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シネマ1987online

ブレイド

ヴァンパイア・ハンターと世界征服を企む吸血鬼たちとの戦いを描くSFアクション。ただしこの映画、徹底した香港製アクションを取り入れたところに大きな特徴がある。クライマックス、主人公ブレイド(ウェズリー・スナイプス)がバンパイア化してからの形相やアクションは「燃えよドラゴン」ブルース・リーの影響がありありだ。ジョン・ウーやジャッキー・チェンら香港映画人のハリウッド進出が数年前から続いているが、ハリウッドの方でも世界最高レベルの香港アクション技術を本格的に取り込み始めたようだ。これは「燃えよドラゴン」公開時にその皮相的なコピーがあふれたのとは事情が異なる。完全に血肉化しているのである。

ブレイドは妊娠中の母親が吸血鬼に襲われたため、人間と吸血鬼の両方の特徴を備え、吸血鬼のように不死身だが、昼間も外を歩ける。母親を殺した吸血鬼を憎んでおり、仲間のウィスラー(クリス・クリストファーソン)とともに吸血鬼狩りを行っている。吸血鬼の世界は純血種が支配し、社会の陰でひっそりと、しかし大量に暮らしていたが、従属吸血鬼のフロスト(スティーブン・ドーフ)は古代書にある伝説の神マルガを復活させ、世界を支配しようと企む。マルガを復活させる儀式には純血種の生け贄と混血の血が必要。フロストはブレイドを狙い、次々に攻撃を仕掛ける。

ブレイドの武器は名前通りの刀と銀の弾丸。SFXを絡めたアクションがさえわたっており、冒頭の血のシャワーの場面から見ごたえのある場面が続く。特にフロストとの対決場面は手に汗握る。ウェズリー・スナイプスは体の動きにキレがあり、これまでのB級イメージを払拭した印象が強い。これはスナイプスの「ターミネーター」になったと思う。

純血吸血鬼のリーダー役を「処女の生き血」の哀れな吸血鬼ウド・キアーが演じているのは遊び心か。監督のスティーブン・ノーリントンについては良く知らないが、脚本は「ダークシティ」のデイビッド・S・ゴイヤー。なるほど、主人公が裏社会の巨悪と闘うという物語の構図はあのSF映画によく似ている。

【データ】1998年 アメリカ映画 2時間1分
監督:スティーブン・ノーリントン 脚本:デイビッド・S・ゴイヤー 音楽:マーク・アイシャム 撮影:テオ・ヴァン
出演:ウェズリー・スナイプス クリス・クリストファーソン Nブッシュ・ライト ウド・キアー スティーブン・ドーフ

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