神様のパズル
変格SF青春映画。そんな感じの作品である。クライマックス、宇宙の危機を救うのが「歓喜の歌」と寿司というのは普通では考えられない展開なのだが、三池崇史の映画なら納得するし、見ている限りはそれで良いのだと思えてくる(脚本はNAKA雅MURA=なかむら・まさる)。主演の市原隼人がロックを愛する落ちこぼれの寿司職人で、「ROOKIES」を彷彿させる役柄なのが良い。この映画、市原隼人のむちゃくちゃな元気の良さと谷村美月の魅力で持ってると思う。
前半は「宇宙を作れるか」のディベート、後半はパニックスペクタクル。CGもまず良くできていて、これは後半、本格的なSFに突入するのかと思ったら、「歓喜の歌」と寿司なのである。それでもがっくりする感じにならないのが、面白いところ。なぜ、あの場所にマイクがあったのかという細部はこの際、無視して良い。市原隼人と三池崇史のパワーで見せられるのである。もっとSFっぽくなると、良かったとは思うけれど、これはこれで悪くないと思う。
人工授精で生まれた天才少女穂瑞沙羅華(ほみずさらか)役の谷村美月はいつもジャージを着ていて、スラリと伸びた足とふっくらした胸が印象的。まったく笑顔を見せない演技を見て、ああそうか、「おろち」にも出たんだったなと思い出した。「エコエコアザラク」の黒井ミサも演じられそうだ。その谷村美月の笑顔を最後に見せるのがこの映画の主題でもあったろう。
機本伸司の原作は第3回小松左京賞を受賞したそうだ。ライトノベルっぽい表紙だが、小松左京賞ということなら、ハードSFの要素もあるのだろう。ハルキ文庫に入っているそうなので、読んでみたいと思う。