白いカラス
確かな演技力と美しさにため息
最近のハリウッド映画と言えば、宇宙戦争にロボットもの、ホラー、暴力満載で少々うんざり気味の方も多いはず。それも時代の流れと、あきらめかけていたが、この映画は久々にじっくり見せてくれる逸品だった。監督は「クレイマー、クレイマー」(1980年)でアカデミー賞を受賞したロバート・ベントンと言えば納得していただけるだろう。
内容は決して楽しいものではない。自由の国アメリカで今もなお、社会問題として厳然とはびこる人種差別、ベトナム帰還兵、性的虐待などの問題を包み隠さず、掘り下げて描いている。黒人の両親から白い肌で生まれたカラードの苦悩の物語である。
主演のアンソニー・ホプキンスは確かに演技力抜群だが、やはり何といってもニコール・キッドマンの美しさにはため息が出る。あまり詳しくは書けないが、苦悩を抱えた若い女性の、たばこをふかし続ける暗い表情が何とも切なかった。(2004年9月30日・林田)