしました。

酒 井 面白くみました。ミステリーとしては面白いんですが、謎解きの部分と恋人探しの部分は関係ないような気がするのですが。人が出過ぎて分かりにくいような気がします。加賀さんが言ってますけれども、この映画のセットの雰囲気が良かったと思います。

笹 原 この作品のあと、約30の嘘という映画を見たのですけど、これも登場人物が多くて分かりにくいのですけど、日本人であることと割と有名な人が出ていると言うことで分かりにくくは無かったです。この作品ももう少し有名な人を出していてくれればもう少し分かりやすかったのではないでしょうか。ただ、ジョディ・フォスターが出ているシーンだけは素晴らしかった。それから深作監督の「軍旗はためく下に」という映画を思い出したのですが、深作作品の方がずーっと素晴らしいです。

酒 井 ジャン=ピエール・ジュネがこんな大きな作品を撮れるとは思いませんでした。それからこの作品所々、取り方が独特でしたね。灯台の螺旋階段のシーンとか。

笹 原 空撮も良かったですね。

個性的な作品で皆さん結構楽しんだようです。

今月の一本

林 田 「アンコールワット」良かったです。上まで登りました。ビルで22階ぐらいです(やっぱり100歳まで生きるんだ・・酒井のコメント)

加 賀 あずまひでお「失踪日記」これが面白いんです。

横 山 「きみに読む物語」それほどでもなかったです。

鬼 束 「約30の嘘」

笹 原 「きみに読む物語」文句なしに良かったです。はまりました。

野 口 「さらば我が愛」、「アバウトシュミット」

 南  「用心棒」

酒 井 「サイドウエイ」