８月の家族たち

濃密な空間を見事な演技で

メリル・ストリープとジュリア・ロバーツの２大女優初共演の話題作である。

８月のある日、父親が失踪し、オクラホマの実家へ家族が集まってくる。闘病中の母バイオレット（メリル・ストリープ）は毒舌家で、長女のバーバラ（ジュリア・ロバーツ）といがみ合う。長女は反抗期の娘と別居中の夫（ユアン・マクレガー）を同伴している。次女のアイビーは青年（ベネディクト・カンバーバッチ）に恋している。三女カレン（ジュリエット・ルイス）は奔放で、不審な婚約者がいる。彼らと母の妹、その夫（クリス・クーパー）が久しぶりに会って本音をぶつけ合い、隠された事実が明らかになっていく。

家族が一堂に会する食事の場面が圧巻だ。これだけ役者がそろうと総花的作品になりそうだが、見事な演技のアンサンブルで濃密な空間を作り出すのに成功。アメリカ映画の底力を思い知らされる秀作だ。監督はジョン・ウェルズ。（2014年8月7日・小野）