イン・ディス・ワールド
難民キャンプ脱出の旅物語
パキスタン難民キャンプで生活するアフガニスタン人少年2人のロンドンまでの命をかけた旅の物語である。過酷な状況の中、少年たちはどんなことにもあきらめず、夢の国イギリスへ向けて突き進む。演じた2人の少年は実際に難民キャンプで生まれ育ったという。
パキスタンからイラン、トルコ、イタリア、フランスを経由してイギリスまでバスとトラックとフェリーを利用して、うさんくさい仲介者を頼りにした6400キロに及ぶ旅は息も抜けない。何の希望もない難民キャンプからの脱出には彼らの親の希望も託されている。息詰まる物語である。
監督はイギリスの実力派として知られるマイケル・ウィンターボトム。昨年のベルリン映画祭でグランプリを受賞した。ハリウッド映画ばかりでなく、こんな映画こそ多くの映画館で上映してほしいと思うが、宮崎では公開されなかった。(2004年10月21日・林田)