ヘイル、シーザー！

米映画全盛期描く喜劇

1950年代、ハリウッド映画は全盛期を迎え、スタジオの命運を懸けた歴史スペクタクル超大作「ヘイル、シーザー！」の製作が行われていた。しかし撮影中に主演俳優でハリウッドきっての大スターであるウィットロックが何者かに誘拐されてしまう。密かに事件解決を任されたスタジオの何でも屋エディ・マニックスはウィットロック奪還に向けて奮闘する。

「ファーゴ」「ノーカントリー」などで知られるアカデミー賞常連のジョエル＆イーサン・コーエン兄弟監督の新作。ジョシュ・ブローリン、ジョージ・クルーニー、チャニング・テイタム、スカーレット・ヨハンソン、フランシス・マクドーマンドら豪華スターが集結したサスペンス・コメディーだ。

誘拐された大物スターの捜索の過程で、ハリウッド黄金期へのノスタルジーや映画への愛、コーエン兄弟ならではの毒を織り込みながら、一癖も二癖もある俳優や映画製作者たちの生きざまをユーモラスに、そしてシニカルに描き出している。

作品の見どころは多数あるが、特にスターたちによる華やかなミュージカルシーンが素晴らしい。往年の映画ファンにお薦めの作品だ。（2016年6月30日・酒井）