ジョゼと虎と魚たち
純粋な恋愛に共感し涙する
不思議な題名の映画である。しかしこの作品、ここ数年に公開された邦画の恋愛映画の中で最も強いインパクトを持っている。
大学生の恒夫は、ふとしたことから足の不自由な少女くみ子と出会う。くみ子は、フランソワーズ・サガンの小説から取った名前ジョゼを自分の名前として恒夫に呼ばせる。そんなジョゼに恒夫は恋するようになり、やがて同せいを始める。しかし恒夫はジョゼがだんだん重荷になってくる。
田辺聖子の小説の映画化である。この作品の魅力はなんと言っても、ジョゼと恒夫の純粋な恋愛にある。特にジョゼのいちずな思いには共感し涙する人も多いと思う。主演は、ひとはよいが少々頼りない恒夫に妻夫木聡、情熱的なジョゼには池脇千鶴。特にジョゼを演じる池脇千鶴の純粋さと口の悪さはこの作品の最大の魅力である。恋愛を経験したことのある人なら誰でもこの作品に共感できるのではないだろうか。(2004年4月15日・酒井)