グッバイ、レーニン!
ベルリンの壁崩壊描く秀作
主人公アレックスの父親は10年前に西側へ亡命。母親は東ドイツに忠誠を誓い、社会主義の世界で生きてきたが、改革要求デモに参加したアレックスを見てショックを受け、心臓発作で昏睡(こんすい)状態となる。その間に東西ドイツは統一、東ドイツも資本主義社会に変わる。八カ月後、母は目覚めるが、わずかなショックでも与えたら命はない。アレックスは母に東ドイツの変容を知られないようにと、涙ぐましい努力をする。
大きな社会の動きの中で、庶民の混乱ぶりがコミカルに描かれ、笑いながら物語に引き込まれていく。終盤、母親が父親の後を追えなかった事情を打ち明けるシーンは涙なしには見られない。ドイツアカデミー賞など多くの賞を獲得したことも納得できる秀作である。(2004年5月27日・林田)