参加者:酒井・手塚・林田・笹原 書記:加賀
監督:ソフィア・コッポラ 脚本:ソフィア・コッポラ 撮影:ランス・アコード 出演:ビル・マーレイ スカーレット・ヨハンソン
林 田 主演のスカーレット・ヨハンソンは「真珠の耳飾の少女」の方が良かったけど。まず東京の夜の街が舞台ですよね、この人が主演ということは知らなかったんですけど、監督がコッポラの娘というんで、どんなのかなと興味を持って見に行きました。東京の街は確かにあれでいいんですけど、日本人が見てる東京の街と外国人が見る東京の街とでは撮り方がこんなに違うのかなという思いがまずしたことと、主演のビル・マーレーは、よほど辛いことがあるのか、最初から最後まで鬱陶しかった。面白かったのは、撮るところとか、日本人がきぜわしくて、撮影現場とかは、たしかに日本人ならあんな感じかなと思いました。この人は日本が好きで撮っているのか、東洋の街というので、よその街とイメージが違うっていうところと、2人とも問題を抱えてるわけではないけど、なんとなく晴れないというか、お互い同士で惹かれあうという話でした。映画自体見たあとよりも、だんだん面白かったかなと思ってきました。見たすぐの時にはちょっと、なんか東京って、くだらない街だなっていうふうに思ったけど、良く考えてみたら大人のいい映画かなとは思いますけど。
酒 井 興味深くみたんですが、アメリカ人が見た東京というのは、僕らが普通に見る東京と視点が違うんですよね、ですから僕らが普通に感じているところ、普通に思っているところが彼らにとっては非常に新鮮に見えてる、そこが映像にでてるんですよ。だから自分の知ってる東京が違う東京に感じられるんですよ、そういう視点で見ると。彼らはそういうところが奇妙なのか可笑しいのかっていうところが随所にみられるんですよね、それがやっぱり見方が違って非常に興味深かったですね、そういう視点が出てきてるところは。ストーリーの話ですけど、とりとめのないストーリーですよね、だからストーリーをどうこう追っ掛ける話じゃなくって、東京の夜を描いたその雰囲気で押してるような感じの作品なんですよ。だからそれが好きになれるか、なれないかというのが、この映画が好きになれるか、なれないかのポイントだと思います。たしかにすごく興味深くって僕は好きな方なんですけっど、じゃアカデミー賞の作品賞のノミネート、そこまでいく作品かなと思うと、そうでもないようなきがするんですよ。ただあの作品は、気だるいとこ、かったるい雰囲気が非常に捨てがたい独特の雰囲気をもった作品じゃないかなと思います。ただ、この作品がその雰囲気だけでみる価値があるかといると、そこまでいくようなものではないんじゃないかなという気もします。
手 塚 若いときに東京に住んでたことがあるんですけど、その時に思ってたような道を歩いているんだけれど糸の切れた凧みたいな、なんか寂しい気持ちをずっと毎日思ってた、そういう感覚っていうのが映画を見てて思い出されてきて、ストーリーがどうこうというより感覚的な映画なんだなっていうのを、ずっと思ってました。感覚的っていうので見てると、出てくる二人の男の人と女の子というのも、お互い好意をもっているんだけど、踏み出せないとか陰鬱な感じとか、そういうのがすごくよく思われました。ですがやっぱり、なんで外国の人が撮ると京都とか富士山とかいうのが、どうしても出てこないといけないのかっていうのは、ちょっと残念に思いました。
笹 原 アカデミー脚本賞を取ったり作品賞のノミネートがありましたよね、それでずっと期待していた映画だっただけに失望は大きかったですけど。主演のスカーレット・ヨハンソンは例の「真珠…」よりもこっちの方が好きなんですけど、あっちを先に見たんで、ああ、あの人だなって顔がよくわかった、ビル・マーレーは相変わらずだった。この2人が大きくて、その脇が上手く描けてない。というかこの2人だけの映画で、どんどん話が進んでしまった。それと、さっき言ってた東京の描き方なんですけど、私も通算七年ほど東京にいたんですけど、やっぱり脇道とかの描き方なんですよね、こないだ外国人がとった東京の映画「不夜城」なんか、すばらしく東京を描いてるんですよね、だから描こうと思えば描けるんだけどな、あえて突き放したような描き方をしているのは気に入らなかった。日本人の描き方とかも画一的でしたし、外国人が別の国に行った時の孤独感を描きたいというのはよく分かるんですけども、演出が悪いのか脚本が悪いのか、脚本賞を取るような映画じゃないというふうに感じ、思いました。
監督:ナイジェル・コール 脚本:ティム・ファース ジュリエット・トウィディ 撮影監督:アシュレイ・ロウ オリヴァー・カーティス 主演:ヘレン・ミレン ジュリー・ウォルターズ
笹 原 話はだいたい知っていたんで、予告編とか見てもわかるし実際にあった話なんでストーリー的にはそんな驚きは無かったんですけども。主演の女性二人が、ヘレン・ミレンは昔から上手い人でジュリー・ウォルターズと二人が良かったですね、予想よりは面白かったなという感じでした。ハリウッドに行きますよね、そこで二人がけんかするとこだとか、メリハリがあって、最後うまくまとめたなという感じがしました。
手 塚 女性はやっぱり幾つになっても男性よりもキラキラ輝いてるんだなっていうのは、見ててすごく嬉しかったです、…それぐらいです。楽しい映画でした。
酒 井 びっくりしたのは、この種の話の場合、カレンダーを作って売れて終わりなんですよね、びっくりしたのは、その後の話があるんですよね、ですからカレンダーを作って売れてというサクセスストーリーだから映画になってすごく面白いですよね、苦難を乗り越えて、そして回りの共感と支持を受けてね、アメリカ映画なんかそこで終わるんだけども、この映画の面白いところは成功した後の部分を描いているんですね、彼女たちは脱いでカレンダーが売れまくって成功しましたと、そしてハリウッドに招かれましたと、そこから成功というのはどういうことか、最初は目的の部分からきて、後半部分に主題が変わってくるんですよね。成功することによって人間関係がぐしゃぐしゃしてくると、それまではカレンダーを売る為に団結していたのがだんだん不協和音がでてきて、有名になった代償なんですね。そこからこの映画は面白いなとおもったんですよ、おばさんがたが脱いでカレンダーを作って、こういう話っていうのはいっぱい映画でありましたから、ひとつのサクセスストーリーかなと思って見ていたんですけど、その後の後日談が延々とやって、なんとかなって修復して終わっているところに、この映画の違う視点というか、カレンダーを作るということじゃなくって、成功した後どういうふうになるのかというところをひとつの実例として描いているところ、これが新鮮に思えましたね、そういうところを描いている映画っていうのは意外と少ないんじゃないですかね。そういうところが非常に面白かったですね、映画的には盛り上がって成功して終わる方がいいと思うんですけど… そういうところが良かったと思いました。
林 田 最後のところがアメリカと違ってイギリス映画だっていうところかもしれないですね、映画が面白いというんじゃなくって本当の人達が思いついたっていうことが、50代、60代の女性たちが、あれを思いつくっていうことが、実話だっていうとこが、びっくりし面白かったとこです。若い人たちは、そうまで裸になることに抵抗はないけど、決めたわいいものの何かで隠すとかカメラをこっちに置いといて指図するとか、そういういろんなこまかな要望を出していくところが女性でかわいいなというふうに思ったことと、彼女達の顔が皺がいっぱいであるにもかかわらず、本当にスマートでかっこよくって日本人にはこんなまねはできない、洋服の着こなしとかスカーフのあしらいとか、そういうところも素敵だなと思いました。ヘレン・ミレンとジュリー・ウォルターズの二人が特に面白かった。「フルモンティ」とか「ラブ・アクチュアリー」みたいに馬鹿笑いじゃなくってほろっとしながらも笑わせて、ちょっと教訓めいたところもあって、そういうところがさすがイギリスというふうに思いました。
林 田 「イン・ディス・ワールド」
酒 井 「ヴィレッジ」の予告編
手 塚 「誰も知らない」
笹 原 「ハリー・ポッターとアズカバンの囚人」