It's Only a Movie, But …

シネマ1987online

エイプリルの七面鳥

きずなと愛にあふれた作品

新大陸に渡った白人たちが先住民に穀物などの栽培を教わり、その収穫を恩人である彼らを招いて祝った―それが米国ではクリスマスの次に重要な祝日である感謝祭の始まりだそう。この作品もある家族の感謝祭の一日のお話である。

エイプリルは家出同然に家を出て彼とニューヨークに住んでいる。がんで母が余命わずかと知り、七面鳥の丸焼きを作って家族を招待しようとするが、まともな料理の経験がなく、オーブンも壊れており、アパート中、オーブンを探し回る。招待された方も今までの親不孝を考えると気が重くてたまらない。娘の良い思い出は幼いころの寝姿だけなのだから。

不良娘が母の好物を懸命に作ろうとする、それが愛でなくて何だろう。料理を手伝うアパートの住民は底辺で暮らす人たちだが、明るくて優しい。人間同士のきずなと愛にあふれた素晴らしい作品だ。(2005年4月28日・手塚)

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