It's Only a Movie, But …

シネマ1987online

人生はビギナーズ

深刻なテーマ ほどよい軽さ

独身で人生にも愛にも自信の持てない38歳のオリバー。母の死の5年後、75歳の父から自分はゲイだと告白される。がんの宣告を受け、残された時間を偽りのない気持ちで生きると決めた父はファッショナブルに変身。恋人や仲間と心から余生を楽しむ。オリバーは父の姿を通して、自分に正直に生きることの尊さを知っていく。

同性愛やユダヤ人への偏見、病気、老い、そして死といった深刻なテーマを扱いながらも、ほどよい軽快さが心地よい。愛にためらい、自信が持てない繊細なオリバーをユアン・マクレガーが好演。恋人アン役のメラニー・ロランのうれいを帯びた美しさに目を奪われる。82歳のクリストファー・プラマーは渋みのある演技でアカデミー助演男優賞を受賞した。

マイク・ミルズ監督の自伝的作品。「自分の殻を破ることで、どんなに深刻な時でも心から人生は楽しめるものだ」というメッセージは胸を揺さぶり、勇気づけられる。(2012年6月21日・杉尾久)

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