シネマ 2005年1月

「エイリアンVS.プレデター」
人気SF映画キャラが対決
(2005年1月6日)

人工衛星によって南極大陸の地下にピラミッドが発見された。調査団はそこで驚がくの事実を知る。そこはプレデターがクイーン・エイリアンに卵を産ませ、人間を生けにえにして育てたエイリアンたちと若いプレデターたちを戦わせる“儀式”を行う場所だった。

最近のハリウッド映画はどうもネタ切れのようだ。昨年、ホラー映画のヒーロー(?)同士が対決する「フレディVSジェイソン」が公開されたが、今度はSF映画の最強凶悪キャラクターであるエイリアンとプレデターの対決。この両者をどこでどのようにして戦わせるか。ファンとしては、大いに興味のあるところだが、ストーリーが練られていないので残念ながら両者のバトル一辺倒の凡作になってしまった。

唯一の救いは、エイリアンとプレデターの存在をアピールできたこと。こうなれば、日本のゴジラもファイナルと言わずにガメラと壮絶なバトルをしていただきたい。(酒井)


「おばあちゃんの家」
地味でも心に染みる韓国映画
(2005年1月13日)

最近公開された韓国映画は私たちにあまりにどん欲に感情を突きつける感じがする。娯楽性としては優れているので異を唱える気はないが、地味でも心に染みるお話もある。それがこの作品。

ソウルで母と暮らす少年が母の実家に預けられる。すごい田舎のあばらやと言ってよい家で口がきけず文字も知らない祖母が一人で住んでいる。今時の子供である彼は家の中でも外でもゲームばかりして祖母を無視する。一人では夜トイレに行けず祖母を起こすのに。

この監督(イ・ジョンヒャン)は女性で、自分の子供時代を基に作ったそうだ。祖父母の家に行って、出されたお菓子や玩具に文句を言った記憶は誰にでもあるだろう。そんな「ごめんなさい」を作品にしたそうだ。物言わぬ祖母の、曲がった背中が温かく感じられる。私たちも見ながら心の中の誰かに手を差し伸べたくなるはずだ。そして今は言えない「ごめんなさい」も。(手塚)=ビデオ発売中。


「カンフーハッスル」
カンフー達人とギャングの戦い
(2005年1月20日)

「少林サッカー」のスタッフが作った新作。「少林サッカー」は実際にはありえないアクションが話題になったが、今回はさらにパワーアップして「もっとありえない」カンフーが登場する。ユーモアをふんだんに盛り込み、楽しめる内容となっている。

うだつの上がらないチンピラのシン(チャウ・シンチー)はギャング団斧頭会(ふとうかい)と貧しい集合住宅・豚小屋砦(とりで)の住民たちとのトラブルに遭遇する。住民の中に最強のカンフーの達人たちがいて、斧頭会の面々を簡単に片付けてしまう。復しゅうに燃える組長は殺し屋を豚小屋砦へ送り込む。住民たちが危機に陥った時、シンの中でカンフーの達人の血が芽生える。

この作品、一見単純に見えるが、意外に精密に練られている。多くの映画のパロディーを含み、細部へのこだわりも見受けられる。リアルな残酷シーンもあるが、今年の正月映画で一番楽しめた作品である。(酒井)


「オーシャンズ12」
追い詰められた一味が再び結集
(2005年1月27日)

「オーシャンズ11」の三年ぶりの続編。ラスベガスのカジノからオーシャンたちが大金を盗んで三年後、カジノのオーナー、ベネディクトは事件がオーシャン一味の仕業と知る。ベネディクトは彼らの居所を突き止め、二週間以内に利子を付けて返済するよう脅迫。追い詰められたオーシャンたちは再び集結し、返済のために大きなヤマに挑むべく、ヨーロッパへ旅立つ。そこには彼らを陥れるための大きな陰謀があった。

この映画の魅力は不可能と思われる場所からメンバーが知恵を出し合い協力して、お宝を奪い取るところにある。しかしこの作品、どんでん返しこそ多いものの、「泥棒映画」の魅力には欠ける。

スティーブン・ソダーバーグの演出もメンバーの個性をうまく生かせていず、多くのスターを集めただけの作品になったのは残念。人数が一人増えたが、映画の面白みは半減してしまった。なかなかうまくいかないものである。(酒井)