ブラザーフッド
観客引き込む見事な導入部
朝鮮戦争に巻き込まれた名もなき市民の怒りと悲劇と狂気を描いた、まさに戦場そのものの映画である。カン・ジェギュ監督が前作「シュリ」を超える衝撃と感動の戦争映画に仕上げた。
突然始まった戦争でソウル市内は大混乱に陥る。18歳から30歳までの男は有無を言わさず徴兵され、戦場へと列車で送られる。弟ジンソクを連れ去られた兄ジンテは、弟を守るため列車に飛び乗り、共に戦場へ向かう。
観客を一気に引き込む見事な導入部分である。戦闘の悲惨さ、兄弟家族の愛が息つく間もなく描かれ、リアルに迫ってくる。同じ民族同士が殺し合うシーンには息苦しさを覚えるほど。弟思いの心優しい兄が追い詰められて狂気へと変わる姿は生々しく鋭く心に突き刺さる。
主演は韓国四天王と呼ばれるチャン・ドンゴンとウォンビン。2人とも迫力のある演技を見せている。(2004年12月30日・林田)