深呼吸の必要
すがすがしい気分残る秀作
“キビ刈り隊”に応募した5人の男女が宮古島にやってくる。35日間で約7万本のサトウキビを刈り取る仕事である。初心者のひなみ(香里奈)たち5人は慣れない仕事にもたつく。
野球を続けるのが嫌になった元高校球児(成宮寛貴)、子供を死なせてしまった小児科医(谷原章介)、手首に傷跡を持つ高校生(長澤まさみ)など、それぞれ心に傷を負った若者たちが沖縄の自然と人情に触れて立ち直っていく。
あと数日しか残ってないと心配する悦子(金子さやか)に「あんたたちが心配することないよお。みんな随分うまくなったさあ」と認めて褒めてくれるおじい(北村三郎)とおばあ(吉田妙子)の優しさは心に染みる。
ありふれた話だが、おしつけがましさはまったくない。若者たちの自然な姿と表情をとても豊かに描き、見終わった後、すがすがしい気分になれる美しい秀作である。(2005年6月16日・酒井)