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2003年9月号

参加者 笹原・横山・林田・酒井・加賀 書記 野口

バトル・ロワイアル2 鎮魂歌

酒 井 一作目と比べて、監督が変わったこともあって、それだけが原因ではないのでしょうが、ほとんど面白くなかったです。やっぱりあの展開では、お話を作るのに無理があったんじゃないかな、という気がします。それと、焦点が絞れていないような感じがしました。途中からアメリカ批判が出てきたりしても、なんだかよくわからないままだし。テロリストを描いているのですが、描き方が非常に浅いような気がします。本当は作らないほうが良かったんじゃないかな、という気がします。

笹 原 一作目は非常に気に入ったんですが、今回はほとんど期待していませんでした。深作欣二の映画ではないことはわかっていましたから。それでその通りでした。深作健太のやろうとしていることは深作欣二とはまったく違うので、しょうがないかな、という感じでしたし、出てくる人物に魅カがないとか、話の展開に広がりがないとか、これだけじゃな、という感じはしましたね。もうちょっと作りようがあったんじゃないかとは思うんですが、主人公に共感できないというのが一番大きくて、ほかに見ごたえがないとどのシーンも真似事のようで、面白くないですね。深作縫太監督としては、2作貝以降がどうなるかでしょう。

横 山 一作目は非常に好き、というか、衝撃を受けたんですが、2作目は非常に脚本が悪いですね。「すぺての大人に宣戦布告する」というのがまず駄目で、幼稚すぎます。一作目が終わったときに、この主人公の二人は、国家に反逆していくんだからテロリストになるしかないな、という感じはあったんですが、前作のラストではそういう描き方せずに終わります。これを実際にテロリストにするのであれぱ、もっとちゃんとした論理が欲しいな、と。ぜんぜん共感できない部分が多くて。俳優も魅カがないですね。千葉真一とか三田佳子とか、ビートたけしがチラッとだけ出てくるところはとても良いんですが、普通の生徒たちの場面はまったく駄目で、もうちょっと何とかして欲しいなという気がしました。

野 口 前作は気持ち悪かったですけれど面白く見たので、今度も少しは期待して見に行きました。色々変わったということは良い事もあるかもしれないし。でもぜんぜん面白くなくて、本当に物まねみたいで。どうしていいかわからないから色々詰め込んで、無理やり収拾をつかせたみたいな感じが途中からどんどんしてきて、一作目からの一貫性も何もあったもんじゃないな、と思いながら、とてもつまらなく観ました。


ターミネーター3

酒 井 今年のサマームービーというのは続編ぞろいなんですが、その中でも成功している作品だと思います。ただ、ターミネーターのパターンとしてある「未来からターミネーターがやって来て…」という部分は、僕はマンネリ感を覚えるんですが、それを払拭して、最後まで惹きつけるだけのアクションのすぱらしさはあったと思います。「マトリックス」を観てしまったあとなんですが、どちらも現実的な話ではないのに、ターミネーターのほうがよりリアルに感じられるというか。ロボット同士なのに、シュワルツェネッガーがやると生身の人間に見えるというか…非常に言いにくいんですが。ですから、そんなに落ちる作品ではなかったので、嬉しかったです。ラストは、ああいう風な終わり方になるとは思っていなかったんですが、意外だったけれど、嬉しかったですね。これはもう、次を作ってもらわないといけないでしょう。

加 賀 前回で完結したかな、と思ったので、話の引き継ぎ方が、やはりうまいな、と思いました。二人のターミネーターが戦うシーンは、機械と機械のぶつかり合いという感じで、クレーン車のアクションとか、最後のトイレでの戦いのシーンとか、周りの便器とかを全部壊しながらっていうのは、さすがに、アクションとしてすごいな、と思いました。ラストは、緒局ハッピーエンドで終わると思っていたので、意外でした。こういうタイムトラベル物には良くあるような、良くわからないことが途中でいくつかあるんですが、そういうのを無視してみれば、面白く観れると思います。ちょっとわからないんですけど、女性のお父さんが、「あそこに行けば止められる」といったのは、やっぱり嘘をついたんでしょうか。

口々 それは知ってて嘘をついたんでしょう。

加 賀 じゃあ、主人公たちはだまされたわけですね。

笹 原 確かに、意外なラストなんですが、「え? これで終わり?」というむなしさを感じました。まあ、これからなんですが。それでも面白かったです。ネタばれなんですが、主人公がいつ死ぬか、とか、どうやって殺されるか、とかまではっきりでてきて、「そこまで言うか!」という感じでした。きっとこれをどうにかするために続きができるんでしょうね(笑)。非常に面白い展開で、久しぶりに興奮しました。あとはクレア・デーンズがとてもよくなっていました。なんとなく、観ているうちに主人公と結ばれるんじゃないか、と思うんですが。そういういい意味で予想通りのところもいいし、裏切られたな、というところも良かったです。監督は1作目2作目をちゃんと精通して、好きで、3作目を作っているから、そういう気持ちが伝わってきました。途中でちょっと遊び心が見えたりして。さすがに当たり外れのない監督さんです。

横 山 無理やり作った3作目にしては、ものすごく面白かったんじゃないかと思います。特に前半のアクションが、町を壊しながらやるカーアクションというのははじめて見ました。本当に良かったですね。ジョン・コナー役のニック・スタールが、予告編ではとても情けなく見えていたので、映りが悪いのかと思ったらそのまんまの顔で(笑)、そこだけがちょっといまいちでした。前作のエドワード・ファーロングが美少年だったのでなおさらですね。あと、敵ターミネーターのクリスティナ・ローケンも無表情で、非常に良かったですね。ただ、このターミネーターの特質からすると、女性である必要はないんですが。シュワルツェネッガーと戦って負けないくらいの身長なんですね。180cmくらいで。上映時間が1時間50分というのは非常に良くて、コンパクトにまとめていると思いました。ラストなんですが、60年代のSF映画を思わせるようで、笹原さんが「猿の惑星」のようだと(「スクリーン」で)書いていましたが、僕もそう思いました。「猿の惑星」でも、3作目でがらっと設定を変えてきているし。4作目ができるのかわかりませんが、あのまんま終わるんじゃ困るな、という感じがします。

野 口 すごくアクションが面白くて、1、2作も好きだったんですが、「ああ、こういうのが観たかったなあ」と思いました。機械と機械のぶつかりあいなんですが、それを人間の格好でやってるからすごく突拍子もなく見えるんじゃないかと。普通の人間だったら、クレーン車にぶつかったら死ぬし、いきなり車で突っ込んでいったりしたらそこで終わってしまうので、普通の映画だったらあまりしないですよね。でもそういうことが立て続けに起こるので、とにかくそれを楽しんで観ました。1、2作目を時々思い出させるようなしぐさとか、台詞が出てきて、とても面白かったです。ジョン・コナーは放浪生活をしてすすけた感じがして、逆に良かった気がします。ラストには驚きましたが、そういえぱターミネーターってこういう話だったっけ、と思って納得しました。


踊る大捜査線 THE MOVIE2 レインボーブリッジを封鎖せよ

酒 井 1作目ってあんまり記億にないんですが、なんだかたくさん話があって、ごちゃごちゃと進んで、大きな盛り上がりもなく終わってしまったような印象があるんです。今回は、前作とあまりにもパターンか似ていて、新鮮味がないですね。でも、ヒットしているのは新鮮味云々よりも、同じメンバーが集まってやっているというところか評価されているわけで。僕は評価はしていないんですが。映画としてみた場合に、正直に言ってあんまり面白いな、とは思いませんでした。やっぱり敵が弱すぎるというか、いまいち「この程度」という感じがして、駄目だったんですね。それから、女性の本部長。昔から、このシリーズは「本店VS所轄」という構図があったんですが、それももうなんだか・・とにかく、ここで取り上げられなけれぱ観に行かないような作品だと思います。

加 賀 僕もあまり記億になかったんですけど(笑)、結局みんなに親近感をもたれるのは、その前のテレビシリーズがヒットしたからというのと、テレビシリーズにスペシャル版が2本あったからじゃないかと。今度のも映画でやる必要はなくて、テレビの2時間ドラマで十分だったんじゃないかと思います。

林田 映画は今度のを入れて2本だけで、あとは全部テレビであったものなの?

加 賀 そうそう。映画よりもテレビでやったスペシャルのほうか正直面白かったです。今回も、猟奇殺人とほかに2件くらい事件が起こるんですが、メインじゃない奴のほうが簡単すぎて、もうちょっと気合を入れて作って欲しかったです。猟奇殺人事件も、連続殺人事件の割には二人しか殺されないし、犯人もちょっと・・存在感のある人を使って欲しかったです。それでも面白かったのは、女性管理官が下ろされて、室井さんが責任者になって、畳み掛けるように解決するというのが良かったと思います。前から同じメンバーでやっているから、所轄の人たちにすごく親近感があって、すぐ感情移入してしまうんですよ。周りの準レギュラーの人たちにも。このシリーズでメジャーになった人も多いし。そういうところが面白いんだから、ずるいといえぱずるいですよね。寅さんみたいに、もうちょっと小さくても毎年やってくれたら観に行くと思います。

笹 原 テレビを2〜3本、スペシャルは2本とも見て、前作もちゃんと観ました。今回も、色々と盛り上がらなくて、欠点はあるんですが、決して嫌いな作品ではないです。作品の出来云々というよりは、「男はつらいよ」とは比較になりませんが、大いなるマンネリにはまってしまうと面白くて。今度はあの人がどうなるんだろう、とか思って観ますから。お決まりのパターンなんですが。今回は深津絵里が撃たれてしまって、死にそうになるんだけど死なない、主人公とはいい感じなんだけれどもお互いに言わない、という、そこが面白さなんですね。本当にこの監督は深津絵里が大好きで、彼女のための映画のようですね。それがとても伝わってきました。全体ではまあまあかな、という感じです。テレビでも良かったとは思うんですが、イベントですよね。

横 山 前作は、テレビシリーズがあることを知らずに、ヒットしてるから行こうかな、というくらいの気持ちで行ったら、「天国と地獄」のシーンで非常に感心した覚えがあります。今回は皆さんおっしゃるように犯人側がまったく駄目で、警視庁側と所轄の対立を描こうというのはわかるんですが、それにしても犯人が説得力なくて。たかだか4、5人のグループで新しい組織だなんてまったくおかしな話で、50人くらいいてばらばらに動いたのであれぱ、リーダーがいる、いないでどうのこうのはあるんでしょうが、4、5人では、なんだ、という感じがしますね。ぜんぜんテロリストでもないし。でも、そういいながらも、前作を観たあとにテレビシリーズを全部観まして、ファンなんですけどね。今回も、まあ満足しました。いっぱい不満はあるんだけれども満足はできました。ラストのクレジットで写真を見せるというのも良かったですね。

林 田 ちょっとがっかりはしました。なんだまたか、残念だな、今まであんなに面白かったのにな、って。テレビシリーズも全部観たし、映画も観てるので、今ちょっとどれがどれやら判らないんですが、やっぱり織田裕二以外は、あの映画で知り合ったという感じなんですね。深津絵里にしてもそうなんですが、それまでぜんぜん如らなくて。今おっしゃったように、知ってる人があそこに行って演じているように感じてしまって。だから、つまらないところはなおさら残念だし、かといって嫌な映画ではなくて、もっと面白くできなかったのかな、という残念さ。もっと笑えなかったのかとか。今度の女性管理官にしても、めちゃくちゃかわいそうですよね。ヒステリックになって投げ出して、そこがクライマックスかもしれないけど、あの人にもう少し良いところを見せてほしかったな、って。女性としては、せっかくあんな凄い女性が出てきたのに、結局、女はダメだと言われてしまうような終わり方をしたのは残念でした。で、さっきもちょっと出てきたんですけれど、あの管理官が「事件は現場で起きているんじゃないのよ」というところが、今までは逆だったのに、今回はそういわれて、「ああ、今の事件ってそうなのかな」って思いました。大きな理由もなく、なんとなく事件を起こす人が増えて、恨みつらみというよりも遊び半分みたいで。だから、処理する側も「この犯人はこういうタイプだ」というのを解釈して、という風に昔とは事件の作りも違ってきたのかな、って。もし、3作目が出来たら、もっと頑張って欲しいです。

野 口 凄く面白かったです。やっぱり同じようなことやってるんですけど、知っている人がやってることですから。一応対立構造があって、そこに共感の持てるキャラクターがはまってるから、多分観てて飽きないんだろうなーと思いました。あまり期待もしていなかったので、これだけ面白ければいいや、という感じです。犯人は大したことしてないし、大した吼え方もしてないし。

酒 井 始まって20分くらいは凄く面白いんですよね。それが女性管理官が出てきたあたりで失速して…。

林 田 そうそう。

酒 井 もう少し人間的な描き方をすると、幅が出たと思います。犯人像にしても、ほとんど描いてないんですよね。

林 田 最初は期待して、面白いと思ったんですけどね。

加 賀 今回が最初の映画だったら、もっとつまらなかったでしょうね。


今月の1本

酒 井 「トーク・トゥ・ハー」宮崎では10月公開です。ぜひここで話したいです。

笹 原 「過去のない男」有名なアキ・カウリスマキ監督の作品です。あったかい感じがでいい映画でした。

横 山 「パイレーツ・オブ・カリビアン」のキーラ・ナイトレイ。とても良かったです。

林 田 「USJのターミネーター」並んだ甲斐があります。

加 賀 「日本の面影」NHKで観ました。ジョージ・チャキリスと檀ふみが出てます。

野 口 「ねじまき鳥クロニクル」今思い出しましたが、先月はずっとこれを読んでました。

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