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シネマ1987online

ボウリング・フォー・コロンバイン

銃犯罪多発の原因深く追及

今年のアカデミー賞長編ドキュメンタリー賞受賞作。受賞スピーチで監督のマイケル・ムーアがイラク戦争批判を行ったことで、話題になった。

この作品、NHKやBBCのドキュメンタリーを想像したら大きな間違い。一九九九(平成十一)年にコロラド州のコロンバイン高校で起きた二人の高校生の銃乱射事件に基づいて、「なぜ、コロンバイン高校銃乱射事件は起きたのか? なぜ、アメリカで銃犯罪が多発するか?」というテーマをドキュメンタリーでつづったものである。

ムーアは問う。「映画やテレビ、ビデオゲームでのバイオレンスのはんらんが悪いのか。家庭の崩壊か。高い失業率が原因か。それともアメリカの暴力的歴史のせいか」。やがてムーアはこのような結論に達する。「アメリカ人の持つ恐怖心が人々を銃に向かわせている」。この作品はアメリカの良心である。(2003年5月8日・酒井)

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