It's Only a Movie, But …

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ティガー・ムービー プーさんの贈り物

「ティガー・ムービー」

「クマのプーさん」の脇役で、お調子者のトラのティガーをフィーチャーした作品。といってもプーさんをはじめ物語の登場人物はすべて同じ。ティガーを主役に家族や友情の大事さを訴える内容である。作画は丁寧だし、ストーリー的に別に大きな不満があるわけでもないけれど、アニメの驚くような新技術はなく、すべて予定調和の世界で意外性もなにもない。ディズニーは「美女と野獣」以降、大人の観客も意識したアニメ作りをしてきたが、これはそれ以前のディズニーのようにホントに子どもだけを対象にした作品で、優等生的映画の作りが大いに物足りない。小学生低学年以下向けだろうが、ポケモンやデジモンに慣れた日本の子どもたちには刺激が少なすぎるのではないか。

いつもピョンピョン飛び跳ねているティガーは周囲から迷惑がられ、寂しくなってしまう。ティガーは自分と同じような仲間がいないか、森を探すが、見つからず、手紙を出した。返事が来てティガーは喜ぶが、それはプーたちが家族のふりをして出したものだった。家族が会いに来ると思いこんだティガーを見て、森の仲間はトラの扮装をしてティガーの家を訪ねる。しかし、着ぐるみが取れてばれてしまう。ティガーはみんなにからかわれたと思いこみ、吹雪の中、森の奥深くに“家族の木”を探して旅立っていく。

遭難しかけたティガーを森の仲間たちが助けることで、ティガーは本当に大切なのは仲間たちであり、仲間こそが家族そのものであることに気づく、といった真っ当な展開。真っ当すぎて面白みに欠ける。本筋のティガーの話のほかにロバのイーヨーの家を壊す騒動(もちろんこれにもティガーは絡む)などあまり必要と思えない描写もあり、1時間17分であっても長く感じた。映画デビューのジュン・ファルケンシュタインの演出に際だったところは見あたらない。プーさんの物語自体、長編には向かないのかもしれない。製作姿勢が良心的であるだけでは面白い映画は出来ないものなのである。歌は「メリー・ポピンズ」「小さな世界」のシャーマン兄弟が担当。ディズニーの仕事は29年ぶりだそうだ。

【データ】2000年 アメリカ 1時間17分 ウォルト・ディズニー・ピクチャーズ提供 配給:ブエナ ビスタ インターナショナルジャパン
監督:ジュン・ファルケンシュタイン 製作:シェリル・アボッド 原案:エディ・ガゼリア 脚本:ジュン・ファルケンシュタイン 原作:A・A・ミルン 音楽:ハリー・グレッグソン・ウィリアムス 歌:リチャード・M・シャーマン ロバート・B・シャーマン 美術:トビー・ブラス ウォルト・ディズニー・アニメーション・ジャパン監督:タカミツ・カワムラ スーパーバイジング・アニメーション・ディレクター:ケンイチ・ツチヤ
声の出演:玄田哲章 八代駿 小倉裕太 龍田直樹 小宮山清 石田太郎 上田敏也 福沢良一 片岡富枝 進藤一宏 青森伸

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