2000年2月
ミステリーベストテンの意義
ヴァン・ヴォクトの死
現代<死語>の世界
ネットレコーダー6発売へ
テキスト主体のページがベスト
Windows2000と常時接続大幅値下げ
Namazuがバージョンアップ
NR6はどう変わったか


ミステリーベストテンの意義

「リング0 バースデイ」の鶴田法男監督には公式ホームページがある。SFオンラインからリンクされていたので行ってみたら、奥さんが運営している「鶴田いんことその周辺」というページだった。本筋はインコや料理についてのページだが、その中に鶴田監督の作品を紹介したコーナーがあり、ここをSFオンラインは公式ページとしていた。作品紹介のそれぞれに付く「妻と旦那のオシャベリ」という項目がなかなか面白い。映画、テレビ、OVAなど鶴田監督の作品すべてについての夫婦の会話で、映画の裏話や監督の映画に対する思いが伝わってくる。何より奥さんの監督に対する愛情が感じられ、読んでいて微笑ましい。一読をお勧めします。

「ミステリマガジン」3月号に恒例の「保存版1999年翻訳ミステリ回顧」が掲載されている。作家、評論家、ファンなど102人による「私のベスト3」と同誌書評陣の「回顧とベスト3」に加えて、今年は「隔離戦線 地雷地帯」の評論家3人による座談会が収録されている。「隔離戦線」は同誌の書評ページを担当していた3人(池上冬樹、関口苑生、茶木則雄)の書くことが過激なので、「書評から隔離してしまおう」として始まった。冗談みたいな企画だったが、もう3年近く続いている。今回の座談会は題して「隔離解放戦線」。前半はベストテンの意義、後半はそれぞれのミステリーベスト3などについて語っている。

ミステリーのベストテンといえば、週刊文春と「このミステリーがすごい!」が双璧だが、近年気になるのはこの2つのベストテンの中身が似通ってきたことだ。ま、同じ投票方式で選んでいるのだから、当然といえば当然なのだが、同じようなものが2つあってもつまらない気がする。ちなみに昨年のベストテンは以下の通り。

文春ベストテン
1.ボーン・コレクター
2.極大射程
3.死の記憶
4.パナマの仕立屋
5.夏草の記憶
6.三人の名探偵のための事件
7.ボビーZの気怠く優雅な人生
8.惜別の賦
9.クリスマスに少女は還る
10.血の流れるままに

「このミステリーがすごい!」のベストテン
1.極大射程
2.ボーン・コレクター
3.夏草の記憶
4.三人の名探偵のための事件
5.悪党パーカー/エンジェル
6.クリスマスに少女は還る
7.死の記憶
8.パナマの仕立屋
9.血の流れるままに
10.ポジオリ教授の事件簿

順位こそ異なるが、なんと10本中8本が重複している。きっと投票者もかなり重複しているのだろう。だからこんな同じような結果になるのに違いない。これではアンチ週刊文春という志で発足した「このミステリーがすごい!」の存在価値がないのではないかと思う。この点について、座談会ではこう話している。

関口 でもただね、何も知らない一般読者からしてみれば、こういう似たような結果になったということは当然ながら―
茶木 本当に面白いんだと思いこんじゃうだろうな。ただね、ベストテンである以上どんな結果が出たって、ある程度広い間口で透明性があるんだったらそれは文句を言う筋合いではまったくない。

もちろん、文句を言う筋合いではないでしょう。でも、僕はやはりつまらないと思う。「このミス」は今ではベストセラーリストに顔を出すほどメジャーになった。だから、こんなことになったのだと思う。かといってマイナーなままでいいのかというと、マイナーなベストテンの信用は薄いだろう。ジレンマですね。ただ、ジャンルを変えるという手はある。過去に「このミス」のベストテンには「蒼穹の昴」などミステリー以外の作品が入ったことがある。エンタテインメントを含めた広い意味でのミステリーとして選ばれたわけだ。だから間口をもっと広くしちゃえばいいんである。SFにだってミステリーを取り込んだ面白い作品はあるのだから、そういうところまで気配りできないものか。一般読者にとって、ミステリであるかないかはあまり意味を持たない。ジャンルを超えた面白い小説(ノンフィクションを含めて面白い読み物)を読みたいだけなのだ。でも、そういう人は「本の雑誌」のベストテンを参考にすればいいのかもしれない(これは投票方式ではなくて話し合いで決めてますけど)。

ベストテンの効用について、以前書店に勤めていた茶木則雄は、本の売れ方に大きく影響すると言っている。確かにその通りなのだろう。こっちだって本の帯や書店の張り紙に“○○で1位”などと書いてあれば、買っちゃいますものね。ちなみに、上の2つのベストテンで僕が読んでいるのは、「惜別の賦」(ロバート・ゴダード)のみ。昨年は読書量が激減した年だったから仕方ない。一応、「ボーン・コレクター」(これはデンゼル・ワシントン主演で映画になった)と「極大射程」は買ってあるので、これから読みたいと思う。(2月2日)

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ヴァン・ヴォークトの死

 新聞の死亡記事でSF作家A・E・ヴァン・ヴォークトの死が報じられていた。記事にはこうある。

アルフレッド・バン・ボクト氏(米SF作家)1月26日肺炎のため米ロサンゼルスの施設で死去、87歳。カナダのマニトバ州ウィニペグで農民の子として生まれた。米国に移り、「宇宙船ビーグル号の冒険」「非(ナル)Aの世界」など多くのSF小説を発表。デビュー作「黒い破壊者」は映画「エイリアン」のヒントになったともいわれている。

「黒い破壊者」は「宇宙船ビーグル号の冒険」に収められた1編で、「エイリアン」のヒントどころではなく、「エイリアン」の作家たち(ダン・オバノンか)がほとんど盗作したのである。20世紀フォックスはヴォークトが起こした訴訟に敗れ、賠償金を支払っている。宇宙人が宇宙船に侵入し、乗組員を危機に陥れるというプロットからして「エイリアン」そのものだ。この宇宙人、外見は猫なのだが、知能は人間よりも高く、凶暴で機械も操れる。中学時代に読んで、「こんなに面白いSFがあったのか」と思ったものである。猫なのに人間より賢いという設定がまずSF的である。「エイリアン」にはジョーンジーという猫が登場し、飼い主のリプリー(シガニー・ウィーバー)が宇宙船の中を探し回る場面があったけれど、これもビーグル号を意識したものだろう。

ヴォークトの小説は実はこの「宇宙船ビーグル号の冒険」しか読んでいない。しかし、その衝撃(当時は言葉を知らなかったが、センス・オブ・ワンダーを感じた)から個人的にSFにのめり込むきっかけになった。もちろん、その前にコナン・ドイル「失われた世界」やハル・クレメント「一千億の針」、ジョン・ウィンダム「トリフィドの日」などもSFの醍醐味を十分に味わわせてくれたのだが、面白さで「宇宙船ビーグル号」に勝るものはなかった。宇宙を舞台にしたSFって多そうだけれど、実は全体から見れば割合的には少ないんですよね。特に宇宙だけでストーリーが進行する作品は少ない。たいていどこかの星に降りて、話が進むのである。

「ビーグル号」については偶然にも今月号のSFオンラインで触れられている。「SFまんが道」のインタビューでGAINAXの貞本義行という人が語っているので、興味のある人は読んでみて欲しい。ヴォークトの好きな人、けっこういるということがこれを見ても分かると思う。

ヴォークトはクラークやアシモフなど一流のSF作家に比べれば、活動は地味だった。はっきり言って60年代で終わった作家で、作品自体も多い方ではない。しかし、その影響力は大きかったと思う。晩年はアルツハイマー病にかかっていたという。施設で亡くなったというのもなんだか悲しい。合掌。(2月5日)

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現代<死語>の世界

「黒い家」19位、「ガメラ3 邪神覚醒」22位、「秘密」24位、「双生児」27位、「メッセンジャー」35位…。個人的にベストテンに入れた作品がキネマ旬報ベストテンではこうなる。「黒い家」はまあ、森田芳光監督には「39 刑法第三十九条」があったから票が割れたのだろうから分からなくもない。でも「ガメラ3」はもう少し上にあってもよさそうな気がする。怪獣映画、一段低く見られたんですかね。「メッセンジャー」の35位にいたっては言葉がない。そんなはずは…。洋画の方では「スターウォーズ エピソード1」28位、「ラン・ローラ・ラン」32位、「トーマス・クラウン・アフェアー」59位などとなっているが、こちらにはあまり異論はない。ベストテンって結局人気投票ですから、そんなものでしょう。

書店で「現代<死語>ノートU」(岩波新書)という本を見つけた。著者は、おお、好きな小林信彦ではありませんか。迂闊にも知らなかったが、3年前に第1作「現代<死語>ノート」も出版されていたのだった。これは<死語>によって眺める現代史−という趣の本で、雑誌「世界」に連載されたのだそうだ。第1作は「もはや戦後ではない」の1956年から1976年まで、今回出版された第2作に1977年から1999年までと、1945年から1955年までが「ボーナスノート」として収録されている。これによって戦後の死語が概観できる内容となった。

死語を紹介するだけなら、「現代用語の基礎知識」でもできるだろう。この本が面白いのは作者のコメントに確かな視点があるためである。優れた批評家で作家の小林信彦だから当たり前なのだが、例えば、こんな具合だ。

<お呼びでない>1963年(昭和38年)これも植木等の十八番で、テレビの「シャボン玉ホリデー」から出た流行語。
<お呼びギャグ>は活字では説明しにくいが、例えば、アイドル歌手だった布施明のところに女の子が「フセ! フセ!」と殺到する。そこに迷彩服を身にまとった兵士(植木等)が匍匐前進で現れて、「伏せー、伏せー」と女の子を叱り、場違いなのにハッと気づいて、
「お呼びでないね?」
と念を押す。
「お呼びでない。……こりゃまた、失礼いたしました!」
さっと姿を消すと同時に、全員がその場に倒れる。
ギャグから発した言葉だが、会社で、「おれ、お呼びでないな」といった風に使われ、今でも使う人がいる。
<リゾート法>1988年(昭和63年)大規模なリゾート建設を促進する法律で、前年6月9日に公布、施行。この年になって五県の構想が承認された。正式名称は<総合保養地域整備法>。
こういううさんくさい法はたちまち公布される。リゾートを作る企業を<税制・金融面で優遇>し、<国立公園を含む国有林野や農地の開発規制を緩和する>というと、もっともらしいが、リゾートを<ゴルフ場とそれ用のホテル>と考えれば、狙いはきわめて分かり易い。
自然破壊が法によって保護され、地方の地価が高騰する惨状になった。

こういう感じで多数の死語が取り上げられている。<お呼びでない>は小林信彦が詳しい60年代のテレビ界から出た言葉だから、解説も詳しいのは当然だろう。このほか、<ガチョン>とか<つぎ、いこう!><なんである、アイデアル><奥歯ガタガタいわしたろか>など面白い。政治、風俗に関する死語についてのコメントも的確で、著者の反骨精神を見せつけられる。リゾート法については僕の考え方と同じなのでうれしくなった。

これは死語というよりも「流行語から見た世相の変遷」を描いた本と見ていいだろう(本の扉には「同時代観察エッセー」とある)。著者も本の中で書いているが、バブル期以降の日本はなんとひどい状況になったことか。特に阪神大震災以降は暗い話題ばかりが先行してきたことを改めて確認できた。鋭い批評というのは、こういう本のことなのだと痛感する。「日本の喜劇人」「世界の喜劇人」という名著を書いた小林信彦だから書けた本で、抜群に面白く、資料的価値も高い。必読の1冊でしょう。(2月9日)

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ネットレコーダー6発売へ

ザクソンからネットレコーダー6発売のお知らせが届いた。以前書いたようにあまり使っていないソフトなのだが、バージョンアップ価格が2980円(定価は6800円)と聞けば、黙ってはいられない。ちょっと迷って申し込んだ。発売日は2月18日。メールによると、バージョンアップの内容は次の通り。

NetRecorder6は、Internet Explorerのプラグインとして動作するため、
別途NetRecorderを起動することなく、Internet Explorerだけを使用する
ような感覚で、より簡単にお使いいただけます。
また、録画機能とのシンクロ動作が可能な「NRウイルスチェッカー」を
搭載!! トレンドマイクロ社との提携により、『ウイルスバスター』でも
使用されているウイルスチェックエンジン「VSAPI」と、最新のウイルスパ
ターンファイル更新機能を搭載。ウイルスパターンファイルは、アップ
デートボタンをワンクリックするだけで、最新のファイルに更新できます。

“プラグインとして動作”というのがよく分からないが、ホームページの説明を見ると、バージョン5から付属している録画パレットを改良したものらしい。以下はホームページからの引用。

録画したカセットファイルは Internet Explorer のプラグインツール「カセットファイルプレイヤー」で閲覧することが可能です。
カセットファイルプレイヤーを使えば、コンピュータがネットワークに接続されていなくても、いつでも、どこでもホームページ(カセットファイル)を高速に見ることができます。
また、ホームページの各ページ間のリンク情報を分かりやすくツリー表示し、ブラウザソフトでは何度もクリックしないとたどり着けなかった深い階層のページにもワンクリックで移動し、決め打ち表示できます。

このほかページの更新チェック機能も付いたようだ。便利になるのはいいのだが、どうも常駐しそうな気配である。リソースがまたまた減るような気がする。ウイルスチェッカーについても既にインストールしている人には不要なものである。こういう余計なものを付けてバージョンアップと称するのはいかがなものか。

インターネットマガジン3月号がインターネット加速ユーティリティーを紹介しているけれど、加速(ページ先読み)と録画、翻訳機能を統合したウェブワッカー(エーアイソフト)のような在り方が一つの方向ではあると思う。この3つの機能でウェブワッカーは8800円とお得なお値段だ。もっとも先読み機能は回線速度が遅い現在だから通用している側面もある。ADSLやCATVインターネット、最終的には光ファイバーが普及すれば、いらなくなるものだろう。昼間の常時接続の実現などインターネットの環境は徐々にではあるが、着実に進歩しているから、それに伴いソフトも淘汰されていくのだと思う。そんな中でネットレコーダーって、どの程度売れているんでしょうね。(2月12日)

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テキスト主体のページがベスト

@niftyの映画に関するフォーラムを見ていたら、ニフティ映画大賞が発表されていた。5つのフォーラムが合同で投票募集して決めたベストテンである。@niftyに入会していない人には目に触れる機会が少ないと思うので、ここに引用しておこう。

【外国映画】
1位『マトリックス』
2位『シックス・センス』
3位『八月のクリスマス』
4位『オープン・ユア・アイズ』
5位『ライフ・イズ・ビューティフル』
6位『シン・レッド・ライン』
7位『ファイト・クラブ』
8位『ウェディング・シンガー』
9位『スター・ウォーズ エピソード1』
10位『恋に落ちたシェイクスピア』

【日本映画】
1位「ガメラ3 邪神〈イリス〉覚醒」
2位「秘密」
2位「メッセンジャー」
4位「39 刑法第三十九条」
5位「のど自慢」
5位「大阪物語」
7位「おもちゃ」
7位「鉄道員(ぽっぽや)」
7位「ワンダフルライフ」
10位「ナビィの恋」
10位「avec mon mari」

邦画・洋画とも1位が僕のベストテンと同じなのがうれしい。ま、それだけ一般のファンが投票しているということなのだろう。フォーラムの皆様、今年は投票募集を知らなかったので参加できませんでしたが、来年はぜひ投票させてください。

さて、本題。サイトを巡回していると、ページに入った途端、音楽を流すページがあるが、あれは来訪者にとって何の意味もない。流してもいいから、せめて止めるスイッチも置いてほしいと思う。趣味に合わない音楽を強制的に聞かせられてはかなわない。音関係で許せるのはFLASHなどに付ける効果音ぐらいで、これはあった方が雰囲気が出る。サイズの大きい写真を置いたりするのも同様に嫌われる。本人は満足かもしれないが、来訪者にとってはページの読み込みに時間がかかるだけなのである

自分のページを棚に上げていうのもなんですが、個人的にはスッと出てくるテキストページの方が好きである。FLASHサイトは一度目はおっと驚くが、2度目以降はわずらわしいだけ。映画でいえば、本題に入る前に出来の悪い長いイントロダクションを見せられているようなものでしょう。インターネットってまだまだテキスト中心のメディアだと思う。僕が巡回するサイトもテキスト主体のページばかり。毎日行くのは大森望、柳下毅一郎、田中哲弥さんらのページで、いずれも面白い日記がある。田中哲弥さんのページはレイアウト的には左右のマージンがなく、行間も狭くて読みにくいのだが、それを超えて読ませる文章のおかしさがある。レイアウトよりも中身なんですよね、問題は。作家や評論家の日記ページに人気があるのは文章が充実しているからだろう。

以前は少なかったミステリー作家のページも増えてきたので、近くリンクページに一括してこうした作家のページを載せようと思う。最近、ページを作ったのが二階堂黎人。不定期日記は2月5日から始まっている。このページを立ち上げたのは「ミステリーベストテンの意義」の項に書いた「ミステリマガジン」3月号の座談会がきっかけなのだという。具体的には座談会の中で茶木則雄が語った“N氏事件”。以下に問題発言部分を引用しよう。

N氏の作品が(文春ベストテンの)集計の段階で10位だったんだけれども、何かの手違いで彼は、それを最終集計の結果と勘違いしてしまった。その結果、私なんかが強く押していた中嶋博行の「司法戦争」がベストテン圏外から上がってきた。で、落ちたN氏は何を勘違いしたか「組織票による操作だ、こんなことが許されていいのか」と推理作家協会に問題を提起して、文春に厳重抗議したんです。どうも「茶木グループがやった」ということになっているらしい。

これに二階堂黎人が抗議した。当初はメールでのやりとりだったらしいが、大森望が場所を貸し、掲示板で論争が行われた。二階堂黎人は自分の言い分を主張するべく、サイトも立ち上げたのである。双方とも誤解があったようで、作家の北村薫が中に立ってすぐに和解に至った。論争の経緯は大森望のページに書いてありますので、興味のある方はどうぞ。それにしても二階堂日記を読むと、ホームページ作りにはまっているのが分かって面白い。初めは夢中になるんですよね、ホームページ作りって。僕は未だにはまってますが…。(2月15日)

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Windows2000と常時接続大幅値下げ

Windows2000が発売された。と同時にバグが報告された。マイクロソフトジャパンの成毛社長は「ささいなバグだったし、無用の混乱を招く恐れがあったので報告しなかった」とコメントした。ついでに「Windows2000は企業向けで、一般消費者向けではない」とも明言した。ま、それはそうなんですが、マイクロソフトのPRには一般向けもありましたよね。どうなってるんだか。僕は今のパソコンにインストールする気はない(物理的にも無理)。しかしこのコメントはどうかと思う。

ビル・ゲイツはWindows2000発売に合わせた講演で、特にサーバー用のWindows2000について機能の優秀さを強調したという。以下はMYCOM PC MAILからの引用。

実際、米国のZDLabが行ったベンチマークテストでは、Windows95/98は1.2日しかシステムが持たない(リセットしなくても利用できる時間)、Windows NT4.0WSでは5.2日。これに対しWindows 2000 Professionalではなんと90日もリスタートするようなトラブルは起こっていない(実際にはテストを始めてから90日が経過したということで、この数字は1日1日伸びている)。Windows 2000は信じられないほどの信頼性を持っているというわけだ。

リセットしなくても利用できる時間なんて、それほど強調するほどのことはない。UNIXでは以前から1年でも2年でもリセットなしで使える。Windows2000は今ごろそれに追いついたというわけだ。そんなことを改めてPRしているようでは、この新OSの能力もたかが知れている。

気になるのは2000よりもWindows98の後継バージョンだ。これは新聞によると、夏の終わり頃に発売されるという。Windows2000ミレニアムという名前になるようだ。そして2001年中にはそのまた後継バージョン「ウィスラー」が発売される予定という。ミレニアムは最後のDOSベースで、かねてからの計画通り、ウィスラーからNTベースになる。それはそれでいいのだが、よくよく考えてみると、困ることも出てくる。DOSベースのアプリケーションが動かなくなるじゃありませんか。僕の場合、Namazuのインデックスが作成できなくなる。ハードウエアのドライバなどでもDOS操作が必要なものもある。そのあたりの対応はソフトウエア作者やハードウエアメーカーに頼るしないようだ。OSの根本の仕組みが変わるというのは実は大変なことなのだ。

もう一つ、大きなニュースが19日付新聞にあった。NTTの常時接続定額料金の大幅値下げがそれ。東京と大阪で試験的に行っている現在の定額制8000円が5月から4500円に値下げされるという。プロバイダのアクセスポイントが同一局内にある場合はさらにこれが2900円と安くなる。ISDNに限るが、これには驚いた。安くなってもたぶん5000円か6000円ぐらいだろうと思っていました。NTTなかなかやりますね。ISDNテレホーダイより500円高くなるだけなので、これは導入する価値がある。接続先は1カ所、MP接続(128kbps接続)もできないという条件はあるが、それでもメリットは大きいだろう。安く常時接続できる時代がこんなに速くくるとは思わなかった。といってもこのサービス、当面は東京と大阪だけ。早く全国展開してほしいものだ。

このサービスが利用できるようになると、個人的には2つ入っているプロバイダを一つに絞った方が良さそうだ。僕の場合、生協インターネットが3月で契約切れになる。更新を考えていたが、どうせ将来的に常時接続に切り替えるのなら、今のうちにレンタルサーバーに移行した方がいいのかもしれない。生協は1年契約で途中で辞められませんから。生協にはこのホームページを置いているが、ホームページスペースは10MB。移行を考えているレンタルサーバーなら100MBで生協の年間利用料金より安く利用できる。それにそこのサーバーはCGI、SSIともオーケーでtelnetもできる。これならNamazuをインストールし、サーバー上でインデックス作成もできるのではないか。OSがNTベースになってもなんら困らないのである。真剣に移行を考えてみようと思っている。(2月20日)

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Namazuがバージョンアップ

「窓の杜」のメールに「Namazu for Win32 v2.0がリリース」とのニュースがあった。Namazu2.0から個人ではなくチームで開発を進めるというのはNamazuのホームページに書かれていたが、それが完成し、Windows版の配布も始まったのである。メールには「v2.0ではテキストファイルだけでなくWord文書やPDFファイルの内容検索にも対応した。Windows 95/98/NT 4.0/2000に対応したフリーソフトで、現在作者のホームページからダウンロードできる」とある。前回、Windows2000ではNamazuが利用できなくなるなどと書いたけど、間違いでした。readmeをよく読んでいませんでしたね。すみません

NamazuとNamazu for Win32のホームページに行って新機能を確認したら、インデックスファイルのサイズが半分程度になると書いてあった。それは何よりである。さっそくダウンロードし、インストールした。今回のバージョンから日本語辞書KAKASIも新しいものにしなければならないらしいので、これもダウンロードした。ところが、MS-DOSからいつものように操作したのに、なぜか動きません。というかインデックスの作成ができません。具体的にはテスト段階のmknmz --helpのコマンドで「コマンドまたはファイル名が違います」と表示されるのだ。指示通りにAutoexec.batを書き換えたのにダメ。設定ファイルを書き換えてもダメ。何をやってもダメ。よく考えてみたら、今のパソコンにはバージョン1.30.11が入っている(インストール場所は異なる)ので、これとバッティングしているのかもしれない。あるいは出たばかりのバージョンなので、バグがあるのかもしれない。はたまた僕のWindowsにどこか不具合があるのかもしれない。いずれにしても原因不明だ。

いろいろやってもダメなので、あきらめて元の環境に戻そうとして、再びAutoexec.batを書き換えたが、今度は前のバージョンでもインデックス作成ができなくなった。いや、一度目はできるのだが、2度目から同じフォルダにインデックスの出力ができない。インデックス作成フォルダを指定しても「そんなフォルダはない」とのダイアログが出るのである。ちゃんとあるのに…。試しにCドライブのルートでインデックス作成をしてみたが、これも2度目からダメだった。仕方がないので前バージョンを上書きインストールした。ようやく元の環境に戻すことはできたけど、書き換え−再起動−書き換え−再起動を半日も繰り返して疲れちまったぜ、まったく…。おまけにAutoexec.batを書き換えたためか、ノートン・アンチ・ウィルスでメールのウィルスチェックも一時的にできなくなった。トホホですね。

それにしても、いったいどうしてダメだったのだろうか。やはりバッティングが原因なのでしょうか。Namazu for Win32の説明書には今まで必要だったnkf32について書かれていないが、Namazu本体のマニュアルには必要と書いてある。これが関係しているのだろうか(と思ったが、今回のバージョンからnkfはPerlモジュール化された、とホームページに書いてあった。これによってインデックス作成速度が大幅に速くなったという)。やはりバッティングでしょうね。古いバージョンをアンインストールしてから、新バージョンをインストールした方が良いのだろう。それは分かっているのだが、順調に動いている今のバージョンを外すのは何だかもったいない。新バージョンを入れてまた動かなかったら、悲惨ですからね。それにローカルで成功しても、サーバーに乗せる手順が今までと同じかどうか分からない。ファイル構成が大幅に変わって(増えて)いる上に、今までのインデックスファイルとの互換性もないのである。うーん、悩みます。そのうちWeb上にNamazu2.0のインストール法の解説ページができるかもしれない。Namazu2.0のインストールはしばらく待ってみようと思う。まずNamazuのマニュアルを熟読し、情報集めをする必要があるようだ。(2月24日)

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NR6はどう変わったか

ホームページの容量が急に残り4バイト(!)になった。以前、同じようなことがあったので、これは多分COREファイルができたのだろうと思い、全部のフォルダをFTPで調べたら、案の定、検索エンジンAfri Splendid Searchのフォルダに4.9MBのCOREファイルができていた。COREはCGIの誤作動などで生成されるもので、削除しても差し支えない。前回はルートにあったのですぐに分かったが、今回はフォルダの中だったので探すのに苦労しました。これを考えると、CGIスクリプトは1カ所にまとめた方がいいのかもしれませんね。しかし、どうしてできたんだろう。不思議です。

ホームページ録画ソフトの「ネットレコーダー6」(NR6)を使い始めて1週間になる。これ、今までよりも随分使いやすいソフトになったと思う。今回のバージョンアップで最も大きな変化はNRプロキシ機能がなくなっていることだ。これはプロキシサーバーのような機能で、バージョン5まではNRプロキシを起動させないと録画ができなかった。起動してプロキシ設定をしなければならなかった上に、起動に時間はかかるし、常駐するのでリソースも不足する。このため録画中にWindowsの動作がおかしくなることもあった。僕がバージョン5をほとんど使わなかったのはこうした欠点があったためだ。

今回からこれが廃止された。インターネットエクスプローラーを起動すると、右下に録画パレットが表示されるほか、IEのツールの中に録画、設定などネットレコーダーのメニューが追加されている。録画パレットが邪魔と感じる人は非表示にもできる。その時にはメニューから選べばいいわけだ(メニューも非表示にできるが、両方とも表示しない設定にすると、使うのに不便ですね)。なるほど、「IEのプラグインとして動作」というのはこういうことなのかと納得した。録画したデータはインターネットエクスプローラーに表示される。サイトのリンク構造はお気に入りや履歴のようにナビゲーションバーに表示され、深い階層も一クリックで表示できる。このほか、従来のNRの機能であるサイトマップナビゲーター、画像閲覧・管理ソフトのNRイメージビューワー、ウイルスチェッカー、NRダイヤラーが付属している。

欠点と呼べるのはサイトマップナビゲーターやイメージビューワーを通して保存画像を見る(録画カセットファイルを開く)と、jpeg画像がビットマップで表示される点。ここから右クリックで直接、画像を保存する場合、無題のBMPファイルになってしまう。これはそういう仕様なのだろう。jpeg画像として新たに別のフォルダに保存する場合は録画データ(カセットファイル)をイメージビューワーで開き、本棚として保存する必要がある。これでjpeg画像とその縮小表示のHTMLを含むフォルダが生成される。この作業をすると、以降、IEやサイトマップナビゲーターでカセットを開いてもファイル名付きのjpeg画像として表示される。またフォルダごと、あるいはフォルダから直接必要なjpeg画像をコピーして別のフォルダに入れてもいい。もちろんイメージビューワーを使って不要画像の整理もできる。また、イメージビューワーを使えば、ホームページにある画像だけのデータの録画も可能。取り込んだ画像の加工やHTMLアルバムの作成機能もあり、総じて使いやすくなったなという印象だ。

NRプロキシはネットレコーダーの基本となる機能だったから、これを外すのは英断だっただろう。サイトマップナビゲーターなどのインターフェイスはあまり変わっていないが、IEのプラグインとして動作させるためには根本的にソフトを作り替える必要があったのではないか。価格的にもこれまでより随分安くなっている(以前のバージョンは1万円以上したと思う。今回から7000円足らずになった)。こういう改善をしたということはよほど前回のバージョンが不評だったんだろうか。ま、どちらにしても使いやすいソフトになったことは喜ばしく、僕もこれからはバンバン使おうと思っています。(2月27日)

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