It's Only a Movie, But …

シネマ1987online

モンパルナスの灯

画家と妻を繊細に描く

天才的な才能を持ちながら貧困と病に苦しみ、36歳で亡くなった画家アメデオ・モディリアーニを描く1958年のフランス映画。

1919年、パリのモンパルナス、絵が売れず、芸術と生活苦のはざまであえぐモディは酒におぼれ、自堕落になっていた。ある日、美術学校で美しい画学生ジャンヌと出会い、激しい恋に落ちる。ジャンヌの父の反対から逃れて、つかの間の幸せな時間を過ごすが、貧困は生活を、病はモディの体をむしばみ、ついに路上で倒れてしまう。
画家の死によって絵の価値が上がるのを待つ画商モレルが冷酷で不気味だ。献身的に画家を支えるジャンヌを演じるのはアヌーク・エーメ。わずかな希望に揺れる瞳が息をのむほど美しく切ない。モディ役を熱演したジェラール・フィリップは映画を撮り終えた翌年、くしくもモディと同じ36歳でこの世を去った。モレルには「冒険者たち」のリノ・ヴァンチュラが扮(ふん)する。

ジャック・ベッケル監督は、売れるものに迎合せず、特異な表現を貫きながらも苦悩する画家とその妻を憂いを持って繊細に描く。今では有名な肖像画の瞳のない暗闇は何を見ているのだろう。(2016年11月17日・杉尾)

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