2000年5月のコラム
ネットスケープ6に期待
iモードToolでテスト
映画のデータ集充実を
必読の「おかしな男 渥美清」
パソコン通販はどこがいい?


ネットスケープ6に期待

さくらインターネットのレスポンスが時々急激に落ちることがある。「映画フォーラム」や「映画とネットのDIARY」を見ようとすると、なかなかつながらず「サーバーが見つかりません」となる。どうもテレホーダイ時間にCGI関係のレスポンスが悪くなるようだ。毎日こうなるわけではないが、ちょっと気になる。きっとサーバーを共有している誰かが負荷の大きいプログラムを実行しているのだろう。あまり負荷の大きいものは使わないようにしたい。これは自分への戒めでもあるんですけどね。

INTERNET MAGAZINE6月号がネットスケープ6・プレビューリリース(いわゆるベータ版)を緊急特集している。ネットスケープについてはさんざん悪口を書いてきたが、特集によると、スタイルシート(CSS)への対応が随分向上したという。それはなによりである。主な変更点は以下の通り。(MYCOM PC MAIL4月6日付から引用)

 Netscape6は既報の通り、Windows/Mac/Unixなど複数のOSで利用可能なクロスプラットフォーム設計になっており、描写エンジンには新開発のGecko Browser Engineが用いられている。このGecko Browser Engineによって、テーブル・テキストに関わらず素早い描写が可能になっている。また、サイズも軽量化が図られており、ダウンロードサイズは従来のNavigator4.08の約半分、5.5MBになっている。
 サポートする規格もXML、HTML4.0、CSS1、W3C DOM Level0・1、JavaScript1.5など現在Webで見ることのできるほとんどの規格に対応している。

同じくMYCOM PC MAILの4月21日付にはこうある。

 Netscape6(Gecko)の最大のポイントは、やはりHTML4.0やXML、CSS、DOMといった新しいWebの規格に対して、Web技術の標準化作業を進めるW3C(WWWコンソーシアム)が定めた規格に完全準拠していることだろう。これによって、IEとNetscapeのそれぞれで表示が異なってしまうといった問題も解決できるようになるはずだし、Webページの制作側にとっても、ブラウジングする側にとっても、大きなメリットとなってくるはずだ(IE5.5のβ版は、DOMに完全準拠していないなどと指摘されたばかりだが)。

この「W3Cが定めた規格に完全準拠している」という部分が実に大きな進歩である。こんな当たり前のことをバージョン4.xまではやっていなかった。スタイルシートを使ったページはネットスケープで見ると、表示がガタガタになる。これによってネットスケープからインターネット・エクスプローラーに乗り換えた人も多かったのではないか。僕自身、今ではネットスケープはホームページの表示テストぐらいにしか使わない。「シネマ1987online」のアクセスログを見ても8割ぐらいはIEである。

既にIEに乗り換えた人が再びネットスケープに戻ってくるかどうかについて、INTERNET MAGAZINEは悲観的な観測をしている。Windowsと一体になったIEの方に何かと分があるのは仕方ない。しかし、最近増えてきたPC UNIXのユーザーは着実にネットスケープをバージョンアップさせるだろう。クロスプラットフォームの利点はこんなところにある。オープンソースという点もUNIXユーザーにはなじみの深いものだ。マイクロソフトの市場独占を許さないためにもネットスケープには頑張って欲しい。そして正規版のリリースが早くなることを期待したい。(5月3日)

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iモードToolでテスト

週刊アスキー5月24日号にNTTの社長が「iモードは使いにくい」と発言したとの記事がある。「私のような高齢者には画面が小さすぎる。…iモードがネット接続の主流になるとは思わない。…ボタンが小さすぎてよほど器用な人でないと、使いづらい」などと述べたのだそうだ。ま、確かにそうでしょうね。iモードは画面が小さすぎる。あんな小さな画面でページを見て何が面白い、と僕も思う。ただし、iモード加入者があっという間に500万人を超え、@niftyを抜いて国内最大手のプロバイダになったのも事実なんである。僕はiモード専用のページなど作るつもりはないが、少なくとも企業など営利目的でページを公開している団体・個人はiモード勢力を無視できないのではないだろうか。

同じ号の週刊アスキーの特集「オンラインソフトでインターネット環境大強化」にはタイムリーなことに「iモードTool」というフリーソフトが紹介されている。パソコンでホームページをiモードで見えるように表示するソフト。自分が作ったページがどう見えるかには興味があるし、いちおうiモード掲示板も設置しているので、ダウンロードしてみた。ところが起動しない。マニュアルを見ると、Visual Basic 6の基本ランタイムセットが必要なのだという。うーん、入れてませんでしたっけ? しょうがないのでVectorからダウンロードした。これ3MB近くあるし、テレホ時間だったので10分以上かかった。遅いぞ、ベクター!

で、ランタイムセットをインストールしてiモードToolを起動。シネマ1987onlineにアクセスしたら、見えません。タイトルのgifしか見えません。トップページにはクリッカブル・マップ(イメージ・マップ)を使っているせいだろう。「最新実用HTMLタグ辞典」によると、マップはiモード対応とは書いてないものね(FLASHから変えてまずかったか?)。そのほか、JavaScriptもあるし…。iモードってホントにこんな表示しかできないんですかね。試しにiモード掲示板にもアクセスしてみた。こちらはiモード用のスクリプトで書かれているはずだから、表示されるはず。そう、表示はされた。でも非常に見にくい。黒っぽい背景に黒の文字で表示されるんだもの。パソコンでは文字は白なのにどうしてこんな風になるのだろう。これでは書き込みも少ないわけだ。納得しました。

iモードToolがどれくらいホントのiモードに近い表示ができるのか分からないけれど、もしiモードにこの程度の表示しかできないのなら、NTTの社長とは別の意味でインターネットの主流になるはずはないと思う。まず、普通のパソコンと同じぐらいの表示ができるようにならないと、iモードでインターネットなんていうのは現実的ではないでしょう。iモード専用のページだけのインターネットなんて恐ろしくみすぼらしい世界だと思う。NTTはiモードに普通のタグが読み込めるよう、もっと改良を進めるべきではないか。(5月12日)

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映画のデータ集充実を

「シネマ1987online」のデータ的側面を強化したかったので、2カ月ほど前に「20世紀の映画監督名鑑」という本を買った。宮崎の書店では見あたらず、クロネコヤマトのブックサービスに頼んだ。ところが先日、会社のそばにあるデパート内の書店に立ち寄ったら、この本が平積みになっていた(~_~;)。うーん、灯台もと暗しですね。この書店は映画関係の書籍もけっこうそろえてあり、これからは時々立ち寄るようにしよう。この日は「外国映画女優」という女優名鑑も見つけ、買ってしまった(「外国映画男優」もあったが、出演映画の原題がないのが不満)。以上の2冊、どちらも共同通信社のムック。価格が安いのがいい。こうした映画関係のデータ集は、かつてはキネマ旬報社の専売特許だったが、価格が高かった。1979年に出版された「日本映画俳優全集 男優編」は6000円もした。21年前のこの価格には相当高いと思ったものだ。もちろんそれに見合うだけの労作ではあった。近年のキネ旬はこういう本をあまり出版しない。経営がセゾンに変わったし、データだけを集めた本は売れないのだろう。

現在、映画のデータ集と言えば、「ぴあシネマクラブ」か。収録された映画データは日本映画6500本、外国映画10800本の計17300本。これはガイドブックの趣でCD-ROM版もあり、検索機能も付いている。僕は両方そろえているが、作品名で引くときは本、人名などの検索は当然のことながら、CD-ROM版が使いやすい。毎年、公開された映画のデータを追加した新刊が出るのがいい。ただし、データ的には十分ではない。日本映画6500本というのは多いようで、実は少ないのである。編集方針と思うが、にっかつロマンポルノ関係は一部を除いて無視されている。巻末にある監督のフィルモグラフィーには抜けている作品も目に付く。全面的な信頼を置けないのは残念だ。

映画評論家・双葉十三郎さんの「ぼくの採点表」(トパーズプレス)は戦前から1996年までの外国映画8600本を網羅している。今は亡き瀬戸川猛資さん(ミステリ評論家で映画にも詳しかった)が編集を担当。双葉さんが「スクリーン」に連載した「ぼくの採点表」を年代別にまとめた本である。双葉さんの映画評は信頼できるし、鋭い。パラパラ読んでいくだけでも楽しめる読み物である。ガイドブック的な編集だが、基本的には批評集だから、やはりデータを調べるときは物足りない(監督と出演者、上映時間、製作国、カラー・モノクロの別、原題のみ)。しかも全5巻+索引をそろえると、2万円は軽く超える。第一、今では手に入りにくくなっているのではないかと思う。

キネ旬にかつての編集姿勢に戻ってほしいと思う。それが無理なら、せめてベストテン号のデータを強化してほしい。記事総索引はベストテン号の目玉とも言えるものだが、以前は映画評が50音順に並べてあって重宝した。今は映画評の索引がなく、公開月別・映画会社別のリストからたどるしかない。これは時間がかかりすぎる。索引の用をなさないのである。毎月掲載される公開映画紹介のデータが、これでは後になって調べにくい。パソコンを使えば、タイトル別・50音別の並べ替えなどすぐにできるのだから、改善してほしいものだ。(5月18日)

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必読の「おかしな男 渥美清」

「男はつらいよ」シリーズを僕はほとんど見ていない。特に理由はなく、消極的に見逃し続けただけだ。それでも渥美清に関心がないわけではなく、著者が小林信彦ということもあって「おかしな男 渥美清」(新潮社)を読んだ。小林信彦の喜劇人伝は「日本の喜劇人」「世界の喜劇人」「喜劇人に花束を」「植木等と藤山寛美」「天才伝説 横山やすし」と読んできたが、これは大変な労作「日本の喜劇人」に迫る傑作と思う。データや人の証言を並べただけの伝記とは異なり、著者が実際に交流を深めた渥美清の複雑な人柄が重層的に浮かび上がる。批評・分析の目が鋭いのである。映画ファン、寅さんファンという枠を超えて、広く読んでほしい好著だ。

著者はあとがきにこう書いている。

 彼は複雑な人物で、さまざまな矛盾を抱え込んでいた。無邪気さと計算高さ。強烈な上昇志向と自信。人間に対して幻想を持たない諦めと、にもかかわらず、人生にある種の夢を持つこと。肉体への暗い不安と猜疑心。非情なまでの現実主義。極端な秘密主義と、誰かに本音を熱く語りたい気持。ストイシズム、独特の繊細さ、神経質さも含めて、この本の中には、僕が記憶する彼のほぼすべてを書いたつもりだ。

特に終盤(28章以降)の肝臓ガンにかかった渥美清がそれでも寅さんを演じ続ける部分は壮絶である。この期間、著者は実際に渥美清に会っているわけではなく、付き人の著作からの引用や新聞・テレビ番組の内容から組み立てているのだが、批評・分析が的確で間然とするところがない。前半部分の密度の濃い交流とその分析が背景にあるため説得力があるのだ。寅さん=渥美清という皮相的な捉え方とは無縁の、人物の本質を深く突き詰める著者の姿勢は終始一貫揺るがない。

さらに深みを与えるのが「日本の喜劇人」を書いた著者ならではの渥美清の喜劇人としての位置づけだ。森繁久弥、伴淳三郎、ハナ肇、フランキー堺、藤山寛美に対する評価、特に渥美清と比較した上での評価がとても分かり易い。そういう意味でこれは「日本の喜劇人」と併せて読むと、さらに興味が増す本である。日本の喜劇人とは何か、何を目指しているのか、これほど良く分かる著書はない。つまり、この本は渥美清の本当の人柄+喜劇人としての位置づけが一体になった構成であり、小林信彦でなければ、書けなかった本と言えるだろう。

アチャラカから名優への道を歩んだ森繁久弥の姿は多くの日本の喜劇人が理想とするところである。その森繁久弥が渥美清に贈った次のような言葉は感動的だ(一部を引用。興味がある人は原典に当たって欲しい。134ページから135ページにかけて書いてある)。

 それにしても清よ!  俺がここまで来て思うことは、なんと人生は短いものだ――と言うことだ。
 一切くだらぬ骨折り損はよせ。ウエンな道には自由がない。良い声も悪い声も共に聞くな。己れを大事にして、アッと言う間に過ぎる、お前さんの“時”を充分に満喫してくれ。
 その暁には、何の後悔もないからだ。例え敗惨の姿と世間が笑おうが。
 俺たちは芸商の奴隷ではないからだ。分かっているな。
 清よ、頑張れ。

森繁久弥は渥美清の素質を高く評価し、孤高の姿勢を理解していたのだろう。小林信彦も書いているが、いつかは自分を追い抜くかもしれない後輩に対してこういう言葉をかけられる人はあまりいない。

以下は蛇足である。
 渥美清のガンは若い頃の片肺切除手術の際の輸血が原因という。それが肝硬変、肝臓ガンに進行したとのことで、典型的なC型肝炎である。発病は1982年というから、かなり長い間、肝炎の症状にも苦しんだと思われる。C型肝炎ウイルス(HCV)が発見されたのは1988年。インターフェロンである程度治療できるようになったのは、ここ数年のことなのである。

宮崎ロケをした「男はつらいよ 寅次郎の青春」(92年)はシリーズ中では比較的上位に入る良い成績を残したので、松竹九州支社に取材して記事を書いたことがある。当時のキネマ旬報には「併映の『釣りバカ日誌』シリーズの人気が高まってきたから」との分析があったが、九州支社の答えもその通りだった。きっと担当者もキネ旬を読んでいたのだろう。しかし、「男はつらいよ」が終了して単独公開となった「釣りバカ日誌」にいかに力がないかはご存じの通りである。あれは寅さんの併映としてのみの力だったことが良く分かる。あるいは最初は釣りバカにも力があったが、長続きはしなかった、ということか。48作に及び、ギネスブックにも収録された「男はつらいよ」のようなシリーズはもう日本映画からは出ないだろうと思う。(5月24日)

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パソコン通販はどこがいい?

パソコン購入に備え、ネット上で購入申し込みができるサイトを見て回った。ゲイトウェイ、デル、フロンティア神代、エプソンダイレクトの4カ所を見たが、デルを除いてペンティムVの1ギガの商品は見あたらなかった(デルも、ものすごく高い)。まだ生産量が少ないのか?

ゲイトウェイにはアスロンの1ギガはあったが、これもやや高い。他のスペックを抑えて、安いように見せている(メモリーは64MB。今時、何考えてる!)けれど、希望のスペックで見積もりをすると、30万円は軽く超えてしまう。「CD-Rも欲しいや、あ、SCSIも付いてた方が便利か」などとつい付け加えてしまうんですよね。そんなもの、後からいくらでも増設できるのにね。

MYCOM PC MAILによると、デルは出たばかりのペンティアムV 933MHz版を搭載したパソコンをさっそく出したそうだ。1GHz版よりもコストパフォーマンスに優れているのがメリット。

PentiumIII 933MHzにi820チップセット、128MBのPC700 ECC RDRAM、6.4GBのUltraATA-66 EIDE HDD、最大48倍速CD-ROMドライブ、nVIDIA TNT2 M64 4xAGP 32MBビデオカード、Windows98SEといった組み合わせ(ディスプレイ別)で214,800円だ。
(MYCOM PC MAIL 2000.5.26から引用)

消費税込みで225,540円。むむ、確かに安いが、デルのページにはまだなかったですよ。ぼくが見つけられなかっただけか?

サイトを見て回った感じではゲイトウェイがやはり良さそう(フロンティア神代はなかなかつながらなかった。回線が細いのだろう)。どこも見積もりはJavaScriptですぐに計算できるようになっているが、ゲイトウェイが一番洗練されていた。ただし、この方法、ブラウザに負担をかけるようで、リソース不足になった。ま、それはどうでもいいこと。ゲイトウェイから933MHz版はまだ出ないのでしょうか。出たら、第一候補にするのですが。

ショックだったのは600MHz程度のパソコンはもはや10万円を切っていること。エプソンダイレクトでは8万円ぽっきり。今の僕のパソコンの2倍の速さなのにこれですからね。考えてみれば、個人が使うには600MHzでも十分なのだ。インターネットとワープロぐらいならそれでもお釣りが来る。CPUを交換してアップグレードするのと買い換えた場合の価格があまり変わらないとなると、買い換えは進むだろう。しかし、実際に買うとなると、スペックの高い方を買ってしまう。すぐに古くなるのが、目に見えているからだ。

通販価格探検隊も久しぶりに見てみた。○○○とか×××とか、相変わらず評判が悪い。パソコンを通販で買う際にはここの掲示板「悪徳ショップ探検隊」は必読でしょう。よくこんな商売でやっていけてるな、と思えるショップがたくさん実名で出てくる。ログが最新100件しか残らないのは不満だが、大いに参考になります。実はここに以前、デルの悪口が書かれていた。マニュアルの不親切さについても雑誌で読んだことがある。デルは企業への販売が中心で、個人は中上級者を対象にしているのだと思う。価格的には全米最大手のデルの方が安いのに、僕がゲイトウェイにするつもりなのはそういう理由があるからだ。(5月27日)

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