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シネマ1987online

バイオハザード

「バイオハザード」パンフレット

人気ゲームの映画化。といってもストーリーは映画のオリジナルという。ゾンビ(アンデッド)が大量に出てくる映画というのも久しぶりに見たが、もうこのパターンは描かれ尽くしているので、この映画にも新機軸は見当たらない。頭にダメージを与えれば、ゾンビを仕留められるというのはこれまでと同様だし、咬まれると感染するのも同じ。いつこどこかで見た光景ばかりである。ポール・アンダーソン監督の演出も荒っぽく、ショック演出ばかりが目につく。しかし、ミラ・ジョヴォヴィッチ(「フィフス・エレメント」「ジャンヌ・ダルク」)の魅力が映画に輝きを与えた。セクシーでアクションも華麗にこなすカッコ良さ。もともと気が強そうな顔つきだが、襲い来るゾンビ軍団を撃退して地上へ脱出するリーダー的存在として説得力がある。ミラがいなければ、映画はどうしようもない出来になるところだった。ミラ主演で2作目が計画されているとのことだが、どうか次作でもミラの魅力を堪能させる映画に仕上げてほしい。

巨大企業アンブレラ・コーポレーションが地下に作った研究所“ハイブ”でウィルスが拡散し、マザー・コンピューターのレッド・クイーンの防御装置が作動。研究員ら500人が全員死亡する。主人公のアリス(ミラ・ジョヴォヴィッチ)はある屋敷のバスルームで目覚めた。一時的に記憶をなくしていたところに特殊部隊が強襲。わけが分からないまま、コンピューターを止める任務を帯びた特殊部隊に同行してハイブへ向かうことになる。ハイブは屋敷の下にあった。クイーンの武器で隊員の半数以上は死ぬが(このレーザー型の殺人兵器の場面はなかなかよくできている)、アリスら数人はなんとかコンピューターの停止に成功。しかし、クイーンが制御していたドアロックが解除されたことで、ウィルスによってゾンビ化した人間たちが襲ってくる。研究所はウィルスの拡散を防ぐため、地下と地上を結ぶ通路を一定時間で閉鎖する。迫り来るゾンビをどう撃退して地上に向かうか。タイムリミットが迫る中、映画は仲間の裏切りに遭いながらも奮闘するミラの活躍を描いていく。

特殊部隊の設定などは「エイリアン2」を思わせ、言うまでもなくゾンビ映画の第一人者ジョージ・A・ロメロ映画の影響もありありである。映画はゾンビに加えて、もう一つの凶悪な怪物を用意しているが、これとて「エイリアン2」のエイリアン・クイーンみたいなものだ。ミラ・ジョヴォヴィッチ以外のキャストにスターは出ていず、その意味でもこれはB級感覚満載の映画。そういうB級映画で半裸の美女が活躍するSF映画がよくあったが、そういう設定を踏襲した映画でもある。ラスト、廃墟と化した街にたたずむミラの姿は悪くなく、これでアンダーソンの演出にもう少しキレがあれば、言うことはなかった。ロックとともに進行するストーリーはスピーディーではあるが、より面白くするには独自のビジョン、独自のアイデアを展開させる必要があっただろう。恐怖を醸成する演出も含めて、2作目に向けてもう少し考えてほしいところである。

【データ】2002年 アメリカ 1時間41分 配給:アミューズピクチャーズ
監督:ポール・アンダーソン 製作総指揮:ローベルト・クルツァー ヴィクトル・アディダ ダニエル・クレツキー 岡本吉起 製作:ベルント・アイヒンガー サミュエル・アディダ ジェレミー・ボルト ポール・アンダーソン 製作補:クリス・シムズ 脚本:ポール・アンダーソン 撮影:デヴィッド・ジョンソン プロダクション&衣装デザイン:リチャード・ブリッドグランド 視覚効果スーパーバイザー:リチャード・ユリシッチ 音楽:マルコ・ベルトラミ マリリン・マンソン 原案:カプコン「バイオハザード」
出演:ミラ・ジョヴォヴィッチ ミシェル・ロドリゲス エリック・メビウス ジェイムズ・ピュアフォイ コリン・サーモン パスクエール・アリアルディ ヘイケ・マカッシュ

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