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シネマ1987online

花筐 HANAGATAMI

戦争3部作の最終作

1941年春、17歳の榊山俊彦(窪塚俊介)は両親の住むアムステルダムを離れ、叔母(常盤貴子)と肺病を患う従妹の美那(矢作穂香)の住む佐賀県唐津で生活を送ることになる。新学期の学校で俊彦は自信家の鵜飼(満島真之介)、虚無僧を思わせる吉良(長塚圭史)、純朴な阿蘇(柄本時生)などの個性的な学生と知り合う。さらに美那の女友達のあきねや千歳とも知り合い、美那や叔母を中心に彼女たちと鵜飼や吉良との交流が深まっていく。

だが日米開戦直前の重苦しい雰囲気は彼らの考え方や生き方にも影響を与える。自分なりの成長を成し遂げようと努力する俊彦だったが、美那の病状の悪化と時代の流れの中でなかなか自分がつかめない。日米開戦と唐津くんちを迎えた12月8日の夜、彼らの運命が大きく変わる。

原作は檀一雄の「花筺」。大林宣彦監督が「この空の花 長岡花火物語」、「野のなななのか」に続く戦争3部作の最後の作品として完成させた。唐津市を舞台に、色彩豊かに開戦前の重苦しい状況を見事に描いている。日常生活の場面に挿入される戦争を思わせる描写が効果的で、監督の意図に応えた出演者の演技もあり、見応えのある映画になった。(2018年02月08日・金川)

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