参加者:林田、鬼束、笹原、野口、杉尾、横山、隅田、藤本、金川(きんかわ)(ゲスト) 書 記:加賀
◎今回、初めて宮崎市民プラザでの例会でしたが、駐車場も有り便利な所でした。また宮崎映画祭メンバーの金川さんが見学にみえました。
スタッフ 監督:曽利文彦 原作:松本大洋 脚本:宮藤官九郎
キャスト ペ コ:窪塚洋介 ドラゴン:中村獅童 スマイル:ARATA アクマ:大倉孝二 チャイナ:サム・リー
鬼 束 前半は全然面白くなかったんですよね。なんとなくスポーツアクション物っていう思い込みがあったんだと思うんですけども、それで観ていたから前半に卓球シーンとかは、ほとんど無くて、割愛してあるような撮り方をしてあったから、“なんじゃこれ”って感じで観ていたんですけど。
ただ中盤になって、なんかこう単なるスポーツ物と言うよりも、人間ドラマ的なものが入っているんだなって、やっと分かってきて、真ん中辺になって。そういう風に観るようになって、落ち着いたっていうのは有りました。
特訓シーンから終盤にかけては、すごく本物の定石(じょうせき)というか、そういう感じだけど重くはならずに。試合会場の仕切りに使ってある青い色とかが、すごく鮮やかで、ちょっとだけ爽(さわ)やかな感じさえしました。
でも全体的なイメージとしては、アクの強い変なキャラクターがいっぱい出てきて、汚いトイレとか出てきて、少し異様な感じも混ざってくるという作品でした。終盤になると、卓球のプレーシーンもスローモーションも含めてふんだんに見せてくれて、“あっ”これを求めていたんだと思って僕は、最後の方でやっと納得できたていうような感じでした。
卓球シーンは観ているあいだは、これはたぶん特撮なんだろうなと思いながらも、ぜんぜん特撮に見えないというくらいうまくは出来ていました。出来ていたんですけど、これは「フォレスト・ガンプ」で最初やったんですよね。「フォレスト・ガンプ」は、ぶっちゃけて言うともっと綺麗(きれい)にできていたんですよ、これは映像の関係で汚くなっているのか、荒さが見えるのかわからないんですけど、そこがちょっと気になる。
ただ窪塚洋介もARATAも特撮には見えないような動きをしていて、観ているあいだは“特撮やっちゃろなぁ”と思いながら、そうは思えない感じで観ていました。佐久間(アクマ)役の人、大倉孝二さんという人なんですね、新人の人だと思うんですけど、あの人の顔が声優の山寺宏一さんに似ていて、最後まで、あの人かなと思いながら、体は大きいよねとか思いながら、なんかイメージ的に似ていました。ラストがちょっとね、ペコがポーズをとって“ヒーロー見参”って言うんですけど、あれが嫌だったんですよね、暫(しばら)くすると作品全体としては、そんなに気にならないかなというふうには思いました。
人物と卓球台以外に真っ白になるシーンがあって、そこが良かったんですよね。台詞も良かったような気もするけど、ああいうシーンになったからいい台詞があるかもと期待しただけだったような気もする、ちょっと印象的なシーンでした。
ただ結局なんの話だったのかというのが、観たあとは残ってヒーローの存在とかあるんですけど、今はですね“スマイル”ARATAが演じた人間の存在というのが一番大きいような気がするんですよね、やっぱり。ああいう人間もいるんだよ、単なるスポーツ物というだけではない、そこら辺が……あんなもんなのかなぁ、もちょっとはっきりしたような、すっきりしないっていう感想を書いていますけど、今思えばあれくらいでいいのかな。
あと夏木マリのお婆は、あんまり好きじゃない。作りすぎって感じで、独特の世界っていうのはわかるんだけど。
いつの間にか話が冒頭のシーンから遡(さかのぼ)っていたというのが分からなくて、途中で戻ってきたから、いつの間にか髪の毛が伸びているなとか思いながら観ていたんですけど、その辺は分かるように作ってあったのかなぁ。
ARATAという役者さんが是枝監督の「ワンダフル・ライフ」っていうのに前出ていて同じような演技をされていたんですよね、あの人はなんで卓球、スポーツ物の映画に出るのっていう感じで、なんで出演したんだろうって。そしたら、そのまんまの役でまた出ていたから、やっぱりあの人はああいうキャラクターでいいんだなぁと思って。
笹 原 期待したのはあったんだけども、あまりにも予想通りの展開、予想通りのキャラクターだったんで、あんまり感動も何も無かったです。比較しちゃいかんけど、窪塚くんの「GO」があったじゃないですか、だから「ピンポン」は、あえて変えようとしてるのが分かってるし、その他の髪型からなにからね、その辺が全体的にあざといかなという感じを受けたんで、乗れませんでした、最後まで。
ただ、面白いことは面白いですよね、いろんなキャラクターを集めているところが良かった。…… なんだけど、なんとなく最後までいたって感じでした。
良かったのは、それこそ夏木マリがいる所の卓球所というか、あそこの雰囲気が昔ながらの雀(じゃん)荘(そう)とか碁(ご)会所(かいしょ)みたいな感じでね。あそこで金賭けてやるとかいうような雰囲気が良かったけど。
鬼 束 あそこは良く出来てました、なんかありそうな感じ。
笹 原 そこで稼ぎながら部活をちゃんとやってるというのが、不思議な感じがしました。 決して窪塚が悪いわけじゃないんだけども、漫画の通りやっちゃったかなっていう感じはしたけどね。かえってARATA君あたりのほうが新鮮な感じがしましたね。
杉 尾 私は、期待したところが違っていたのかなと思うけど、思い切り笑うぞと思って行ったものだから、けっこう笑うやつじゃなくって物語がしっかりあって、おちゃらけた感じばかりじゃなかったもんだから、勢い込んで行ったけど、笑えなくて。窪塚くんのペコのほうが、優等生っぽいARATAよりは好きだったんだけど、その中でも誰が一番好きだったかというと、卓球部の太田部長がすきだな。あの部長がね、“ずぅ〜と僕は好きなんだ”とかゆって、“僕は好きなんだ、僕は応援するんだ”とか言って、ARATA君やったかペコやったかが体育館の横の階段でうつぶせになっていたら“聞こえたかなぁ”とか言いながら横切っていくあのシーンがものすごく好きで、いい人や、あの人がいるから卓球部は続いちょっちゃなぁとか思いながら観ていました。
ドラゴンかな、もうちょっとこうなんか、見た目は迫力があるんだけど、いまいち、あまりにもきちんとしていて言うことが正統派で、もうちょっとなんか、ハチャメチャな感じの強さっていうか、期待した。その中でちょっとトイレのシーンがあったりすると、そのギャップが際立ったんだけど、以外にあまりギャップを感じなかった。相手としては不足、もっともっと強くて、もうちょっと暴れてほしい。中国の人も…、
試合のシーンを多くしたほうが良かったかな私は、こうのし上っていくというか、そういう部分が、どうせ笑うっていうんじゃなければ。 そんな感じでした。
林 田 杉尾さんと反対に、どうせつまらん映画だろうなと思って行ったんですね、笑うとか笑わないとかも考えてなくて、窪塚君は「GO」だけで、それを超えるのは何年もたってからだろうから、どうでもいいや、テレビで見てもいいくらいの映画かな、そんなつもりで観にいったので、見る以前の心構えが軽いか重いか、期待が大きいか、そういうことで観ると違ってくるのかなと思ったんですけど、私は面白かった。
笑うという意味じゃなくって、だいたいスポーツ物っていうのは嫌いな部類ですね、くさい芝居も嫌いだしスポーツっていうものが自分自身が駄目なので、スポーツでなくドラマとか、あまり好きじゃなかったんで、いかにも卓球を取り上げた「ピンポン」だから、こんなふうに爽(さわ)やかというか,押し付けがましくない映画ができたのかなっていうふうには思いました。
窪塚君はやっぱり好きでした、演技の上手(うま)い下手(へた)は私には分からないんですけど、やっぱり上手いのかなと思って、大声張り上げるところなんかは、こっちまで胸がスッとしたし、顔もなんというか、混ざりっけがないし、まったく純粋(じゅんすい)無垢(むく)だったのかな、そう好きな映画でなかったんですけど、期待しなかった分、なるほどって感じで面白かったです。
さっぱりしていたのかな、家族が応援したりとか、涙を誘うみたいな感じの試合当日の模様とか、そういうものとか一切無かったというのが、気楽でいい映画だなとは思いました。
泣きの涙で、巨人の星じゃないけど、あんな物凄(ものすご)さは全然無かった、現代的なスポーツ物かな…スポーツ物じゃないのかなぁあれは、どうなんですかね?
笹 原 スポーツ物です
林 田 スポーツ物にしては、杉尾さんが言ったように試合自体の、あれはなかった、ただ、カッカッ、ほんとにバレーボールの昔あった何とか跳びとか、あんな大げさのはなくて、最後で飛び上がったりはしましたけど、そういう意味ではいい映画だなぁと思った。けっこう笑った、私。今の部長かな、部長でも笑ったし、一回ジーンときたのは、“スマイルが笑ったんだよな”と言ったところがあったでしょう、あの時スマイルが笑ったんだよなと言って、写真がでたら、やっぱり笑ってなくて、ほんの少し笑っているかなっていう感じ、あそこで、ちょっとジーンときたかな。
杉 尾 笑えばいっちゃわね。
林 田 なんで笑わんのかわからん。かっこつけて笑わんのか、そこはわからんわね。
鬼 束 笑わんでも別にいいと思うけどね。
加 賀 一回も笑ったのを見たこと無いんで、スマイルというあだ名になったていうのがすごいじゃない。
林 田 好きか嫌いかと言われたら、面白い映画だったとは思いました。
加 賀 課題作だったんで観に行ったんですが、面白かったですよ。最初に警官が、飛び降りを止めるシーン、いきなり面白いなと思って展開が期待できました。
僕は、鬼束さんと違って前半が好きだったんです。前半でドラゴンが勝つのかな、他の皆が負けるんですが、挫折(ざせつ)感というか、負けた人たちの気持ちが凄(すご)く出てて、中でもアクマ君が退部するんですけど、彼の気持ちがよくでてた。そしてけっこう途中で核心を突いた台詞を言っていましたね。
後半は「ロッキー」か「あしたのジョー」かって感じの定石どおりの描き方で、意外性はなかった。また主人公の窪塚より脇のキャラクターの方が新鮮だった。太田君もちょっとだけ面白かった、飛び降りを止めるためペコを説得(せっとく)する警官がすごく良かった。
そこだけでもこの映画観てよかった。おもしろい映画でした。
杉 尾 最後にスマイルとペコの試合を見せてもらえなかったのがミソですか?
林 田 あれは、わざと見せないのかな。
鬼 束 あったような気がしたけど、
加 賀 ちょっとしかなかった。
林 田 すぐ終わった。
杉 尾 怪我(けが)した痛みは途中でなくなったよね。…都合よく。
加 賀 ラストは無くてよかったよね。
笹 原 子供時代の部分は無くてよかった。
杉 尾 でも幼なじみということを言いたかったじゃない。
林 田 生まれ持った素質というのはあるよね、のめり込まない人でも上手くなって、一生懸命(いっしょうけんめい)しても、これから先はだめだったり。スポーツだけに限らず何にでも言える。
鬼 束 やっぱり誰かヒーローを求めてるいのかもしれない。今の自分にとってのヒーローというのは、おると楽というか元気がでる、
加 賀 だから、イチローの試合をみんな見るんよ。
鬼 束 誰のファンとか言うやん、あれヒーローやわ。 書いとこ。
横 山 原作は読みましたけども原作どおりの話でした。うまく映画化していると思いました。
原作はそんなに、面白いとは思わなかったんですけど。
五人のキャラクターが、それぞれ良くて、役者もうまくて、チャイナは原作よりカッコいいです映画のほうが、原作は変な奴です。
林 田 あの人は香港の俳優さん?
横 山 香港ですね。違うのが竹中直人の役が、もっと年で、あのお婆と同じくらいの年で、竹中直人は、いつもの竹中直人でしたけども、まぁ良かったんじゃないかな。
遊園地に行くところですね、原作にもありました。
林 田 そのとおり作ったんだ。
横 山 そのとおりですね、
杉 尾 太田君も?
横 山 太田君は違います。あれ、面白かったですよね。
ちょっと軽かったというような感じはしますけど、まあいいんじゃないんでしょうか。
笹 原 窪塚はどうですか?
横 山 窪塚は、そうですね、悪くないと思いますよ。軽薄(けいはく)でしたけど。
鬼 束 太田君て、映画ならではのキャラクターですよね。
杉 尾 描きにくいよね、漫画じゃ。
鬼 束 漫画で描こうとしたら苦労するやろうね。映画だったら、パッと見るだけで判るやん、ああこんな人やなって。
2001年 アメリカ作品
スタッフ 監督:ジョン・キャメロン・ミッチェル 脚本:ジョン・キャメロン・ミッチェル 詞曲:スティーブン・トラスク
キャスト マイケル・ピット ジョン・キャメロン・ミッチェル ミリアム・ショア
笹 原 ヘドウィグはですね、はまりました。これは観て良かったなと思って、久々のロックオペラで、曲(きょく)がやっぱりいいですね、歌うところがあるんですけど、歌いました。
話はたいした事なかったんですけど、そういう半分ミュージカルみたいな、曲が良くて歌えたというだけでも満足しています。
ほんとはカラオケナイトがあれば行きたいんだけど、ちょっと行けない。
野 口 あした、キネマ館でカラオケナイトがありますので。横山さんよろしければ歌ってください。
林 田 カラオケになってるの?
野 口 そういう企画らしいです、最終回だけ。 …で、人がくるのかっていう話で、映画祭が定例会はいっちゃってるから誰も来ないといやだから誘っておいてくれと言われました。
すごい判りやすくていいですよね、音楽が直接響(ひび)いてくるていう感じで。ほんとに話は、笹原さんは、あんまりって言うけど私はああいう話はすごく好きです。ころがされっぱなしで、でもがんばるんだみたいな、て言っちゃうとあれなんですけど。
でも感想を述べろといわれると、これくらいしか言いようがないですね。スゴイ気持ちよく音楽にはまれた映画だったと思います。
ヘドウィグはすごい綺麗な人だとおもいました、男性だけど。
杉 尾 全然知らずに、合評会で、それに9月まであるから見たほうがいいよということで、時間が夕方だったけど、ちと無理して行ってみました。
最初、始まったときにすごい音で始まったので、いやぁ、こういう映画だったら、ちょっと遠慮やなぁ と思っていたんだけど、ポーカルの声がすごく良くて、ロックは興味が無いんだけれど、歌詞を判りながら、訴える歌い方、迫力、あれで凄い音、でついつい引き込まれてしまって、しかも内容的にも興味があって、あの人の半生っていうか、に魅せられたというか、引きずり込まれていった。
随所(ずいしょ)に出てくる、その歌がものすごくその人の人生の、何かね、そういうのが入ってて、切なくて、激しいのに切なくて可哀そうというか、何ていうんだろう… 途中から、とっても綺麗にみえてくる自分が恐ろしいていうか、ファラ・フォーセット・メジャーズだよ〜んとか、いって出てくると、なんかすごい綺麗で、「あら、綺麗」と思っていると、次にやっぱ男の顔になっていたりするもんだから。
でもすごい魅力のある映画でした。ほんとだったら自分じゃ観にいかなかったと思うけれども、観たほうがいいよって誘ってもらって、ほんとによかったなって最後は感謝の気持ちで帰りました。
林 田 私はロックは大好きなんですね、だから、そういう意味では、また杉尾さんとは反対に、ある程度分かって観にいったんですけど、またこの話かって間で思ったのは、なぜロックを聞きに行くと、私の好きなクイーンもそうですけど、どうしてロックを歌う人は、あんなややこしい、性障害者っていうんですか、あれ。
いろいろと“ゲイ”とか“オカマ”とか、“ホモ”とかいろいろあるけど、それはみんな違うんですか? そこんところが私にはよくわかんない。 違うんでしょう。あれはどの部類にはいるの? “ゲイ”ですかね。
でも生まれつきに性(せい)同一性(どういつせい)障害(しょうがい)をもっていたわけ?…
杉 尾 自分の意思で、落としたんじゃなかったよね。「出て行くためには、置いていかなきゃ」て言われたから。
林 田 そうよね、ちょっと言いにくいんですけど、手術は、私そんなもんなのかなって、よく分んなかったんですけどね。
笹 原 その時代はね、場所がそこだった。
林 田 そうか、時代にもよる、 今はそんなことはないんですよね。 今は市民権を得ていますよね、そういう人たちは、それなりのね。 デビット・ボーイは、なんかそうでしょ。
杉 尾 はじめて知りました。
林 田 あれで出てきたよね、クイーンなんかほんとに変なんですよね。ボーカルのフレディね。
みんなじゃないよ。だからまたこの話かって、ついおもっちゃったのが、はまりこめなかった。私あんまり、ああいう類(たぐい)の話っていうのは、わかんない分、のめりこめない。
歌はほんとにすごく良かったし、たしかに綺麗に見えたり、気持ち悪く見えたり、いろいろだったんですよね、それで思い出したのは、ロンドンの女装した歌手の…
横 山 「クライング・ゲーム」でしょう。
林 田 そうそう、あれは何故(なぜ)かね、あの人の気持ちがすごく私は分ったんですよね。話も面白かったしね。でも今回の場合は、「ああまたこの話が、最後までこれか」と思っちゃたので、歌自体は、やっぱりコンサートに行ったときのような感じでした。
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