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2000年2月号

正月映画総まくり

参加者・笹原、加賀、鬼束、杉尾、酒井(正)、臼井、書記・藤本

御法度

加賀 わりと要点をつかんで描いてあって、非常にすっきりとして良い映画でした。皆良かった。キャストが皆はまっててミス・キャストがないなーという感じがしまして、特に松田優作の息子はやっぱり良い男ですね。でもね、これは別に閉鎖された世界じゃないから、刑務所とかいうんじゃないから、そう考えると皆が病気にかかったみたいに好きになるというのは変といえば変だけど(皆じゃないけど何人か)、でもこういう風にならないとドラマにならないからしかたないなと思いますけどね。なかなか良い映画で大島渚の作品の中では、けっこう代表作になるんじゃないかなという感じが、2本ぐらいしか見てないですけど、しました。

笹原 最近、大島渚、全然だめだなと思ってたんですけど、「御法度」には驚きました。もちろん撮影とか音楽とか、そういうスタッフも揃っているんですし、さっき加賀さんも言ったように主演助演みんな良いんですよね。それも良いんだけど演出が凄いなーと思って、最後まで、飽きさせない映画でした。何て言ったら良いのかね、ちょっと独特の世界なんだけども、何かそういう気がなくても引き込まれて行くような映画でしたね。

酒井 私あまり大島渚の映画好きじゃないんですけども、けっこう良く出来た映画だと思いました。共感はしませんけれども。非常にカンヌですか、外国映画を意識して作った映画で、今までの大島渚の映画は必ずしもそうじゃなかったと思うんですけども。初めから目が外向けになってて、日本的なものを出す為に意識過剰になってる部分もあったんじゃないかなという気はしました。しかし色んな面において、僕はかなり優れた映画だと思います。おそらく去年公開されたら、私はベストテンのワンに押してたんじゃないかなと思いますけども、今年だからまだちょっとわかリません。とにかくかなり期待を裏切らなかったという所はあります。

鬼束 僕はね、あんまりそんなに思わなかったんですよね。眠くなったとかそういうのは全然なかったから、それは良かったと思うんですけど、凄いとかそんなのは思わなかったし、あれだけの役者やったらもっと凄いのが見たかったと思いますけど。それと出てた中では、田口トモロウさんが、どっかで見た人だなーと思って見てたら最後で字幕が出て笑ってしまいました。良い役をやって、あれでだいぶ顔を覚えて来たかなー。宣伝文句でセンメリはこの為にあったとか言ってたけど、僕はセンメリの方が好きです。

加賀 見てない人には何だけど最後であれは斬りに行ったんですか?

笹原 それはちょっと気になった所ですけど、武田真治がね、何であそこで戻ったのかというのがね、気になる所ですけどね。

エンド・オブ・デイズ

酒井 僕はシュワちゃんの映画は好きですよ。お金をかけた映画だそうで、シュワちゃんが健在なので嬉しかったです。どうなんですかねー、あれは、あんなもんじゃないかねーと思いますけども。けっこう派手にドンパチやってましたし、ポケーと口開けて見てるには、そんなに悪くないんじゃないかなと思いますけど、そんな所ですね。それほど強いインパクトもなし、お正月映画はあれで良いんじゃないかと思います。

臼井 評判が悪いんで、凄く期待して見に行ったんですが、僕的には「ファイト・クラブ」の10倍出来が悪いて言うのは分かりつつも、「エンド・オブ・デイズ」の方が良かったなと思います。「ファイト・クラブ」はですね、女優が奇麗じゃないんですよ。ヘレナ・ボナム・カーターは相当美人なのかなと思うんですが、汚く見えるんですね、汚い映画なのかも知れませんけれど、その一方で「エンド・オブ・デイズ」は女性を奇麗に撮ろうという事に対して案外神経を使ってるなーと。大した事はないんですけど、正月映画はゴジラとかあの辺のろくでもない映画を見てますと、ちょっとでも気を使ってくれると非常に僕的には良かったです。良かったんですが、「ファイト・クラブ」より面白くないのは分かりますし、正月映画であればけなされるだろうなというのは凄く分かるんですけども、実に「エンド・オブ・デイズ」はなかなか良く出来て、正月一発目にしてはハラハラと、涙ぐみもしましたし、良かったんではないかと思っとります。

藤本 正月映画で軽く楽しむのにはちょうど良いくらいの映画だと、臼井さんも言われたけど、そんな感じ私も受けたですね。1000年紀の終わりという事で、ちょうど時期を狙ってヒットを狙ってるちゅうか、本当にあーいうのが聖書の中に有るのかどうかは分からないんですが、あるんですかね。ノストラダムスとか「ディープ・インパクト」とかも結局わかってるけども、観客来ててから、けっこう興行上げてるからね。そういうの柳の下にどじょう…じゃないけど、タイムリーという感じで、興行的にもまあまあ良いちゃないかなー。

臼井 いや、実に悪いらしいですよ。

藤本 あ、悪かったんですか。似たようなのが何回もあるからですかね。

ファイト・クラブ

鬼束 途中から寝てしまって、気が付くと喧嘩してるんですよ。途中からブラッド・ピットはどういう役柄で出てるのかも分からないし。最後また目が覚めてそういうシーンだけ見たんですよ。だからああいう映画やったっちゃろかなーと思うから、だからそれは言わんわ。他の人どーやったっちゃろかなと思って、俺寝てしもたけど面白かったんかも知れんと思って。も1回見らんといかん。

酒井 暴力的な映画で、あんまり良い印象を持っていなかったんですけども、見終わった後は意外と面白かったと思いました。一番外国映画でお正月映画ではまともだったんではないかという気がしてますけど。今、落ちを言わない様にという事なんで、言葉を選ばないとですね。あの監督の持ってるイメージですか、夜の暗い汚い雰囲気が、この映画にも出ていました。意外と僕としては楽しめた映画ですね。暴力肯定主義ですから、そういう風な雰囲気的に今の管理社会とか秩序を破壊しようという、そういう風な意図が映画の中にあって、あんまり賛成出来なかったんですけども。そういう側面もあって、ある意味では子供に見せられないような部分も僕には有るんじゃないかと思います。

臼井 子供はやぱいですよ、あの映画。テビッド・フィンチャーの最高傑作であろうと認めますし、映画としては非常に面白く出来てると、そこまでは認めるんですが。映画に対する考え方っていうのがテビッド・フィンチャーという人と僕とが根本的に合わないっていうか、あれを肯定するんであれぱ何かを否定されるべきだろうし、あれを否定するんであれぱ何かを肯定される。何か神経過敏なところがあるような映画の気がします。さっきも言ったように女優ぐらいは奇麗に撮ってくれよ、というのが映画のなかであるんですけど。ヘレナ・ボナム・カーターというのはとても奇麗に見えないんですね。逆に言えば、そやから最後にニカッと笑うシーンで皆あー素晴らしいと思ってしまうのかも知れないけれど。ちょっと僕的には面白くないというか、面白いのは認めるんですが、僕としてはテビッド・フィンチャーとの溝がさらに深まったなという映画ですね。「セブン」「ゲーム」「エイリアン3」て大嫌い大嫌いでずーっと来て、今回何かの間違いで見てしまったんですが、彼の映画の中では今までで一番出来が良いだろうと思います。テビッド・フィンチャーで今までで最高傑作と言って良いんじゃないかと思いますが、僕はちょっと承服しかねますね、あの映画に関しては。お正月映画で一番面白い映画だろうとは思います。

ゴジラ2000ミレニアム

加賀 大ざっぱな感想ですけど、特撮は凄く良く出来てたんですが、良く出来た特撮と、つまんない脚本、登場人物ももうちょっと考えたら、とか。「ガメラ」と比べるんですけど、これ見たら「ガメラ」て良い映画やなと改めて思いました。次ゴジラ作る時は、もうちょっと考えて作って欲しいなーて、それだけです。

臼井 褒めたいんですよ、あの映画を。ところがね、褒める所がないんですよ。やりたい事っていうのは何か凄く分かるんですが、僕インターネットにも書きこんだんですが、何かもうちょっとがんばって欲しいなっていう映画なんですね。たとえば特撮にしてもそこからもう一歩行けよっていう感じじゃないですか。水中から亀みたいなのがあがって来るでしょう。あれを見た瞬間、俺、手足が生えてクルクル回りだすんかと思ったぐらいですから。「ゴジラ2000ミレニアム」は入ってないっていうのを聞いてですね、やっぱりこれは褒めなきゃいけないんじゃないかなと思ってます。ちょっとゴジラを殺すわけには日本映画としてはいかないだろうというのがありますので、何とか褒める所を見つけて今回の会報でへ理屈こねくり回して褒めようかなと思ってるんですが、褒める所が見つからないんですよ。登場人物も薄っぺらですしね。またゴジラ2001もやるみたいです。映画というのは才能なんですかね。何なんですかね、あれは。見事に機能しなかったですね。スタッフて「ガメラ」のスタッフなんですよ。かなりダブッてるんですよ。行かなかったのは特技監督ぐらいっていう位行ったらしいんですよ。もう一歩踏み込んで欲しかったなと。ただけなしたくないんですよ。でも褒める所もないんで、困ったなっていう映画ですよ。僕にとって最大の問題作ですね。ちなみにもう3回も見に行ってます。ゴジラが泳いでるシーンは良かったですね、C.G.の映画シーンに残るシーンでしたね。

「GTO」「ターザン」誰も見てない。

ランダム・ハーツ

加賀 ハリソン・フォードはどっちか言うと好きなんですけど。話はですね、中年の恋愛ものなんですけど、最後は事件か落ちがあるのかなーと思ったけど、結局そのままだったですね、最後までね。退屈な大人の映画でした。唯一良かったのは、マイアミかどっかに行って観光客相手のアルゼンチンタンゴというのがあるんですけど、そのシーンだけ良かったですね。あれちょっと失敗でした、見たのが。

笹原 話は面白そうやなと思って見たんですけど。クリスティン・スコット・トーマスは相変わらず良かったんで、それだけは見て良かったなーと。それと、ケヴィン・コスナーの「メッセージ・イン・ア・ボトル」、あれもそうなんだけどさ、昔の女に未練たらたらで、結局新しい女性が出来ても、うまくいかないっていう映画が最近多いなって思ってね、最近のハリウッドは、ウジウジして嫌いやなーておもってね。早くあきらめてせっかく新しい女性と知り合ったんだからさ。結局その女性からふられてしまうというかさ、中途半端、あーいうのが一番いかんなとおもってね、今回も見てたんですけどね、そういうとこです。

ワイルド・ワイルド・ウエスト

臼井 これは別に愛憎も半ばしない、一言でつまらないなーというそれだけの映画でしたね。馬を撮れない人は西部劇を撮るなと言う事でしょうか。馬、汽車、西部劇の舞台というのは揃ってる訳ですが、何か画面の収まり方というのは良くないですね。今までバリー・ソネンフェルドでしたっけ、才能有るように思えなかったですねー。皆設定自体が面白そうとか言う訳ですけども、僕は時間がなくて、たまたま合うのはそれやったんで見に行っただけなんで、どうせジョン・フォードが見たら怒り狂う様な映画やろうなと思って見てたんですが、ジョン・フォードならず僕が怒リ狂ってしまいましたね。どうでも良い映画でした。

藤本 最初、本当の西部劇を期待して行ったんですよね。良く知らなくて行ったんだけど、そしたらちょっと違うなって思って。なんかSFじゃないし、コメディーでもないし、TVのバラエティーみたいな。それだったらそれで最初から思ってれば、それで納得してて良かったかなーと、それだけですね。その程度ですね。

笹原 西部劇じゃないのは1OO%解ってたから、あの「メン・イン・ブラック」の監督だから、私はあれ好きなんで。案の定同じ様に物凄くメカに凝ってる、小道具とかね、色んな意味で、そういう意味では面白かったけどね。ただ映画は今いちかな。

臼井 ウイル・スミスが好きな人はあの映画は良かったみたいな。ウイル・スミスがどーでもいい人にはあの映画はどうでもいい。

笹原 やっぱ笑えんかったね。コメディーで笑えんのは辛いとこ。

臼井 僕も一回も笑えんかったですよ。

笹原・臼井 ケヴィン・クラインが勿体なかった。

笹原 それと悪役のケネス・ブラナーもあるしね、役者は揃えてるんだけども。

臼井 揃ってない。ケネス・ブラナーは下半身だけだもん。どーでもよかったマジで。

ジャンヌ・ダルク

酒井 ちょっと長過ぎました、しんどかったです。期待して見たんですけれども、最後の方で信仰の話が出てきて、私には理解出来ないところというか、神との係わり合いとか何とか、ジャンヌを何故そうさしたとか、そんな事あんまり考えるの好きじゃないのでちょっと僕の肌には合わない映画でした。一応破綻もなく最後まで進んでましたけど。キリスト教の倫理観とか、難しくって良く解らないんですよね。日本人が見るのと、キリスト教の倫理観を持ってる西洋人が見るのとでは違う感覚で見ると思うんですけど、少なくとも僕はあまり楽しめませんでした。しかし悪い映画じゃないと思いますけど。

鬼束 僕はたしか、酒井さんが言われた様に最後の方は宗教の話になったと思うんですよ。どうもその辺で寝てしまったんですよ。長いんですよ。我慢してたけどね、うとってしてしまいましたもんね。それまでもね、そんなに凄いとも思わんし、スピルバーグの「プライベート・ライアン」を凌ぐって言ったから、あれ以上の凄いのが有るっちゃろかと思ったけど、ないんですよね。戦闘そのものがあの時代と第二次世界大戦と違いますからね。同じ様に腕を飛ばすとか首を飛ばすとかやっても、迫力ないんですよね。リュック・ベッソンなんか本当、あんなジャンヌ・ダルクとか、ちょっと面白いな、撮って欲しいなと思わせる様な題材なのに、何かもったいないなーとの気もしますね。何かねーというところでした。

今月の一本

加賀 今月はパスします

鬼束 感謝知らずの女歌・井上陽水アルバム復刻盤

藤本 NHKスペシャル人体(NHKテレビ)

臼井 いとし・こいし師匠の漫才(元旦に聞いた)

杉尾 同上(いつ聞いても凄い)

酒井 エレクトラ オペラ「カルロスクライバー」CD

笹原 君がいた永遠(とき)

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2000年3月号

出席者:臼井 鬼束 加賀 酒井 笹原 高嶋  書記:杉尾

この日、節分。皆さんはどんな鬼を追い払い、どんな福を呼び寄せたのでしょう。まだまだ寒いこの季節、みなさん風邪など召されませぬようにネ。今回の参加者は、お久しぶりの高嶋さんを交えての七名。笹原会長はひどい鼻風邪をおしての出席です。さてさて、お話は盛り上がるでしょうか。まずは、この作品から・・・・・・。

海の上のビアニスト

監督:ジュゼッペ・トルナトーレ
出演:ティム・ロス プルート・テイラー・ヴィンス

鬼束 面白かったです。ピアノが凄く良くって、サントラ盤を買ったんですけど、ティム・ロスが弾いてるシーンが少なくって・・・。ジャズピアノでしたね。今度からジャズのCDを探して聴くことになりそうです。そういうきっかけを作ってくれたという意味ではこの映画は僕にとって、記憶に残ることと思います。

酒井 この映画のうたい文句は「今世紀最後の感動」だそうですけれど、あれが最後の感動だとちょっと哀しいかなと思ったんですけれども(笑)。でも、やっぱ感動しました。非常に良かったです。映画の作り方も非常に凝って作ってあって雑でないんですよね。非常に丁寧に作ってあって・・・。お話も寓話的ですけれども、良かったと思います。とりわけ文句をつけるような場所は僕は見あたらない。なんか、とっても大切にしたいいような映画ですね。僕はイタリア映画はいつも土のにおいのするようなイメージがあるんですけど、そういう感覚がなくって、イタリア映画っぽくないんです。全体的に非常に良い映画だと思います。

笹原 ん・・・・(会長は鼻風邪で大変そうです。)実はですね、この映画の半分くらい眠っていまして、真ん中へんがぬけちゃって、最初と最後だけで、ん・・・・・(ズルッ・・)ちょっと、解らなかったです。すみません。(笑)(書記:ちょちょ、ちょっとぉ〜もぉ〜笑)

高嶋 見ていないんですけど、すごく期待しているのが物語を作る前に音楽を最初に作ったというところです。僕はエンニオ・モリコーネが大好きなので。古くは「アンタッチャブル」とか「ミッション」とか、「1900年」だとか。あと、ウエスタンとか・・・すっごく好きなんです。だから、この「海の上のピアニスト」もとても期待しています。(書記:うんうん、是非見てくださいね。)

臼井 いやぁ〜、見なけりゃ良かったなって・・(笑)一言で言うと僕の肌と徹底的に合わない映画なんですよ。ですから、なぜだめかと言われたら、理屈があるんですが、それが独特な理屈でして、説明しづらいんです。(笑)ジュゼッペ・トルナトーレとエンニオ・モリコーネと聞いただけで、こんな映画だろうなと想像して行ったら、やっぱりそんな映画で・・・(笑)実に不愉快な気分になったという・・・(笑)アレで、周りで皆泣いていたんだけど、あんな愚劣な涙はないなと思って、(書記:あっちゃ〜そこまで言うかぁ〜。)そんなふうにして見ていました。好きな人には、ほんとごめんなさい! (書記:いえいえ、大丈夫よん)

杉尾 私は良かったんですが、ま、涙までは出ませんでした。最初、伝説という感じの映画とは知らずに、「シャイン」のような実話っぽい現実に有り得るようなストーリーを想像していたので、最初の方であの少年が突然、ぱらぱらとピアノを弾くところから、そんなこたぁないわ・・という感じで話の中に入り込めなかったんですけど、後、それを抜きにして見始めたら入っていけました。音楽もすごく良くって、ジャズのモートンとの対決のところは、少しユーモアも交えてなかなか見応え、聞き応えがありました。私は、好きな映画でした。きっと、主人公の1900は、あの豪華客船に憑いている精のようなものだったんじゃないかなとも思います。だから、船と共に死んでいったんだろうなと見ていました。

鬼束 ジャズの対決の時、モートンのピアノを聞いて、1900が泣くところは、本当によく解るような気がしました。だって、初めてジャズってものを聞いたんだから。

杉尾 全体的にティム・ロスの憂いのある表情が、なんかとってもステキでした。ん。

高嶋 酒井さんはモリコーネはどうでしたか?

酒井 僕は、もう少しきれいな音楽かと思っていました。クラシックとか好きなので。

臼井 「ニューシネマ・パラダイス」の時もそうでしたけど、この映画も女の子との関係を描いていないですよね。映画の良さっていうのは、そういう物語の説明を乗り越えてるとこにあると思うのですよ。しかし、この映画自体がそんな力がないような気がします。

この後、窓に女性が現れるのが唐突過ぎるとか、あまり美しい女性と思えないとか、喧々囂々・・・。臼井さんの「伝説っちゅうのは、やっぱ、ひとりの人がボソボソ話しているのが本当で、あんなに大がかりになっちゃいかん」という言葉がかろう じて聞き取れたのでありました。それでもって、次の作品いってみたいと思います。次はこれ・・・・・。

雨あがる

監督:小泉堯史 脚本:黒澤明
出演:寺尾聰 宮崎美子 三船史郎

鬼束 凄い傑作っていうわけではないんですけど、パンフレットにも書いてあったんですが、見た後に爽やかな気持ちがするという映画でした。寺尾 聰もどうかなと思っていたんですけども、良かったですし、宮崎美子も良かったですね。黒澤明が彼女を「乱」の時に顔も映さなかったような使い方をしながら選んだというのが今回見て、やっぱり良かったんだと解りました。一つだけ、気になったのは、刀を振り下ろす時あの音がないほうが迫力がでるような気がして気になりました。

杉尾 居合いの時って、あんな音が本当にするよ。

鬼束 ほんと、んじゃ、あれで良かったんだ。(笑)

加賀 ま、別に良くもなく悪くもなかったなって・・(笑)あまり、どうってことなかったですね。ま、黒澤明の周りにいる人たちが黒澤のオマージュで作ったような感じだと思いました。話は山本周五郎ですから、そこそこ良い作品でしたけど・・・。

酒井 期待していなかったわりには良かったと思います。なんか見終わって爽やかな感じで、のほほ〜んという感じ・・・。あまり、あくせくとする映画ではなくって、ゆったりとして近頃ああいう映画は、邦画では珍しいんではないではないかと。ああいうゆったりとした映画を見るとほっとするんですけど。あと、黒澤明の名前で見ると、どうしてもかえってマイナスになると思います。それを抜きにしてみるとそんなに悪くはないかと思います。

笹原 前半の宿屋のところがちょっと黒澤の感じが出過ぎているかなと心配して見ていたんですけど、後半はふっきれたなと思いました。ほのぼのとした凄く良い映画でした。あの、やっぱりいろんなシーンで自分が純粋になれると言うような、こんな映画も必要だなと思いました。

杉尾 私はあの三船史郎がヘタッピィなのが気になってなかなか物語に集中出来ませんでした。やっぱり、私も黒澤明は好きだし、これは山本周五郎の話でもあるしすごく期待して行ったんですがちょっと肩すかしでした。最初の宿屋のシーンは長すぎるというか退屈でした。ま、可もなく不可もなく・・・最後は、ま、気持ちよく終われたかなぁ。と。

鬼束 道場主が「参った!」という、ああいった場面は原作にもあるのかなぁ。気になりました。

高嶋 「切腹」という映画でやっぱり、だましながら・・・というシーンがあったのを思い出しました、今、話を聞いていて。

加賀 うん、そういうのあったね。

臼井 しかし、これ、黒澤でなければだれも見ないでしょ。主演が寺尾聰だしね。あの顔を思い出しただけでも食欲がなくなるで・・・(笑)

笹原 主人公のような性格だったら、控えめで寺尾をつかったのは私はとても良い選択だったと思うね。宮崎美子も、ずっと抑えた演技で良かったよね。三船は、むかぁし岩下志麻と共演した「その人は女教師」の頃からすると、まだ随分良くなったよ。(書記:ぐぇっ、まだあれ以上にへたくそだったんだ。こわっ。)

この後は、ラストシーンが初めは追いつくところまで撮っていたけど結局あのようになったという話になり、その後なぜか「ぽっぽや」の話に移り、それで盛り上がりました。雑談・・雑談・・・。健さんは立っているだけで良い・・「ぽっほやですから・・・」   以上

今 月 の 一 本

加賀 『剣客商売』TVドラマ 毎週水曜日夜8:00〜
小林綾子とあともう1人の女優がとっても良いのです。

酒井 『セントラル・ステーション』ビデオ
僕好きです。良かったっ! おすすめ。一番びっくりしたのは、ブラジルにはあれだけ文字の読めない人がいるんだということ。映画を見るまでわかりませんでした。とにかく、良かったです。

臼井 『どこまでもいこう』塩田明彦監督作品
コレは県外で見たんですけど、コッレはすごかった!!!!!! 圧倒的にすごい!!!!!キネ旬で9位でした。小学生(ガキ)が走っている冒頭のシーンはこれは「海の上のピアニスト」の百倍泣きました。変態映画なんですよ。恋は成就するんですけど、その恋を蹴ってしまって変態の方向に走っていく・・・イッヤァ〜、傑作でしたぁ。

笹原 『リング0 バースディ』
今までとは全然違う作りで。ま、「キャリー」みたいな感じでびっくりしたんですけどね、最後まで怖い映画でした。

高嶋 『神狩り』山田正紀著
読んだことありませんか? 非常におもしろいです。

杉尾 『マイ・ライフ・アズ・ア・ドッグ』
久しぶりに衛星放送で再見したんですが、やっぱりたいへん感動しました。そ、これこれ・・・って感じです。テーマみたいなものを押しつけがましく描くのでなく、イングマル少年にとってただ普通に生きていたのに、望んだワケでもないのにどんどん辛い現実が、確実に彼の上にのしかかって来る。認めたくない愛するものの死ということを、変わり者でいてそしてあたたかい村人たちの不思議な力に包まれて、乗り越えていく少年の姿はとても切なくて、そしてかわいい。「僕の人生は、人工衛星とともに宇宙に打ち上げられたあのライカ犬のようなもの(あのライカ犬よりはましだと言いながら・・)」沢山の人々に囲まれながらも孤独なイングマル君の気持ちを痛いほど感じさせる。叙情的かつユーモアもあるこれは傑作中の傑作だと思います。

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