It's Only a Movie, But …

シネマ1987online

西の魔女が死んだ

映画を見た後に原作を読んだ。映画も原作も詰めが甘いと思う。映画は丁寧に描いてあり、映画化の仕方としては悪くないけれど、この原作では限界があったのだろう。見終わった後の物足りなさは原作を読んでも解消されなかった。物足りなく思ったのは以下の3点。

  1. 不登校の原因があいまい
  2. 引きこもりのような隠遁生活を送っている祖母との生活で回復するのか疑問
  3. 祖母の生活は本当のスローライフではない。スローフードでもない。

原作が出た当時はスローライフという言葉はなかっただろう。だからこれを田舎の生活と言い換えてもいい。スローフードは自然に近い食べ物と考えれば いい。祖母の生活はこのいずれでもないと思う。映画はスローライフを強調しているわけではないが、主人公が元気を取り戻す生活の在り方をしっかり描くべきだったろう。都会交じりの生活ではなく、本当の田舎の生活の描写が必要だ。

不登校の原因については一般論として主人公が語るのだけれど、一般論だけに切実さがない。映画は孤立して給食を食べている主人公を映すが、それだけでは説得力がないし、そこに至る原因の方に僕は興味がある。

サチ・パーカーがいいのですっと見られる映画だけれど、考えていくと、描写が足りない部分がたくさんある。原作にはない夜中にクッキーを食べるシー ンは長崎俊一監督の奥さんが付け加えたものだそうだが、魔女修行の第一歩は早寝早起きなのにこれはないと思う。都会の考え方なのではないか。

サチ・パーカーに関してはなんだかよろよろしながら登場するシーンで違和感を持ち、セリフ回しも変だと思った。サチ・パーカーのキャスティングがなければ、成立しない映画だが、決して100点満点の演技ではない。

TOP