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シネマ1987online

春を背負って

ため息が出る映像の美しさ

「剱岳 点の記」の木村大作監督作品。立山連峰の大汝(おおなんじ)山で山小屋を営む父(小林薫)を、滑落事故で失った亨(松山ケンイチ)は都会でのビジネスマン生活をやめ、父のあとを継ぐ。夏山でも北アルプスの環境は厳しい。山小屋で登山客を迎え、さまざまな人生に触れながら、亨は自分自身を見つめ父の存在を感じていく。

カメラマンとして過酷な現場を経験してきた木村監督が3千メートルの大汝山に登り、撮影した映像はため息が出るほど美しい。劇場のスクリーンで見てこその醍醐味である。 

日本は国土の半分以上を森林が占め、さまざまな動植物が繁殖し多様な命を内包している。その豊かな自然を享受して暮らしていることを忘れてはいけない。主人公の父が見せたいと願っていた景色、伝えたかった言葉は主人公を通して私たちの心にもすがすがしく染みる。明日が見えにくい今、幸せとは何かを問う作品だ。(2014年7月3日・手塚)

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