真珠の耳飾りの少女
官能的な場面思わず息のむ
一六六五年のオランダ。光と影を絵の中に見事に取り入れ、遠近法をうまく使った画家フェルメール(コリン・ファース)の家に、使用人として少女グリートが来る。少女に絵心があると見抜いたフェルメールは、アトリエに彼女を入れて色の調合を手伝わせる。妻には内証で彼女をモデルに描いた作品が、「真珠の耳飾りの少女」である。
絵の中に秘められたフェルメールと少女の許されぬ恋。少女を演じるスカーレット・ヨハンソンは実に美しい。無言のまま見詰め合う二人の目の情熱的な鋭さには圧倒される。二人にしっとする妻の気持ちもよく分かる。
フェルメールは妻の真珠のピアスをモデルとしての彼女に着けさせるため、彼女の耳に穴を開ける。痛々しくも官能的な場面には思わず息をのむ。フェルメールの一枚の絵から想像される恋の物語。久しぶりに重厚な古い欧州映画を見た気がする。(2004年7月15日・林田)