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シネマ1987online

スウィーニー・トッド フリート街の悪魔の理髪師

スウィーニー・トッドってどこかで聞いたような名前だよなと思いつつ調べもせずに見に行った。予告編では妻子を奪われ、冤罪を着せられた男の復讐の話としか思えなかったが、これは殺人鬼を主人公にしたダークミュージカルだった。だからこの殺人鬼の部分が出てくる後半に驚いた。殺人鬼プラス人肉食の話で、トニー賞8部門受賞のミュージカルを基にしている。血と惨劇に悲劇を絡めてあり、こういう映画を作品賞に選ぶゴールデングローブはえらいと思う。

復讐の話としか思っていなかった前半は、はっきり言って退屈だったが、後半の展開に感心。首筋をカミソリで切るシーンのオンパレードでR15指定も納得できる。ティム・バートンは19世紀のロンドンの街並みをいつものようにダークさを漂わせて構成しており、そこがただのスプラッター映画とは違うところ。芸術性があるのだ。ミュージカルの部分にはあまり感心するところはなかったけれど、安っぽくない作りがいい。

主人公のジョニー・デップは言うに及ばず、ヘレナ・ボナム=カーターも好演(怪演?)。バートンは「猿の惑星」とか撮っていたころはもう終わりかなと思えたが、カーターとの出会いで完全復活した感じがする。よほど相性がいいのだろう。

スウィーニー・トッドは殺人博物館によれば、元々は小説だが、都市伝説として実際にあった話のように伝えられてきたとのこと(http://www5b.biglobe.ne.jp/~madison/murder/text2/todd.html)。これまでに何度も映画化・テレビドラマ化されている。1998年にはジョン・シュレシンジャー監督、ベン・キングスレー主演でテレビ「スウィーニー・トッド」(The Tale of Sweeney Todd)になっている。この2人のコンビなら見てみたい気がするが、IMDBでの評価は6.2と低い。

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