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劇場版 魔法少女まどか☆マギカ [新編]叛逆の物語

物語が希望・祈りというテーマと感動的にリンクした完璧な前作からどう話を続けるのかに興味があった。一つの作品として見れば、出来は決して悪くはないが、無理に話を続ける必要はなかったように思える。完璧な物語の続編を作ることは容易ではないのだ。

前作ですべての魔法少女の悲劇的な運命を断ち切るため、円環の理(ことわり)となった鹿目まどかが平然と登場する。これにどういう風に説明を付けるのかと思ったら、そんなに意外なネタではなかった。物語の中心になるのは、というか、語りの視点はまどかではなく暁美ほむらの方だ。転校してきたほむらは、同じ魔法少女であるまどか、さやか、マミらとチームを組み、ナイトメアと戦うが、次第にどかこおかしいと感じ始める。隣の町に行こうとしても、たどり着けない。ほむらは次第に記憶を取り戻す。まどかは円環の理になったはずではなかったのか。いったい誰がこの世界を操作しているのか。

序盤の展開がやや平板で、ここをもう少し刈り込んで、話が発展していく後半につないだ方が良かっただろう。前作は外に開いたSFらしい物語、今回はミステリ的な閉じた物語(アイデアはSF)ということになると思う。

アニメーション作家ユニットの劇団イヌカレーが担当した前衛的な背景描写は前作より多くなり、観念的なSFのアイデアと相まって、映画全体がかつての手塚治虫のアニメ(「悲しみのベラドンナ」とか)のように前衛的かつ観念的な印象になっている。前衛的なのはかまわないが、観念的なのは残念で、劇中で語られる世界の仕組みを言葉で説明するより描写で描いていけば、これは抑えられたのではないか。この映画、コアなファンは満足するかもしれないが、前作のような一般的な広がりには欠けるだろう。

昨年、前作公開時に流れた予告編では魔女の代わりに魔獣が登場したが、本編での敵はナイトメアであり、魔獣はセリフにしか出てこない。今春公開の予定が半年延びたことを考えると、途中で物語の軌道修正があったのだろう。

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