ゴジラ×モスラ×メカゴジラ 東京SOS
ゴジラ復活に奇跡祈りたい
怪獣映画で映画館の闇の魅力を覚えた世代に属しているので、毎年正月、いそいそとゴジラを見に行く。正月映画がそれらしくなくなっている中、唯一年末年始を感じられるのがゴジラシリーズだ。
今回の「ゴジラ×モスラ×メカゴジラ 東京SOS」、脚本の幼稚ぶりには目をつぶろう。若手の学芸会的演技や脇役陣の時代錯誤的演技もなかったことにしてよい。おもちゃメーカーとの結託がありありとうかがえる怪獣造形についても許す。けたたましいという言葉をはるかにしのぐ同時上映のアニメでさえ顔色を変えずに座っていよう。実際のところ、今のゴジラとはこうしたあらゆるチューブにつながれていることで延命されている、いわば脳死状態なのだ。
だから来年はそんなすべてのチューブをぶち切って、大都市を蹂躙(じゅうりん)する本当のゴジラが見たい。奇跡を祈る。(2004年1月8日・臼井)