ランダウン ロッキング・ザ・アマゾン
「ハムナプトラ2 黄金のピラミッド」のスコーピオン・キングことザ・ロック主演のアクション。アマゾンの奥地へ秘宝探しに行ったまま帰らない息子を連れ戻すよう頼まれた賞金稼ぎの主人公が、ジャングルの鉱山で人々を奴隷のように扱う悪玉(クリストファー・ウォーケン)の一味と戦う。よくある設定だが、ザ・ロックのアクションは切れ味がよくて楽しめる。中盤にあるゲリラの小柄な兵隊たちとのアクションは肉弾相打つといった様相と同時にワイヤーも駆使して軽やかだ。ザ・ロック、こんなに身のこなしがいいとは思わなかった。やはりプロレスラーだから空中戦も得意なのだろう。その相手となるゲリラのリーダー、マニート役のアーニー・レイズ・ジュニアは元格闘技チャンピオンとのことで、キレのよい身のこなしを見せる。アクション指導をしたのはスタントマン出身のアンディー・チェン。香港製カンフーアクションはもはやハリウッド映画でも珍しくないが、この映画のアクションは香港べったりではなく、ザ・ロックでもまったく違和感がなかった。
主人公のベック(ザ・ロック)は暗黒街の賞金稼ぎ。冒頭、賭けの5万ドルを支払わないNFL選手の元に押しかけ、ボディガード数人を簡単に倒すシーンで凄腕ぶりを見せつける。ベックにはレストラン経営の夢があり、借金を帳消しにすることを条件に暗黒街のボスの息子トラビス(ショーン・ウィリアム・スコット)を探しにジャングルの奥地に行く。そこはハッチャー(クリストファー・ウォーケン)という男が支配しており、鉱山で膨大な人々を安い賃金で働かせていた。ベックはマリアナ(ロザリオ・ドーソン)が経営する酒場でトラビスを見つけるが、トラビスが秘宝のありかを探し当てたことを知ったハッチャーが横取りしようと、酒場に手下を連れてやってくる。ベックとトラビスはジャングルに逃げ、ハッチャーが執拗に後を追う。最初は反目していた2人が次第にうち解けるバディ・ムービーのような調子で映画は進む。これにハッチャーの支配を脱しようとするゲリラが絡み、映画は終盤のアクションへとなだれ込んでいく。
鉱山の遠景シーンなどにCGも使ってあるが、全体的にユーモアを盛り込んだB級アクションとしてそつなくまとまっている。ザ・ロックの現代劇デビュー作としてはまず無難な作品と思う。ザ・ロックは祖父から3代続けてのプロレスラーだが、意外に知性を感じさせる顔つきをしており、ユーモアのある演技も悪くない。作品を選べば、もっと人気が出るスターなのではないかと思う。冒頭でゲスト出演のアーノルド・シュワルツェネッガーとすれ違うシーンがあり、アクション俳優の世代交代を感じさせた(今のところ、この映画がシュワルツェネッガーの最終出演作となるのだろうか?)。次作は「ウォーキング・トール」(1973年、ジョー・ドン・ベイカー主演)のリメイクである。
監督はピーター・バーグ。俳優としての出演作も多いが、劇場用映画の監督を務めるのは「ベリー・バッド・ウェディング」(1998年)に続いて2作目。3作目はビリー・ボブ・ソーントン主演の「フライデイ・ナイト・ライツ」。近くアメリカで公開されるらしい。
【データ】2003年 1時間44分 配給:UIP
監督:ピーター・バーグ 製作総指揮:ヴィンス・マクマホン リック・キドニー 製作:ケヴィン・ミッシャー マーク・エイブラハム カレン・グラッサー スタント&コーディネーター:アンディー・チェン 脚本:R・J・スチュアート ジェームズ・ヴァンダービルト 撮影:トビアス・シュリッスラー 音楽:ハリー・グレッグソン=ウィリアムズ プロダクション・デザイン:トム・ダッフィールド コスチューム・デザイン:ルイス・ミンゲンバック
出演:ザ・ロック ショーン・ウィリアム・スコット クリストファー・ウォーケン ロザリオ・ドーソン ユエン・ブレムナー ジョン・グリース アーニー・レイズ・ジュニア