スクリーム3
一応、トリロジー(3部作)と銘打っているのだから、前2作を見ていない僕にはきちんとした(3部作を通した)コメントはできないが、この映画に関する限りは、はっきりB級作品と断言しよう。前2作を見ていれば、もっと面白いのかもしれない。しかし、前2作を見ていたら、凄い傑作に感じるとか、まさかそういうことにはならないだろう。例えば、「ゴッドファーザー」は1作目を見ずに2作目だけを見ても傑作と思えるはずだし、「スター・ウォーズ」にしたってそうである。シリーズものの制約を超えて立派に1本の映画として完成度が高かった。この「スクリーム」の完結編、1本の映画として見ると、ウェス・クレイヴン監督だからクズではないにしても、「13日の金曜日」と似たり寄ったりのレベルであることは間違いない。事件の真相と連続殺人の動機には疑問を感じざるを得ない。それにやっぱりこういう映画の犯人にはスーパーナチュラルであってほしいと思う。スラッシャー映画のパロディとして出発したシリーズらしく、笑える場面も多いが、結局、このラストではスラッシャーそのものになってしまっている。
カリフォルニア州の田舎町ウッズボローで怒った連続殺人を基にした映画「スタブ」の3作目の撮影が始まっていた。この事件にかかわり、今は人気タレントとなったコットン・ウェアリー(ビル・シュライヴァー)は帰宅途中、「シドニーの居場所を答えなければ、恋人を殺す」と脅迫電話を受ける。恋人のアパートへ駆けつけたコットンはそこでハロウィンマスクをかぶった殺人鬼に惨殺される。というのがオープニング。映画の主人公シドニー・プレスコット(ネーヴ・キャンベル)は殺人鬼を恐れて警戒厳重な山の中の家で暮らし、電話相談の仕事をしていた。コットンの事件は「スタブ3」のキャストが脚本の順番通りに殺されるという連続殺人に発展する。現場にはシドニーの母親の写真が残されていた。ウッズボロー連続殺人の本を出版したゲイル・ウェザーズ(コートニー・コックス・アークェット)は撮影所でかつての恋人デューイ・ライリー(デイビッド・アークェット)に再会。警察から捜査に協力するよう要請される。その頃シドニーに殺人鬼から電話がかかる。事件に自分の殺された母親が関係していると知ったシドニーは山を下り、事件の真相を探る決意をする。
カメオ出演のキャリー・フィッシャー(すっかりオバサン)をはじめ楽屋落ちやパロディが散見する。それと事件の本筋がイマイチかみ合っていないのが残念。監督のウェス・クレイヴンは最初からトリロジーとして企画したと語っているが、本来がスラッシャーのパロディという小さいネタなのだから、ちょっと無理がある。事件の真相がこれでは3部作を締め括るラストとしては弱いのではないか。脚本家がケヴィン・ウィリアムソン(昨年の「パラサイト」は面白かった)からアーレン・クルーガーに代わったのもマイナスに作用しているようだ。やはり元々の作者が締め括るべきだったのだろう。
【データ】2000年 アメリカ 1時間57分 ディメンション・フィルム提供
監督:ウェス・クレイヴン 脚本:アーレン・クルーガー 原キャラクター:ケヴィン・ウィリアムソン 撮影:ピーター・デミング 音楽:マルコ・ベルトラミ 音楽監修:エド・ジェラード プロダクション・デザイン:ブルース・アラン・ミラー 衣装:アビゲイル・マレー 編集:パトリック・ラッシャ 製作総指揮:ボブ・ワインスタイン ハーヴィ・ワインスタイン ケアリー・クレイナット アンドリュー・ローナ
出演:デイビッド・アークェット ネーヴ・キャンベル コートニー・コックス・アークェット パトリック・デンプシー スコット・フォーリィ ランス・ヘンリクセン キャリー・フィシャー マット・キースラー ジェニー・マッカーシー エミリー・モーティマー パーカー・ボージー ディオン・リッチモンド パトリック・ウォーバートン リーヴ・シュライバー ケリー・ラザフォード