ゴスフォード・パーク
英貴族社会と召し使いの話
1932(昭和7)年の英国。大英帝国の誇り高き貴族の社会と、彼らの召し使いたちのお話。ある日、美しい英国郊外のゴスフォード・パークと呼ばれるカントリー・ハウスに貴族が集まった。貴族にも羽振りの良い貴族と落ち目の貴族とがあるらしく、着飾った美しさから醸し出される気品ある容姿とは裏腹に、その会話の探り合いの面白さには、生つばをごくりとのむほどの快感を味わうことができる。
加えて、その下で働く使用人たちもまたそれぞれに何かを隠し持っていて彼らの講話にも、傍聴人であるわれわれはまた心がときめくのである。貴族社会と使用人との人間模様を、場面を移動させながら同時進行で映し出している所がロバート・アルトマン監督らしく面白い。
登場人物がいっぱいで、一人ひとりの名前を覚えることもままならないが、見応えある見事な人間喜劇の逸品である。米作品。(2003年4月17日・林田)