エンド・オブ・デイズ
1000年紀の終わりに悪魔が牢獄から出る-という言い伝えを元にしたホラー。というよりもシュワルツェネッガー主演だから、アクションの方に重点が置いてある。しかし、描写が陰惨なうえ、「オーメン」を連想させるようなストーリーにも目新しさがなく、見るべき部分はほとんどない。ピーター・ハイアムズは出来不出来の激しい監督で、今回は不出来、それも相当に不出来な方である。20年以上前、やはり正月映画として公開された「カプリコン1」にあった鮮烈な娯楽映画的感動は「エンド・オブ・デイズ」には微塵もなかった。こんなレベルではかつてのファンとしては泣きたくなる。スタン・ウィンストンのSFXも今ひとつピリッとしていない。
1999年12月、ニューヨークの地下からサタンが現れ、ウォール街のエリート銀行マン(ガブリエル・バーン)の体を乗っ取る。サタンの目的は20年前に生まれた女クリスティーン(ロビン・タニー)に自分の子どもを生ませること。そうすれば、神の時代に代わって悪魔の時代が到来する。悪魔復活の前兆に気づいたバチカン市国の一部の修道士たちはそれを阻止するため、クリスティーンを殺そうとする。ガードマンのジェリコ(アーノルド・シュワルツェネッガー)はある日、エリート銀行マンの警護中に狙撃してきた修道士と格闘。その際、修道士が口にした言葉「1000年紀の終わりに悪魔が復活する」の謎を探り始める。同僚のシカゴ(ケヴィン・ポラック)とともに修道士の身辺を洗い、クリスティーンの存在を知る。修道士の襲撃からクリスティーンを救ったジェリコは続いて襲ってきた悪魔と否応なく決死の戦い始めることになる。
とりあえずミレニアムの終わりだから、何かそれにちなんだ映画を−との企画なのだろう。底の浅い脚本が最大の失敗原因。一つのアイデアだけで、アクションを連ねる構造には無理がある。だいたい悪魔とただの人間が闘って勝てるわけがない。ここはやはり神の要素をもっと明確に取り入れるべきだった。クライマックスの悪魔とジェリコの戦いは、ハルマゲドン的様相がなくてはならないと思う。ただのアクションではスケールが小さすぎるのだ。アンドリュー・W・マーロウ、力量不足である。
こんな脚本でも製作費を150億円かけているのだから、それなりにアクションの見せ場はある。ハイアムズの演出は個々のアクション場面に関してはまずまずなのだが、その場その場で終わってしまい、全体が盛り上がっていかない。殺戮に終始するので、そのうち飽きてきてしまう。本当の姿を現した悪魔の造形にもがっかり。ウィンストン、もう少しなんとかならなかったものか。シュワルツェネッガーも慎重に主演作品を選んでいかないと、ヤバイことになるような気がする。
【データ】1999年 アメリカ 2時間2分 ビーコン・ピクチャーズ提供 ギャガ・ヒューマックス 東宝東和共同配給 製作総指揮:マーク・エイブラハム トーマス・A・ブリス
監督:ピーター・ハイアムズ 脚本:アンドリュー・W・マーロウ 撮影:ピーター・ハイアムズ 音楽:ジョン・デブニー VFX総監修:スタン・ウィンストン
出演:アーノルド・シュワルツェネッガー ガブリエル・バーン ケヴィン・ポラック ロビン・タニー CCH・パウンダー ロッド・スタイガー デリック・オコナー ウド・キアー ヴィクター・バルナード