宇宙戦争
有名なSFを忠実に映画化
何の前触れもなしに突然宇宙人が地球を侵略し始めたらどうなるか。それも人類を根絶する目的で…。スティーブン・スピルバーグ監督の新作は有名なSF作家H・G・ウェルズの原作を忠実に描いている。
「未知との遭遇」「E.T.」のような劇的な効果や「シンドラーのリスト」「プライベート・ライアン」などのヒューマンドラマを期待すると大きな肩透かしをくらう。スピルバーグは宇宙人の攻撃で一般市民はどうなるかという点に重点を置き、リアリティーあふれる作品を目指したようだ。
従って主役のトム・クルーズも家族を守るのが精いっぱいで、レジスタンスに目覚めることもない。同じように宇宙人の侵略を描いた「インデペンデンス・デイ」(1996年)とは対照的である。これまでのスピルバーグ作品を評価するファンには少々物足りないかもしれないが、特撮シーンは今まで見たことがないようなリアルですごい映像である。(2005年7月28日・酒井)