裸足の1500マイル
隔離同化策を痛烈に批判
強制的に収容所に連れて来られた先住民アボリジニの幼い少女3人は、収容所を抜け出し、1500マイル(2400キロ)を歩いて母の待つ故郷に向かう。オーストラリアの過酷な自然と追跡者と闘いながら。
これは実話である。1931(昭和6)年当時、オーストラリアではアボリジニの混血児たちを家族から隔離し、白人社会に適応させようとする“隔離同化政策"がとられていた。その政策の対象となり、強制的に収容所に連れ去られた少女三人の故郷まで帰り着く話を映画化している。
この作品、三人の少女の卓越した演技と、オーストラリアの壮大な自然をうまく映像化したことで素晴らしい出来栄えとなっている。少女たちが1500マイルの旅をすることだけでも十分に感動的なのに、この映画はさらに隔離同化政策に対する痛烈な批判も行っており、普通の感動作に終わっていない点が高く評価できる。(2003年7月17日・酒井)