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70年代の青春挫折感伝わる

評論家川本三郎の同名ノンフィクション自伝の映画化。「リンダ リンダ リンダ」の山下敦弘が監督している。

東都新聞の駆け出しの記者・沢田(妻夫木聡)はある日、京西安保という組織の幹部「梅山」と名乗る男(松山ケンイチ)を取材する。先輩の記者からは「近づくな」と忠告を受けるが、沢田は梅山に次第に親近感を抱いていく。梅山は組織の仲間と共同生活しながら武器調達を画策していた。そこから慄然とする事件が起きる。

全共闘運動が失速していく1960年代後半から70年代に青春期を送った者の焼けつくような思いと挫折感がよく伝わってくる一作だ。

「洲崎パラダイス 赤信号」や「ファイブ・イージー・ピーセス」などの映画を見に行くシーンも印象深い。沢田は一緒に映画を見た女性に「きちんと泣ける男が好き」と言われるが、「きちんと泣」くラストはひとしおだ。胸が熱くなる映画である。(2011年6月16日・小野)

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