ダイ・アナザー・デイ
寅さん思わす007の新作
若年層の市場調査を基に作られている米国映画には食傷気味の年配層も、007の主題曲は血わき肉躍るかたがたが数多く存在すると聞く。
新作(20作目)の「ダイ・アナザー・デイ」でも007ことジェームズ・ボンドは、問題の某国相手に、むちゃといえばむちゃな活躍をするのだ。
だが、40年間も同じ主題曲で、同じように女スパイに裏切られ、そして同じような破壊工作ばかりする、このばかなのか賢いのか分からない英国人を見ていると、不意にまるで日本の寅さんやゴジラのように思えてくるから不思議である。
だから、この新作を見て、間違っても複雑な国際政治など思い起こすことなく、ただ、とらやのおいちゃんのように「ばかだねえ」と温かい目でジェームズを見守ってあげればよろしい。
そういえば今のO07は妙な野心もなく愛矯もある。買いである。映画は愛である。(2003年4月3日・臼井)