ローレライ
スピード感ある緊迫したドラマ
1945年8月、日本への原爆投下を阻止すべく密命を帯びた潜水艦伊五〇七が南太平洋のテニアン島へ向けて出撃する。伊五〇七はドイツ製の潜水艦で、世界の運命を左右する特殊兵器“ローレライ”を搭載していた。果たして原爆投下は阻止できるのか。ローレライの秘密とは何か。
福井晴敏のベストセラー「終戦のローレライ」の映画化。原作の味をうまく生かしてスピード感のある緊迫したドラマに仕上がった。成功の要因は主演の役所広司をはじめとする俳優たちの熱のこもった演技だろう。
作品の随所に戦争後の日本への熱い思い(希望)が語られている。これを少々説教くさいと感じるか、真摯に受け止めるかは自由だが、少なくとも戦後日本がたどった道を振り返ってみるのも良いかもしれない。
重量感と迫力の点でハリウッド映画には及ばないが、コンピューターグラフィックス(CG)は最善を尽くしている。(2005年3月17日・酒井)