半落ち
ベストセラー見事に映画化
アルツハイマーの妻を殺して自首してきた警部の梶。事件はすぐ解決するかに見えた。しかし妻を殺して自首するまでの2日間について梶は何も語ろうとしなかった。空白の2日間をめぐって、取り調べに当たる警察官、検事、弁護士、新聞記者、そして裁判官がそれぞれの立場から真実に迫ろうとする。
原作は「このミステリーがすごい!2003年版」と昨年の「週刊文春傑作ミステリーベスト10」で第1位を獲得、40万部を超えるベストセラーとなった。映画は原作をほぼ忠実に描きながら、後半で原作にはない映画的なヤマ場をつくっている。主役の寺尾聰をはじめ芸達者な役者(柴田恭兵、吉岡秀隆など)がわきを固め、佐々部清監督のオーソドックスな演出も映画に厚みを与えている。
ミステリーの面白さを十分に生かしているとは言いがたいが、ここ数年公開された邦画の中では特筆すべき出来になっている。(2004年1月29日・酒井)