It's Only a Movie, But …

シネマ1987online

ミスティック・リバー

生きることの本質を厳しく

白日の悪夢のような映画である。舞台はボストン、季節は秋から冬らしいのだが、青空はついにワンショットも姿を見せない。

そんな白日の陽光の中で悲劇は起こる。旧友たちの悲劇的な過去と再会。ラスト、映画史に残るであろうパレードのシーンでも影はくっきりと地面に落ちているのに、やはりそこに青空はない。

この映画において過去は郷愁でもなく、未来は希望でもない。それらは主人公たちの生々しい現在の中に重ね合わされ、過去も未来も今この瞬間の生の中にしかないからだ。したがってその現在は肯定されねばならない。その現在が正しいなどとは言うまい。そんなことはなにより主人公たちが知っているだろう。

それが生きるということではないのか。この映画の空はそれを教えてくれる。生きるということの本質をこれほどの厳しさで描いた映画がこれまでにどれほどあっただろう。(2004年1月15日・臼井)

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