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シネマ1987online

チャーリーとチョコレート工場

「チャーリーとチョコレート工場」パンフレット

ロアルド・ダール原作の童話「チョコレート工場の秘密」をティム・バートン監督が映画化。前作の「シンデレラマン」を見た後では少し分が悪いのは確かだ。

映画のタッチはバートンらしいブラックな趣味にあふれている。主人公のチャーリー・バケット(「ネバーランド」のフレディ・ハイモア)は斜めに傾いた家に両親とその両方の祖父母の計7人で住む。食事はいつもキャベツのスープ。4人の祖父母は1つのベッドに寝たきり。父親は歯磨きの工場でキャップを閉める仕事をしている。貧しい暮らしだが、チャーリーは家族が大好きだ。街にはウィリー・ウォンカ(ジョニー・デップ)というチョコレート作りの天才が建てた大きな工場がある。チャーリー自身がチョコを口にするのは年に1回、誕生日の時だけである。ウォンカのチョコレートは世界中に出荷され、人気を集めている。工場はスパイを防ぐため、15年前に従業員をやめさせたが、なぜか今も生産は続いており、工場の中がどうなっているのか、人々は興味津々。ある日、ウォンカが子ども5人を工場に招待すると発表する。その招待券はチョコに入った黄金のチケット。チャーリーが誕生日にもらったチョコには黄金のチケットはなかった。祖父のなけなしのへそくりで買ったチョコにもチケットはなかったが、チャーリーは道ばたで拾った10ドル札で買ったチョコでチケットを手に入れる。

家族思いのチャーリーは、500ドルで買いたいという人がいるので家の暮らしのためにもチケットを売る、という(これは原作にはない)。それに対する祖父のセリフがいい。「お金は印刷されてたくさん出回っている。そのチケットは5枚しかない。それをお金に換えるほどお前はトンマか」。チョコレート工場に招待された5人の子どものうち、チャーリーを除く4人はいずれもいけ好かないガキ。高慢ちきな少女であったり、わがまま娘だったり、ガツガツしたデブの少年だったり、知能は高いが人をバカにしたような少年であったりする。その4人は予想通りの仕打ちを受けることになる。

工場内部の描写がおかしくていい。チョコを作っている多数のウンパ・ルンパ族(すべてをディープ・ロイが一人で演じる)やリスたちの場面には大笑い。特にリス。リスたちはクルミの選別を手伝っており、中身のないクルミは捨てている。リスを捕まえようとした少女の頭をコンコンとたたいて、哀れ、少女は不良品と判断されてしまうのだ。こういうキャラクター、どこかで見たなあと思うのだが、なかなか思い出せないのがもどかしい。アメリカのアニメに時々出てくるようなギャグではある。

ブラックな味わいはあっても、最終的には心温まる話に着地する。それがバートンらしくないというのはもう間違いで、バートンの興味はそういう部分に移ってきているのだろう。気になったのはチャーリーが拾ったお金でチケットを手に入れること。これは何か後を引くのではないかと思ったが、そういう部分はなかった。

【データ】2005年 アメリカ 1時間55分 配給:ワーナー・ブラザース映画
監督:ティム・バートン 製作:リチャード・D・ザナック ブラッド・グレイ 製作総指揮:パトリック・マコーミック フェリシティ・ダール マイケル・シーゲル グレイアム・バーク ブルース・バーマン 原作:ロアルド・ダール「チョコレート工場の秘密」 撮影:フィリップ・ルースロ 美術:アレックス・マクダウェル 衣装デザイン:ガブリエラ・ペスクッチ 音楽:ダニー・エルフマン 視覚効果監修:ニック・デイヴィス
出演:ジョニー・デップ フレディー・ハイモア デヴィッド・ケリー ヘレナ・ボナム=カーター ノア・テイラー ミッシー・パイル ジェームズ・フォックス ディープ・ロイ クリストファー・リー アダム・ゴドリー フランツィスカ・トローグナー アナソフィア・ロブ ジュリア・ウィンター ジョーダン・フライ フィリップ・ウィーグラッツ リズ・スミス アイリーン・エッセル デヴィッド・モリス

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