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2001年11月号

出席者:♂ 加賀 笹原 隅田  ♀ 林田 杉尾(書記)
 びっくりしました、同時多発テロ!! 夜、テレビを見ていた私は、自分の目を疑いました。1、2時間の間に、あれよあれよと二つのビルは倒壊していきました。
ホントになにが起こるか、恐ろしい世の中です。その後は、アメリカの報復攻撃も始まり、なにをどうするのがベストかという間もなく、どんどん事は、取り返しのつかない方向へと転がり進んでいるように思えます。まったく、おとろし〜い! この時期、キワドイ時間差で、海外に行かれていた酒井さん、林田さん、無事に帰国されて本当に良かった。
 では、今回の合評会、久しぶりの隅田くんを迎えて、まずは「ウォーターボーイズ」から…。

ウォーターボーイズ

監督: 矢口史靖
出演: 妻夫木聡 平山綾 竹中直人 杉本哲太 柄本明

加 賀 一応面白く見ました。そんなに脚本がいいとか演技が上手いとか言うわけでもないけど、話が面白く、最後まで飽きずに見ることが出来ました。久々にスポコン、学園ドラマを見たなという感じがして楽しかったです。ラグビー、空手、野球とかいろいろあるけど、そんな中で男子がシンクロという のが目玉かなと思う。あの男子のバレー団みたい(笑)。脇役もいい人達が固めていました。竹中直人は、そろそろ芸風をかえた方が良いのではと思います。(笑)あと、最後のアレ、あのパンツが脱げるところ、あれはいらないと思う、あそこまでしなくても良いんじゃないか。水族館でガラスを磨きながら特訓するところは、空手映画の「ベスト・キッド」のパクリみたいだなという気がして、少し恥ずかしくなりました。

林 田 期待しながら見に行ったけど、何かいまひとつもふたつもって言う感じだった。ここで笑うところなんだろうなとは思ったのだけど、どうもどこもこころのそこからは可笑しくない。竹中直人は、良い映画なんだぞとかってつれてこられたみたいで・・・・その割には、あのまんまじゃ、だんだんつまらなくなってきているかなという感じでした。映画はいまいち乗れなかったのだけど、オトナと子供の間の男の子たちの、本当に贅肉のない体つきのきれいさはあったけど。でも、なんか、私、もっとかわいい子を集めた方が良かったかなぁ(笑)と、そういう意味でのめり込めなかったのかもしれません。(笑)脇は、杉本哲太センセイが良かったかな。…っていうか、会場に凄く笑っている人たちがいたんですよ、(杉尾:それそれ、私のポン友達です。すんません(笑))そ〜んなに、面白いかなって(笑)。私が面白さを分かっていないのかしらって思ってしまいました。ま、くすくすと笑うくらいでしたね。ガラスで鍛えて、立ち泳ぎとかできるようになるというのは分かったのですが、だったら、後で加わった3、40人が2、3日ですぐできるようになるのはなんなんだって(笑)。でも、そこまで考えると映画は面白くないかも知れないけど。ま、ああいう映画を見る態勢に私はなっていなかったのかなと思ったりしました。

笹 原 私は、ずっと見ていて、はっきり言って、実はあんまり面白くはなかったんですけれども、やっぱ、最後はあそこでむりやりラストにもっていくというところが感動したんです。だから、映画自体もすごく雑、脚本も雑、役者もへたくそで、なのに、あそこまでもっていけるというところが凄い!! それに感動しました。けっして途中笑い転げるワケでもないし、割と冷静に見ていたんですが、最後ホロッとしました。ま、さっき、出ていたんですけど、竹中直人は、もう、やっぱダメですね。出さない方が良かったかと思います。何か、中途半端だよね。悪なのかいい人なのか、シンクロもちゃんと教えてくれる人かと思ったら、そうでもないしで。脇を固めている人が、この人だったらここという感じで、予想外のっていうのがなくて、そういうところがちょっと面白くなかったです。恋人役の女の子と先生役の女性は良かったなぁと思います。近藤芳正は良いよね。(この後、この俳優がいろんな映画にちょこちょこ出てるって話で盛り上がる。)

加 賀 僕が笑ったのは、水族館でイルカが死んだようになったとき、どうなるとぉと思ってびっくりした。(笑)

隅 田 一応、メイキングだけ見ました。矢口監督の映画は、前も見ているんだけど、大体そつなくテンポよくアキさせずに、で、‘凄くいいっ’て感じではないけれども、それなりに良い映画を作る人だと思います。メーキングの中でも監督が言っているけど、初めてこの話が来たとき、断ろうと思ったらしいんです。だけど男性シンクロのビデオをみたら、これは凄い、絵になると思って引き受けることにしたそうです。映画の作り方も水泳が中心で、シンクロを先に撮って、後から諸々つけていくという作り方をしたらしいです。(林田:これって、本当にある話なの?)そうそう、埼玉県の川越高校の文化祭の時、引退してしまった三年生がシンクロを披露するのが恒例になっているらしいです。そこの高校の周辺では有名らしいんですよ。見てみたい。

杉 尾 これは、非常に面白いという評判をきいていたので、1人で行って笑うのは恥ずかしいから、笑いの時にはもってこいの我が愛すべきポン友2人を誘って行ってきました。そしたら、鬼束さんと林田さんもちょうど、見に来ていて、よけいに楽しくなり、見始めたのですが、これがなかなか笑えない。となりの2人がゲラゲラ笑い転げるので、つられて笑ったけれど、だんだん置いてけぼり状態。(笑)彼女たちの笑いのツボに、ぴったりだったようです。私は、今一つ・・・何というか、あまりにもギャグが先攻しすぎて、笑えない部分が多かった。でも、オープニングの部分は、かなりテンポがあって、いよいよこれから面白いものを見ることができるぞぉという充分な期待を持たせてくれるうまさがあったと思います。・・・どうしても、こういうコメディをみると、「シコふんじゃった」等の周防督の作品と比べてしまって・・・。リアリティがなさすぎるというか、ま、実際にある話ではあるらしいけれど、その何かを達成するまでの過程で、あまりにあり得ないギャグで固めすぎて。あのスローモーションで撮って、笑いをとる場面など、もちろん笑いはしたのですが、芯から面白かったのではなく、半分は我がポン友たちの笑いに助けられた感じがします。パンツが脱げたところなんか息が止まるのではないかと思うほど、ひきつって笑っていましたモン。(笑)(林田:そうそう、こんなに笑えるんだと思っていました。(笑))
 彼等の目標が、何かのメダルを獲得するとか、何某かの選手権に出て優勝するとかじゃなく、たんなる文化祭っていうのが、非常に何かお気楽に楽しめて逆に良かったかもです。

林 田 でも、やっぱり、「シコふんじゃった」なんか、本当に共感して、心の底から笑ったし、ジーンとくるところもあったけど、これ(ウォーター〜)はねぇ。(笑)

Who もし、周防監督がこの題材で作ったら、また全然ちがった映画になっていたかも知れないね。(全員:うんうん)

笹 原 でも、これはスポコンものではないからね。もともと映画にする目的がちがうから、周防作品と比べることはできないと思うよ。

杉 尾 漫画を実写にしたって感じですよね、これ。だから、始めからそういう解釈で見ると、ま、笑えなくはないっていうか・・・。ただ、やっぱり高校生の男の子は可愛いですよね。(笑)ちょうど息子が高2で。映画のあのこと同じようにプロレスに夢中になったり、筋トレしたりしてるんですよ。一生懸命青春しているって感じで、微笑ましい。あと、恋人役の彼女がとっても素直で可愛かったです。竹中は、も〜、うるさい! とにかく、もうわかったからいいって感じでした。最後のシンクロのシーンは圧巻でした、やっぱし。結局雑だったけど、文化祭的でよかったですよね。

 この後、しばしの間、私の愛すべきポン友について、●その人達と見に行くと 楽しそうやね。●そんなに喜んで貰うと監督もうれしいやろ。●今度映画祭でコメディやるときは、呼ぼうよ。などという話になる。


花様年華

監 督:ウォン・カーウァイ
出 演:トニー・レオン マギー・チャン

林 田 私は、香港映画が大好きで、マギー・チャンが好きなので見に行きました。 マギーのチャイナドレスが本当に素敵で、今日、明日、明後日と着ているドレスが違って10日目にまた同じドレスを来ていたので何か深い意味があるのかなと思いながら見てました。本当にきれいだった。35年前の恋愛ってあんなものだったのかと、思いました。必要以上に人目を気にして、ほんとに気にして、何でもないところでもなんかとっても気にして・・・今の時代では、あんなテンポの恋愛はあり得ないですよね。・・・う〜ん、雰囲気で見る映画で、全体的によく意味が分からなかった(笑)ので、ビデオでもう一度見直して、本当の良さを分かりたいと思います。それから、音楽がとっても良かった。私は本当に良い映画だと思うのですが、なんかよく解らないので 見た人の感想とか、評論家とかの意見をきいてみたいなと思います。

笹 原 本当にね、説明の付けにくい映画なんですよ。雰囲気が良かったですよね。今、思い出したけど、セットとか、彼女の動きを撮るカメラとか(撮り方)、何処かで見たのに似ているなぁと思っていたんだけど、これ、デビット・リンチ監督の「ツインピークス」なんですよ。うん、あの雰囲気。あと、原色の絨毯とか、彼女のチャイナドレスの色とか、全体の色使いがもの凄く良いんですよね。凄く良かった。

林 田 すごく貧乏な時代の香港で。日本に行くって言うのがとてもエリートだったんですよね。日本に行っていいバックを買うとかって、今は反対で、あちらに行っていいバックを買って帰りますよね。ラストで、男性が今まで胸に抱いていた恋心を穴を掘って、その中に言い放って、また、土をかぶせて草を植えて、それで風がふいてきて・・・・(杉尾:それで、王様の耳はロバの耳ぃ〜ってか?・・・失礼しました。(笑))なんか、よくわかんなかったです。

この後、笹原さんから、簡単にストーリーの説明。

笹 原 とにかく精神的な雰囲気で見せる感じですよね。う〜ん、なんか難しい感じです。私ももう一度よく見たいと思っていました。私はウォン・カーウァイ監督が大好きで、前の「恋する惑星」も最高でした。久々にいい雰囲気の映画を見たという感じです。


東京マリーゴールド

監 督:市川 準
出 演:田中麗奈 小澤征悦

隅 田 僕はあんまり、こうゆう映画は見ないんですけど、たまたま見にいって一緒に行った人たちは、何かあまりわからんとかって感触良くなかったのだけど、私的には良かったです。田中麗奈の恋心がだんだん、でかくなっていくのは分かるんやけど、男の方が、何かはっきりしないんですよね。彼女がいるとかって言って、ちょっと・・・・。いちばん最後にああいうことになって(書記:未見なので、まちがったらごめんなさい。彼女が彼を諦めてしまったということらしい・・。そして、ホントは彼に彼女がいなかったとか・・・。)そこいらへんがワカラン人には分からないんだと思う。
 (男性の方は)自信がないんでしょうね。だから、いまいちハッキリしないというか・・・。ところが、はっきりしないから田中麗奈が、後の方で引いていく。すると、その時点で彼が、あれって感じになって。映画自体の全体の雰囲気が、実際の麗奈のCMの感じだったです。

笹 原 田中麗奈は前からするとオトナにはなったけど、なんか、ベットシーンが似合わないよね。(隅田:そうそう、ぜんぜん似合わない!)彼に外国に行っている彼女がいるというので、それでは彼女が帰ってくるまでの一年間の条件で彼女にしてもらう・・・・ところが、実際は彼女はいなかったという・・そこらへんのラストの部分は、私はいらなかったんじゃないかと思う。アレだと、途中の男性のいろんな策略が、危ない人みたいになってくるよね。
 ラストは、(映画の中の)CMが流れるのを麗奈がしみじみと見て、彼を忘れて前向きに立ち直っていくという方が良かったと思う。それにしても、あのCMの撮り方はさすが市川準監督だなぁ、凄いなと思いました。感動しました。


今月の一本

林 田 「花様年華」 雰囲気で見る素敵なオトナの映画でした。もう一度みたいです。

加 賀 「やむにやまれず」関川夏央著 いしいひさいちの漫画付きです。面白いですよ。
       「レッツ・ゴー永田町」テレビドラマ 先週から始まりました。これまた、面白いですよ。

笹 原 「JSA」ピカデリーで再映 凄かった!! 「シュリ」の二番煎じと聞いたがなかなかどうして素晴らしい。「シュリ」なんかふっとぶくらい面白かったです。原作は、あるミステリー雑誌でトップでほめてありました。

隅 田 「きらきらひかる」CS TVドラマ(1〜10巻) 法医学監察医?の話。1話1話が非常に完成度が高くて良くできていた。ついついいっぺんに全巻見てしまった。おすすめです。

杉 尾 「不肖 宮嶋 死んでもカメラを離しません」宮嶋茂樹著 「不肖 宮嶋 空爆されたらサヨウナラ」宮嶋茂樹著世界中がこんな時期に、大変不謹慎なんですけど、面白くって、笑います。彼のカメラの前にあるモノは、半端なものでなく、いつも“今、その真実”がそのままド〜ンとあって、それはなまやさしいものでなく、厳しい現実。だから、とうてい笑えるモノではないのです。ないのですが、どうしても、コイツのガキ大将がそのままオトナになったような、いつでも一生懸命で無鉄砲で、でも、純粋に“そのもの”を追い求めるプロ根性に思わず、共感してしまい、また、ぷっと吹き出してしまうのです。頑張れ、宮嶋!と応援したくなってしまいます。今頃彼は、絶対アフガニスタンにいると思う。彼の上に、トマホークが飛んでこないように、こころから祈っています。よかったら、読んでみてください。

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