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シネマ1987online

笑の大学

台本の検閲で喜劇作家攻防

戦争間近の昭和15年。笑いをこよなく愛する喜劇作家と、ユーモアのまったく通じない警視庁保安課の検閲官とが一つの台本をめぐって繰り広げるおかしくも熱く、感動的な物語である。

度重なる駄目出しにも屈することなく出直してくる作家(稲垣吾郎)によって、堅物の検閲官(役所広司)が笑いの扉を開け、ついには一緒に喜劇台本を作り上げていく。

役所広司の演技は絶品で、堅物が思わず笑いに乗せられていく瞬間などこっけいさがたまらない。一方、稲垣吾郎も柔らかい語り口の中に、意志の強い作家を見事に表現している。ラストでは思いがけない事態に胸を締め付けられ、涙する。思い切り笑い、涙することほど、気持ちのいいことはない。この映画は日常の悩みにめいりがちな現代人の特効薬となること間違いなしだ。

原作は三谷幸喜。監督は「古畑任三郎」などテレビの演出家で、長編映画はこれが初めての星護。(2004年11月11日・杉尾久)

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