It's Only a Movie, But …

シネマ1987online

映画ドラえもん のび太のひみつ道具博物館

優れた脚本で屈指の傑作に

藤子・F・不二雄原作の国民的人気漫画の長編アニメ化作品。シリーズ通算34作目である。

昼寝をしていたドラえもん(水田わさび)は怪盗DXという謎の人物に鈴を盗まれる。事件の手掛かりが未来の「ひみつ道具博物館」にあることを突き止めたドラえもんとのび太(大原めぐみ)たちは、鈴を取り戻すために未来へと向かう。

原作者の没後は旧作の焼き直しが多かったが、今回は新プロットの作品だ。ここ数作の反省を踏まえ、脚本が練りに練られている。犯人捜しの興趣があり、ひみつ道具の物語への取り込み方にも無理はない。人間が核などの物質で制御不能に陥ることへの警鐘も鳴らしている。ドラえもんが鈴を大切にしている理由にもほろりとさせられる。

1980年にスタートした劇場版だが、当時の幼児は今や子を持つ親の世代である。家族そろって楽しめるシリーズ屈指の傑作だ。監督は寺本幸代。(2013年3月28日・小野)

TOP