オズ　はじまりの戦い

原作敬意払い懐の深い快作

児童文学の名作「オズの魔法使い」の前日談。「スパイダーマン」シリーズのサム・ライミ監督がオリジナルに敬意を払って映画化している。

オレゴンの奇術師オズ（ジェームズ・フランコ）は人の目をだますことをやっているが、偉大な男になるのを夢見ていた。だました相手に追われ、気球に乗り込むが、竜巻に巻き込まれ異世界へ迷い込む。そこは邪悪な魔女に支配され、人々は予言にある魔法使いで救世主オズの到来を待っていた。名前が同じ彼は本人と偽るが、良い魔女グリンダ（ミシェル・ウィリアムズ）と協力し、悪い魔女たちと対決する。

白黒スタンダード画面が異世界でカラーのワイド画面に変わる効果は満点。往年のＭＧＭ作品の色彩にもマッチしていてうれしい。

「偽物」の男が「本物」になろうとする心の動きもいい。「うそ」を「本当」に見せるのは映画の働きそのものだ。懐の深いファンタジーの快作である。（2013年3月21日・小野）