ジャージー・ボーイズ

全編に流れる60年代の名曲

トニー賞を受賞したブロードウェーの同名ミュージカルをクリント・イーストウッド監督が映画化した。舞台と同じくジョン・ロイド・ヤングが主人公のフランキー・ヴァリに扮（ふん）し、歌と演技を披露している。

1960年代、ニュージャージー州のグループが天才的な声の持ち主ヴァリを迎えて歌った「シェリー」が大ヒットした。映画はこの人気コーラスバンド「フォー・シーズンズ」の物語だ。全編に懐かしいヒット曲の数々が流れる。ヴァリのソロによる「君の瞳に恋してる」は今も歌い継がれているが、単なるラブソングではない。ヴァリの悲しい思いが切々と響きわたり、感動のクライマックスを迎える。

これまでのイーストウッド作品に比べると、今回は監督自身が楽しみながら撮ったと思える程に力みがない。クリストファー・ウォーケンが街の顔役を演じ、切れのいい、さすがの演技を見せている。（2014年10月2日・林田）